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2016/12/28

自動運転のコラム第3弾:自動運転のこれからの課題

最近の車に少しずつ採用されることが増えてきた「安全運転支援システム」「自動走行システム」などですが、これらが普及するうえでどのような課題があるのでしょうか?自動運転の課題について説明します。

このコラムについて


この自動運転に関するコラム第3弾では、「自動運転のこれからの課題」について説明します。
様々なメリットがある自動運転ですが、大きな課題をいくつか抱えています。
本格普及させるためにはこれらの課題を丁寧に対応していく必要があります。

説明の途中で何度か出て来る「自動運転のレベル」については、自動運転のコラム第1弾の方をご確認ください。
自動運転でもたらされるメリットについては、自動運転のコラム第2弾の方をご確認ください。


自動運転関連技術の向上


まず一番わかりやすい課題として、自動運転関連技術の向上・改善があります。
現時点ではまだレベル3~4の自動運転車は出来ておらず、まだまだ発展途上の技術であると言えます。

●様々な状況への対応
今はまだ車の基本的な運転操作の部分を作っている所ですが、「タイヤのパンクなど車が故障した際に自動で安全な路肩に停める」といったケースなど、完全自動運転の実現のためには現実的に想定される様々なシチュエーションに問題なく対応できるようシステムを改善していく必要があります。

●カメラ・センサー等の精度の向上
現在の自動運転で使われているカメラなどは天候の影響を受けることがあり、雪や豪雨の際に走行できなくなることがあります。
天候以外にも、警官や交通整理の人員による誘導棒や手信号をカメラで認識して適切に状況判断するのは非常に難しいと思われます。
ただし、これらはカメラ等の性能向上や、画像解析ソフトの改善などで対応できると考えられます。

●セキュリティの向上
車間で通信を行い、ブレーキなどの操作の情報を他の車とやり取りをすることで、より安全な運転を可能にする技術がありますが、その通信で車載コンピュータに不正アクセスされるリスクがあると考えられています。
自動運転は命に関わるシステムですので、金融システムなどと同様に強固なセキュリティが求められます。


法整備


●完全自動運転は現在禁止されている
完全自動運転の技術がもしいきなり今日完成したとしても、現在の法律では運転手が乗っていない車は走行できないことになっています。
「道路交通法」及び、「ジュネーブ道路交通条約」に完全自動運転を制限する内容が含まれているためです。

▼道路交通法第70条
…車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

▼ジュネーブ道路交通条約第8条1項
…単位として運行されている車両又は連結車両にはそれぞれ運転者がいなければならない。

▼ジュネーブ道路交通条約第8条5項
…運転者は、常に、車両を適正に操縦し、又は動物を誘導することができなければならない。運転者は他の道路使用者に接近するときは当該他の道路使用者の安全のために必要な注意を払わなければならない。

▼ジュネーブ道路交通条約第10条
…車両の運転者は常に車両の速度を制御していなければならず、また適切かつ慎重な方法で運転しなければならない。運転者は状況により必要とされる時、特に見通しがきかない時は徐行し、または停止しなければならない。

完全自動運転を導入するためにこれらの制限を避けることは出来ないため、法改正が必要不可欠です。
ただし、完全自動運転は日本政府の方針であり、法改正も既に視野に入っているはずですので、これに関しては心配せずともいずれ解決するものと思われます。

●事故の際の刑事責任の所在がどこにあるか
また、事故の際の刑事責任の所在についても問題が起きることが予想されます。
レベル1~2おいては自動運転というより安全運転を支援するレベルでしかないため、基本的にドライバーが全て責任を負います。
レベル4においては完全自動運転ですので、基本的にシステムが全て責任を負います。
しかしレベル3においては、平常時は自動運転のためシステムが責任を負いますが、システムが対応困難な状態になった際にドライバーに操作権限が移譲され、その状態においてはドライバーが責任を負うことになります。
そして、緊急事態になる直前、あるいはなってから、操作権限が突然移譲されたとしても、もうドライバーがいかなる操作をしても手遅れである可能性があり、少しの猶予があるとしても突然移譲されて正常な対処が間に合わない可能性もあります。
その為、システム側の責任とするか、ドライバーの責任とするか、というのが曖昧になってしまい、事故がおきた際に責任の押し付け合いになることが考えられます。


道路の整備


自動運転の課題は、自動運転技術や法律の問題だけではありません。
正しく自動運転するために道路の整備が必要です。

●白線等の道路標示の修正
自動運転車は道路にひかれた白線を元にステアリングを操作することになりますが、白線の薄い(あるいは消えてしまった)道路を走行する場合はシステムが「道」を適切に判断できないため、直線はともかく、カーブで白線が消えている場合はかなり危険です。
また、舗装されていない道路ではそもそも白線が引かれていないこともあります。
交通量が非常に多い首都高や、あまり整備されていない道路などは白線が消えてしまっている可能性がありますが、そういった道路を全て整備し直さなければ自動運転車は安全に走行できません。

●複雑な形状の道路、交差点の改装
白線などが消えていなかったとしても、日本の道路は単純な十字型の交差点だけではなく、非常に入り組んだ複雑な交差点などもあるため、システムがそういった複雑な道路にあたった時にどこまで適切に判断できるかは不透明な部分もあります。
例外的な道路全てに対応するには、システム側で全て対応するのは現実的でなく、必要性に応じて自動運転に適したわかりやすい道路に改装することも検討すべきではないかと思われます。
もちろん工事のコストはかかりますが、その方が自動運転でない普通の車にとっても運転しやすくなるというメリットもあります。


職業ドライバーの需要減少


自動運転が一般家庭に普及する前に、タクシーやバスといった交通手段や、輸送関連などの職業ドライバーの人件費がかかる分野で積極的に自動運転が推進されることが考えられます。
他にも、自動車教習所の教官などは直接的に影響がなくとも、完全自動運転により免許取得の必要性が減ることで、間接的に影響が出て来るでしょう。
完全自動運転による人件費の節約は利用料金に反映されると考えられるため、一般的な消費者からすればメリットがありますが、仕事が減る職業ドライバーにとっては非常に大きなデメリットでもあります。
今後の職業ドライバーについては自動運転の普及に伴って新しく採用する人を減らすことが考えられますが、既に職業ドライバーとして就職している人は仕事が減った結果転職を検討しようにも、運転技術を活かし辛くなるため再就職も難しくなってしまいます。
自動運転がすぐに普及することはないので、短期的に目立った影響は現れないと思われますが、時間をかけて徐々に影響が出て来るでしょう。



まとめ


自動運転には様々な課題が残されており、すぐに完全自動運転が実現し普及することはないでしょう。
しかし自動運転によって得られるメリットを考えれば長い時間をかけて普及に取り組むだけの価値があると考えられます。

自分で運転することの楽しさというものもありますが、それとは別に自動運転の進化は多くの人にとって有益なものですので、是非このまま進めていって欲しい所です。



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