2015/09/15
ハイブリッドカーは、カタログデータでリッター38.0km(JC08モード値)を叩き出している車種もありますし、条件にもよりますが、リッター20kmを超える実走行燃費を普通に出せるだけの性能を備えています。燃費がよいということは、使用するガソリンの量が少なくて済み、環境に優しいということになります。
ハイブリッドカーは、通常のガソリン車やディーゼル車にはない、非常に複雑な装置を搭載しています。とくに、ハイブリッドカーのエネルギー源とも言うべき走行用バッテリーには、ニッケル水素電池(プリウスPHVやアウトランダ―PHEVはリチウムイオン電池)が使われていますし、走行用モーターや、モーターの回転速度を調節するインバーターも搭載しています。そのため、ハイブリッドカーを製造する際に発生する二酸化炭素は、日本自動車工業会の資料によると、通常のガソリン車と比べて約2割ほど多いとされています。一方で、走行に伴う二酸化炭素排出量は、通常のガソリン車よりも約4割ほど少ないとされています。その上で、製造時と走行時の二酸化炭素排出量をトータルで見れば、ハイブリッドカーは約3割ほど少ないため、環境に優しいとされています。一見すると、非の打ち所がない素晴らしい成果のように見えます。
製品が及ぼす環境への影響は、製造や輸送、販売や使用、そして廃棄といった、製品の一生涯を通じての環境影響を評価する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」という考え方に基づき判断されます。メーカーは、LCAの観点からもハイブリッドカーが有利と主張しますが、ハイブリッドカーの実燃費は、カタログ燃費との乖離がガソリン車よりも多くなる傾向がありますので、前述した二酸化炭素排出量の削減度合いが、実態を忠実に反映したものと言えるのかは疑わしいとも思えます。加えて、二酸化炭素は、製造時や走行時のみならず、廃棄処分される際にも排出されます。また、ガソリン車とハイブリッドカーを比較する際には、生涯走行距離15万キロなどの条件に基づいて比較しますが、その条件よりも短い走行距離で比較した場合、ハイブリッドカーが必ずしも有利とは言えない状況も起こりえます。さらに、二酸化炭素に限らず、金属資源を採掘する際や廃棄処分をおこなう際に出る有害物質なども考慮する必要があります。
これらのことから、我々一般ユーザーとしては、ハイブリッドカーに対し、燃費性能という点では確かに優位性があるものの、「ハイブリッドカーの一生涯をトータルで見た場合、必ずしもエコではない場合もある」ということを知っておいて損はないと思います。
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