2016/01/05
VICS(道路交通情報通信システム)は、道路上に設置したセンサーやカメラを使って収集した交通状況を分析し、自動車に搭載したカーナビに渋滞中の道路を表示したり、主要地点間の所要時間を表示したり、あるいは工事中や通行止めなどの情報を表示したりするための交通情報データを提供するシステムです。VICSは1996年に運用を開始しましたが、交通情報を自動車に伝える手段として、「FM多重方式」「光ビーコン方式」「電波ビーコン方式」という3つの方式が用いられています。
VICSに用いられている3つの方式のうち、ナビ本体を低コストで製造できるメリットからFM多重方式が広く普及しており、年々低価格化が進むPND(ポータブル機)を中心に、事実上の標準方式となっています。一方で、光ビーコン方式や電波ビーコン方式は、専用の高価な受信機を別途必要とする機種が大半のため、高級機種以外では非採用のナビが多い状況です。また、交通情報の提供方法に関しても、FM多重方式では文字情報に特化した形で提供されるため、渋滞状況を考慮したルート案内ができない状況が続いています。
このような不便な状況を一掃するのが、2015年4月から運用を開始した「VICSワイド」です。VICSワイドはFM多重方式で運用されており、渋滞情報に基づいた渋滞回避ルートの検索という、従来であればビーコン方式でしか受けられなかったサービスが利用できるようになっています。加えて、現場からの交通情報の収集手段として、主要道路に設置されているセンサーやカメラ映像だけでなく、タクシーなどに搭載されている位置情報システムのデータを利用することで、センサーやカメラが設置されていない裏道を使った場合のコースや移動時間も加味した道路情報の分析を行い、従来よりも的確な推奨ルートの検索に役立てることが可能となっています。
VICSワイドを利用するには、VICSワイドに対応した新しいカーナビを購入する方法のほか、既存のVICS対応カーナビの中には、ソフトウェアバージョンアップによりVICSワイドに対応可能となる機種もあります。一方、VICSワイド非対応のカーナビでは、VICSワイドに盛り込まれている渋滞情報を考慮したルート検索はできないものの、既存のVICSサービスは利用可能です。従来のビーコン方式よりも低コストで製造できることから、今後発売される多くのカーナビにVICSワイドが搭載されるのは確実です。VICSのサービス開始からもうすぐ20年。ようやくドライバー本位のサービスに進化を遂げたVICSワイドの今後の普及に、大いに期待しましょう。
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