BMWのATがよく壊れることは、E60辺りのモデルでも相変わらずです。今度のやつ は大丈夫、国産車とそ んなに変わらないよ、と、モデルチェンジの度にメーカーやディーラーは自信たっぷりに語るのですが、5年も経って次のモデルの噂がちらほら出始める頃にな ると化けの皮が剥がれて元の木阿弥、今度出るモデルは大幅に信頼性と耐久性を向上しました、などと繰り返しますが、まるでオオカミ少年です。故障箇所は、 クラッチの摩耗、油圧回路のつまり、ソレノイドの破損等、メカニカルな部分が多いですが、どこが壊れてもディーラーでは修理せずリビルトで積み替え、50 万円以上の高額修理です。日本の真夏の市街地走行は、ATにとって非常に過酷です。40℃近い気温の中で、低速でゴーストップを繰り返したり渋滞にはまっ てしまう走行条件は、BMWのATにとっては耐え難いようで、冷却が追いつかずにATFの劣化が進み、クラッチの焼けや異常摩耗が出やすいようです。渋滞 のない高速道路の長距離走行というのは、実は車にとって意外にストレスの少ないモードです。走行による風がふんだんに得られますので、冷却は楽ですし、高 めのギアで一定速を維持するのでエンジンやATにかかる負担は高くないのです。そのようなモードで走らせれば距離の割に痛みが少なくなるのは当然のことで す。BMWでは、高速を順調に走ってきた後、渋滞でノロノロ運転に入ったところで冷却系が破裂してオーバーヒート、といった故障事例がよくあります。 ATFもラジエーターを使って冷却していますので、走行風が得にくい低速運転で加減速を繰り返されればストレスを受けます。もともと本国の欧州ではMTの ディーゼル車が売れ筋の車ですから、日本仕様に関しては十分に「枯れて」いない感じがします。ということで、BMWのATは10万キロ超えたら一度は積み 替えを覚悟しておいた方が良いです。下取価格や中古買い取り価格が激安なのも、そうしたリスクを織り込んでいるからです。