2016/12/12
イモビライザーは電子的な鍵により、エンジン始動を制御するシステムです。 車のキーにその鍵固有のIDコードを持った電子チップ(トランスポンダ)が埋め込まれており、イグニッションスイッチを入れる際に車両側のIDコードとキー側のIDコードが一致するかを判別し、IDが一致した場合にのみエンジンを始動する仕組みになっています。 しかも、電子チップと車両それぞれに複数種類の電子キーが設定されており、認証も複数回行われます。 IDは暗号化されていて、複数回の認証により、膨大な組み合わせとなるため、IDを複製することは困難です。 イモビライザーがない通常の車のキーは、合鍵を作るのは難しくはありません。 合鍵でドアを開けたあと、エンジンもその合鍵で始動させることが可能です。 イモビライザーがあるキーの場合、金属の鍵の部分は合鍵を作るのは難しくありませんが、それだけではエンジン始動するための電子チップを持たないため、ドアは開けられてもエンジンを始動できません。 これまでの説明の通り、「エンジンの始動をできなくする」だけの機能ですので、車上荒らしに対しては効果がありませんし、レッカー車や積載車などを使われてしまえばエンジンを始動せずとも陸送できるため、車両盗難されてしまうことになります。 また、イモビライザー自体にもセキュリティリスクがあるため、完璧なセキュリティシステムというわけではありません。
イモビライザー自体のセキュリティリスクは大きく分けて2つあり、一つ目はイモビライザーを無効化する「イモビカッター」の存在です。 イモビカッターは運転席付近のODBコネクターに差し込む機器で、車両側のIDを初期化して新しいIDで書き換えてしまう(イモビカッターを使用する窃盗犯が所持するキーのIDにする)というものです。 イモビカッターによるID書き換えは、コネクターに差し込むだけの手間でほんの数秒で出来てしまいます。 手慣れた犯人であれば、鍵のこじ開けや三角窓の破壊でドアを開け、イモビカッターでエンジンを始動し、車両を盗難するまで合計しても5分とかかりません。 本来、イモビカッターというのは、イモビライザー搭載車でキーを紛失した際にエンジン始動させられるようにするための製品であって、車両盗難などの犯罪に使うためのものではありません。そのため、正当な理由(自動車関連業者や鍵の専門業者などが鍵紛失に対応するため)なくイモビカッターを所持することは、各都道府県の条例で禁止されています。 とは言えイモビカッターを所持している人を見つけ出す手段があるわけではないので、イモビカッター所持により検挙に至るケースはあまり多くはないと思われます。 なお、イモビカッターを無効化する「イモビカッターガード」という製品も存在します。
イモビライザーのセキュリティリスクの二つ目は「イモビライザーキーの複製」です。 イモビライザーの合鍵(電子チップのID)を作るための「ディクリプター」と呼ばれる機器が存在します。 電子チップのIDは簡単に解析・複製できないというだけで、専用の機器があれば複製できるのです。 これもイモビカッター同様に、犯罪を幇助するために作られたものではなく、正当に合鍵を作るためのものです。 ただし、合鍵を作るということは、一旦は本物の鍵を手に入れる必要があるため、本物の鍵がなくともエンジン始動までできてしまうイモビカッターよりも悪用されるケースは少ないと思われます。
自動車メーカー側もイモビライザーが完全なセキュリティではないことはわかっていますので、イモビライザーのセキュリティを強化しています。 具体例としては、BMWはエンジン始動のたびにIDを書き換えるシステム(=ある時点のキーを複製しても毎回書き換わるので無意味になる)にしており、ホンダは車両本体とキーがセットで存在しなければIDの登録ができないというシステムを導入しています。 しかし、これらの進化したイモビライザーがあった所で、それをかい潜って車両盗難をしたり、車上荒らしをすることは可能です。 イモビライザーは防犯のための補助的な装置であることを理解し、イモビライザーがあるからといって安心するのではなく、別途カーセキュリティを導入したり、監視カメラなどの防犯システムの導入をする方が良いでしょう。
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