2015/07/21
自動車には、クーペと呼ばれるジャンルが存在します。かつて、クーペといえば、2ドアもしくは3ドアと相場が決まっていました。たとえば、2ドアクーペでは日産のシルビアやホンダのプレリュード、3ドアクーペでは日産の180SXやCR-Xなどが人気を博しました。現在でも、2ドアや3ドアのクーペは、日本のみならず世界中で販売されています。また、2ドアや3ドアのクーペは、ボディを横から見た際に、ボンネット・キャビン・トランクがオーソドックスな凸型をしているノッチバッククーペと、キャビン後部からトランクへのラインやリアウィンドーに大きめの傾斜角度をつけたファストバッククーペなど、いくつかの種類が存在します。一方、最近では4ドアや5ドアなのにクーペを名乗る車種がいくつも登場しています。これらは、従来からあるセダンとどういった違いがあるのでしょうか。
4ドアクーペとセダンの違いを語る前に、そもそもクーペとは何かを考察してみたいと思います。自動車という乗り物は、実用性という点を重視するのであれば、ドアの枚数は多いほうが明らかに便利です。たとえば、運転席と助手席、そして後部座席の左右にそれぞれ1枚ずつ、合計4枚のドアがある4ドアセダンは、乗員の乗り降りのしやすさという点では非常に優れています。また乗降用の4枚のドアに加え、キャビン後部の荷物積載スペースへのアクセスが可能な、リアゲートを設けた5ドア車ハッチバック車もとても便利です。しかし自動車は、実用本位の価値観ばかりではなく、車体のデザイン性や車内空間の演出を含めた非日常性なども、重要な価値観となります。たとえば、2ドアクーペは、乗車定員が4~5人となっていても、乗降ドアは2枚しかなく、後部座席への乗り降りの際には、助手席のシートを前方に大きくスライドさせ、さらに背もたれを前に倒すといった面倒な操作が必要です。しかも、後部座席が異様に狭いクーペもたくさんあります。反面、クーペで最も重視されてきたのが、スペシャリティーな演出です。別の言い方をすれば、クーペは、カップルが2人で過ごす特別な空間であり、スマートにドライブデートができ、カッコいい自動車と認識されてきたジャンルといえます。
4ドアクーペは、2ドアや3ドアのクーペが元来備えていたスペシャリティー性を重視しつつ、4ドアならではの乗降性のよさという実用性をも兼ね備えた車種であるといえます。そのためには、従来からのクーペを彷彿とさせる流麗なデザインが必須です。そして、4ドア化したとはいえ、車内空間のスペシャリティー性も確保することが重要です。これらの要素を高度に備えたものが、4ドアクーペということになります。4ドアクーペの具体例としては、BMW6シリーズのグランクーペやアウディA7、メルセデスベンツCLSやマツダRX-8などが該当します。一方、従来からのセダンとの違いについては、自動車業界としての明確な基準が存在するわけではありません。そのため、メーカーがクーペを意識して設計開発し、4ドアクーペと名乗っていれば、それはクーペですし、BMWのGT(グランツーリスモ)のようにクロスオーバーとして開発していれば、それはクロスオーバーですし、セダンと名乗っていれば、それは文字通りセダンになるという、非常にカテゴライズしにくい世の中になってきました。言い換えれば、従来の枠にとらわれない価値観や、まったく新しい設計思想に基づく車種が増えてきたことの証と言えるでしょう。
SSL暗号化通信
当サイトではプライバシー保護のため、「SSL暗号化通信」を実現しています。お客様の情報が一般に公開されることは一切ございませんので、ご安心ください。
✕
メーカーを選択してください必須
国産車
輸入車
車種を選択してください必須
年式を選択してください
走行距離を選択してください