2015/08/28
この意見は、「地球の重力があるので、下り坂ではアクセルを踏まなくても、車は加速することができる。しかし、トランスミッションとエンジンを切り離さないと、エンジンブレーキが掛かったような状態になる。Nにしたほうが加速にいっそう弾みがつくので経済的だ」といった考え方に基づいているようです。つまり、「エンジンとトランスミッションがつながった状態だと、加速の邪魔になるからNに入れるほうがいい」というわけです。しかし、この意見には疑問符を付けざるをえません。
走行中にNに入れてしまうと、どうなるのか。エンジンはアイドリング状態になります。車種にもよりますが、概ね1000回転/分でエンジンを回し続けることになるため、燃料を消費してしまいます。一方、ギアが入っている状態でアクセルオフすると、燃料カットが作動しますので燃料は消費されません(※条件や車種によっては燃料カットが作動しない場合もあります)。さらに、MT車の場合のギア選択については、その時々の車速や路面の傾斜に合った最適なギアに入れるのが鉄則です。たとえば、下り坂でスピードをもっと上げたい場合には5速などの高めのギアに入れればいいですし、急坂をゆっくり下りたい場合には2速などの低めのギアに入れるといった具合です。ギア選択を適切に行うことにより、効果的な速度調整が可能となります。加えて、下り坂でのブレーキの使用頻度を減らすことが可能となり、ブレーキパッドの過熱を防いだり寿命を長くしたりする効果もあります。
AT車の場合もMT車の場合と同様、Nに入れることによりアイドリング状態となるため、燃料を消費してしまいます。また、AT車もMT車ほど強力ではないものの、Dレンジの下にある2レンジやLレンジ(レンジ設定は車種によって異なります)に入れるとエンジンブレーキが効きます。これを併用することで急な下り坂などでの速度調整もできますし、ブレーキパッドの寿命を長くすることにもつながります。しかしNに入れると、この恩恵にあずかることはできません。さらに、トルクコンバーターを用いるAT車の場合、走行中にNに入れてしまうと、AT内部でのオイル供給が隅々まで行き渡らなくなる場合があり、AT自体が故障してしまう恐れがあります。燃費向上や経済性を意識するのは大切なことですが、効果に疑問符がつく方法を実行することで、ブレーキパッドの寿命を短くしたり、ATを壊してしまったりしては元も子もありません。下り坂に限らず、走行中にNに入れるのは避けたほうがいいでしょう。
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