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2016/08/19

スパイクタイヤって何?

冬タイヤのうち、スパイクタイヤというものがあったのをご存知ですか?タイヤ表面にスパイク(鋲)を埋め込んで氷上でのグリップ力をあげることが出来るタイヤです。現在はスタッドレスタイヤに置き換わり、日本で販売されることがなくなったスパイクタイヤについて説明しようと思います。

スパイクタイヤとは


スパイクタイヤとは、凍結した路面を滑らずに走行するためにタイヤ表面に金属などで作られた鋲(=スタッド)を埋め込んだタイヤのことです。
現在主に使われている冬タイヤである「スタッドレスタイヤ」というのは、鋲(=スタッド)が無い(=レス)タイヤという意味です。
スパイクタイヤは鋲(=スタッド)が氷に突き刺さるので、普通のタイヤに比べると凍結路面上でのグリップ力が格段に上がります。

スパイクタイヤは1950年頃にフィンランドで誕生し、1960年代にヨーロッパで急速に発展しました。フィンランドなどでは今でもスパイクタイヤが利用されています。
日本では1962年から生産を開始し、1970年代に本格普及しました。
通常のスノータイヤに比べて凍結した道路を安全に走行することができ、タイヤチェーンと違って脱着の手間が不要だったため、積雪寒冷地域では一時期100%近い装着率になっていました。


スパイクタイヤの問題点と脱スパイク運動


スパイクタイヤは、氷の上を走行している時にはあまり問題はないのですが、凍っていない普通の路面を走行する場合、その突き出した鋲(スタッド)がアスファルト表面や道路塗装材を削ってしまい、粉塵(=車粉)が大量に発生するという問題があり、特に粉塵が多かった仙台市では「仙台砂漠」と呼ばれる(粉塵が砂漠の砂のように積もるほど発生していた)ほどで、大きな社会問題となっていました。
他の地域では、札幌市のさっぽろ雪まつりでは粉塵によって雪像が黒く汚れるなどの問題もありました。

粉塵を吸い込んだ際に、通常は鼻毛や気管支の繊毛が肺に侵入することを防ぐなど、異物を排除する人体の機能が働きますが、その能力の限界を超えてしまうような大量の粉塵を継続的に吸い込むと、粉塵が肺に蓄積されていき、塵肺(肺に粉塵が蓄積した事で引き起こされる疾病の総称)を引き起こし、最悪肺がんになることもあります。

粉塵の発生源は当初ははっきりとわかっておらず、「スパイクタイヤが原因(スパイクタイヤの利用を自粛すべき)」という意見と、「未舗装道路から持ち込まれる土泥が原因であり、スパイクタイヤは無関係(スパイクタイヤは冬場走行するために必要)」とする意見にわかれていました。
しかし、仙台市では粉塵問題に本格的に取り組むため、「仙台市道路粉じん問題研究会」を1981年に発足し、それにより「スパイクタイヤが原因」であることを特定・発表しました。
その後、スパイクタイヤ使用の自粛を呼びかけ、自治体やマスコミを巻き込んでスパイクタイヤの装着率低下を図っていき、最終的には1990年に「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が制定されました。
その結果、スパイクタイヤは日本国内においてはほとんどなくなり、冬用のタイヤはスタッドレスタイヤに置き換えられ、粉塵問題は収束しました。
スパイクタイヤの装着率の低下と共に、仙台市の空は年々目に見えて綺麗になったそうです。

スパイクタイヤの粉塵問題は、生活公害(一般市民の日常生活が原因の公害)を完全に解決した貴重な例だそうです。スパイクタイヤの粉塵問題の解決過程を参考に現状問題になっている他の生活公害やその他問題を解決できると良いですね。


日本でのスパイクタイヤの現状


「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が制定されたことにより、スパイクタイヤは凍結・積雪の状態の路面では使用を認められていますが、それ以外の場合はコンクリートの路面上をスパイクタイヤで走行することは禁止されました。
スパイクタイヤを法律に違反することなく利用するには、乾いた路面を走行する時に毎回タイヤを履き替える必要ができたため、スパイクタイヤの装着率は格段に減り、日本国内のタイヤ店での販売もなくなりました。
ただし、除雪車や緊急車両は路面の状態に関わらずスパイクタイヤを使用可能です。
特に除雪車などは普通車よりも過酷(雪が溜まっている・アイスバーンが多い)な環境で重い車体を走らせることになり、スタッドレスタイヤではグリップ力が不足するため、スパイクタイヤを装着しているそうです。

また、スパイクタイヤがほとんどなくなったのは、「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」の影響だけでなく、スタッドレスタイヤの性能向上による部分も大きいです。
スタッドレスタイヤは路面へのダメージが普通のタイヤとあまり変わらないため、粉塵を出すことはありません。
ただし、スパイクタイヤが全盛期の頃には、スタッドレスタイヤの凍結した道路での安定走行性能は今ほど高くなかったため、スパイクタイヤを自粛することで(性能の低い頃のスタッドレスタイヤに履き替えるだけでは)凍結した路面での事故が多くなってしまうのではないかという懸念もありました。
しかし、タイヤメーカーと自動車メーカーは脱スパイクタイヤの運動に積極に取り組み、スタッドレスタイヤの性能向上に努めた結果、スパイクタイヤの代替品としてスタッドレスタイヤが利用されるようになったのです。
このスタッドレスタイヤの性能向上がなければ、法律に違反してでもスパイクタイヤの利用を継続したドライバーもいたかもしれません。


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