2016/09/23
「金融車」はローンの返済が終わっていない車が、所有者(=ローン会社)の意思に関わらず売買されている車のことを指します。
当然のことながら、車を他者に譲渡する際、自動車検査証(車検証)に記載されている所有者が許可しなければ、書類上で所有者の名義変更などはできません。
ローン車の場合は、殆どはローン会社が所有者になっていますので、ローンして車を買った人(車の使用者)が、ローン会社の許可(=ローンの完済)なく勝手に車の所有者の名義変更をすることはできないので、普通の中古車店などで売ったり、廃車手続きすることはできません。
そして、何らかの理由でローンが残ったまま市場に流通している車のことを「金融車」と呼びます。
金融車は名義変更はできませんが、所有者(ローン会社)や使用者(ローンで車を買った後、ローンが残ったまま車を売った人)以外の第三者が公道を走行するのは車検が残っていてナンバープレートが付いていれば問題はないため、「金融車」は一応は走行できるということになります。
ローンの返済が終わっていない車(金融車)が市場に流通してしまっているのは、いくつかのパターンがあります。
ひとつ目は金融業者の中に、ローンが完済していなくとも、その車を担保として融資を行ってしまう業者があるためです。
残債のある車を担保にして融資してもらったお金を返済できなかった場合は、担保にされた車は「金融車」として流通することになります。
ふたつ目は、「金融車買取専門店」の業者があるためです。
ローンが残っている車を格安で買い叩き、「金融車」として普通の中古車よりも安く販売します。普通の中古車店にはローンが残っている車は売れない(査定金額と相殺してローン残債を精算することは可能です)ので、「金融車買取専門店」に車を売る人がいるようです。
その他には「インターネットオークションで勝手に売っている」というものがあります。金融車専門業者を介するより高く売れるうえ、説明をはぐらかして出品することも可能(車の契約に明るくないユーザーがターゲット)なため、最近はインターネットオークションでの金融車の売買が増えてきています。
インターネットオークションで車を購入する際は、所有権の譲渡・名義変更などについてよく確認する必要があります。例え金融車でなくともインターネットオークションならではのリスクが他にも多くあるので、車のような高額な製品をインターネットオークションで購入するのはあまりオススメできません。
ひとつ目のパターン以外については厳密には金融業者と直接的な関わりがないので「金融車」と言えないような気もしますが、「諸事情で名義変更できない状態の自動車」は一般的に「金融車」と呼ばれています。
金融車は高級車であることも多く(ローンを完済できない=経済的に無理をして購入した可能性が高い)、高級車が普通の中古車店よりも安く買えることに魅力を感じて、金融車のリスクをあまり考えずに購入してしまう人もいるようです。
では具体的にどのようなリスクがあるかという説明をします。
●任意保険に加入できない
保険会社によりますが、「記名被保険者」と「所有者」が異なる場合は、任意保険に加入できないケースがほとんどです。
また、加入できたとしても等級の引き継ぎの条件は満たせないため、新規の契約となります。(金融車として安く車両を購入できても、保険料が上がってしまう)
さらに、金融車は保険の加入を断られる可能性が高いため、保険代理店が保険会社に虚偽申請して加入しているケースがあります。もちろん虚偽申請であれば、事故の際に保険金が支払われません。
●車検が通せない
車検は自動車税の納税証明書が必要になります。
金融車を手放した人(ローンを返済できないまま、車を売った)が、自分が使えなくなった車の自動車税を素直に収める可能性は限りなく低く、車検を通すことができなくなってしまいます。
●所有者から車両の返還を求められる可能性がある
金融車はローン会社の所有物ですので、返還を求めることができます。
道路運送車両法では所有者の返還請求を断ることはできません。
●所有者が抹消登録をすると無車検車になる
所有者は強制的に抹消登録することができますが、抹消登録をしたら無車検の状態になりますので、そのまま走行すれば道路交通法違反となります。
●ナンバープレートや車検証の再発行手続きができない
ナンバープレートや車検証を紛失した場合、所有者が承諾しなければ再発行することはできません。ナンバープレートか車検証を紛失してしまうと運転できない状態になります。
●不要になっても廃車・解体できない
廃車(一時抹消や永久抹消)は所有者の許可が必要になりますので、仮に車が不要になっても勝手に廃車することはできません。
●暴力団の資金源になっている可能性がある
金融車はその流通経路からして、暴力団との関わりがあることも考えられます。
金融車を購入した後に、暴力団が現れ車を巻き上げられる(脅されるか、予め用意された合鍵で盗難されるか)可能性もあります。
警察に助けを求めたとしても、車検証に記載されている所有者・使用者いずれも関係ない第三者なため、まともに取り合ってもらえないと思われます。
金融車を購入した場合、車を手放した人の譲渡する意思を記載した書類(「譲渡証明書」「委任状」「印鑑証明書」など)を受け取ることができますが、車の所有権はローン会社にあるため、それらの書類には法的には何の意味もありません。
「譲渡証明書があるから正式にあなた(金融車購入者)の車になりますよ。」などと吹き込まれるケースもあるようですが、騙されてはいけません。
法律上の所有者はあくまで車検証に記載されている所有者(ローン会社)です。
金融車はいずれもまともな流通経路ではないので、安くてもリスクを考えれば購入することはやめておくべきでしょう。
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