2016/11/21
世界最古の自動車は、1769年にフランスで作られた、「キュニョーの砲車」というものです。 自動車が普及するまでは馬(馬車)が移動・輸送の主な手段でしたが、当時研究が進んでいた蒸気を利用して荷車を動かす計画が立ち上がり、ニコラ=ジョセフ=キュニョーというフランスの軍事技術者が研究・開発したものが「キュニョーの砲車」です。 「キュニョーの砲車」は蒸気を動力にした世界初の自動車と呼べるものでした。 運転者用の座席と簡単な荷台に3輪(前輪1つと後輪2つ)のタイヤがついており、前輪の前に動力装置となるボイラーとシリンダーを設置しています。 そして駆動輪も前輪だったため、今風に言えば「FF方式(フロントエンジン・フロントドライブ方式)」だったということです。 これまで「FF」以外に「MR」「RR」など様々な駆動方式の自動車が登場しましたが、最古の自動車と、最近の自動車の主流の駆動方式が同じというのは興味深いですね。 なお、最古の車ながら「ブレーキ」「ハンドル」「アクセル(ロッドで蒸気を制御する)」「トランスミッション(ラチェット機構の爪を掛け替えることで後退できた)」といった制御装置も既に存在しており、現在の自動車の土台となりました。
前輪の前に火室と一体になったボイラーが設置されており、ここで燃料を燃焼させ、蒸気を発生させ、2組のシリンダーとピストンによって、前輪(1輪のみ)の両側から交互に力を加えることで駆動していました。 蒸気を出すために水が必要になりますが、給水は停車して行わなければならず、蒸気の力が元に戻るまで待つ必要がありました。 時速は約9km程だせたようですが、15分ほど走行して停車し、給水して15分ボイラーを休ませるのを繰り返しながら走行するため、実質的な移動速度は時速4km程だったそうです。
名前に「砲車」とつくように、5トンもの重量の大砲を運ぶ運送用の車両として開発されました。 当時のフランスは、プロイセン・イギリスとの戦争に敗北し、軍事力強化に邁進していました。 フランス陸軍は、その頃に最新技術だった蒸気動力によって大砲を運搬するための大型車両の開発を、軍事技術者であるニコラ=ジョセフ=キュニョーに依頼しました。 携帯電話・インターネット・GPSなど、軍事目的のために発達した技術が転用されて一般利用されるのはよくある話ですが、自動車も例外ではなかったようです。 4人まで乗ることができますが、主目的は重量物の運搬ですので、後方は全て荷台となっていました。
キュニョーの砲車は、1号車と2号車が開発されています。 1号車は試作機であり、本来の半分のサイズで作られました。 しかし予定の半分とは言え、現在の一般的な普通乗用車よりも大きく、人が乗って運転することが可能な状態にまでなっていました。 着手からおよそ6ヶ月で試作車である1号機は完成しました。 2号機は当初の予定のサイズで完成しましたが、試運転の際に事故を起こして故障してしまい、修理して再度試運転をしようとしましたが、宮廷内の抗争により、砲車のプロジェクト推進派が失脚し、プロジェクトは凍結されてしまいました。 その後ナポレオンの時代に博物館に移送され、保管・展示されることになりました。 現在でも2号機は世界最古の自動車として存在し、見学することが可能です。
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