2017/02/20
年間を通して、最も優れた車を選定する「カー・オブ・ザ・イヤー」という賞は有名ですが、似たようなものとして過去に1度だけ「カー・オブ・ザ・センチュリー」というものがありました。 「カー・オブ・ザ・イヤー」が1年という期間での選考であるのに対して、「カー・オブ・ザ・センチュリー」はその名の通り、センチュリー(世紀)=100年という非常に長い期間の中で選考する壮大な賞です。 自動車が歴史上に初めて登場したのは、1769年(「キュニョーの砲車」という蒸気自動車)ですが、自動車が飛躍的に進化を遂げたのは20世紀です。「カー・オブ・ザ・センチュリー」はその20世紀で最も影響力のある車を選ぶ賞でした。 選考の基準は「その時代に於いて自動車として果たした役割・貢献度」などが重視され、単純な性能はあまり重要視されていません。 その為、最近の車よりは自動車の発展の礎となった、重要なクルマが選定されています。 選考は、自動車の専門家とカークラブが作った700車種に及ぶ膨大なリストから始まり、高名な専門家達により200車種に絞られ、次に33カ国から選ばれた132人の自動車ジャーナリスト達による審査団によって100車種に絞られ、さらにインターネット投票と自動車専門家の審査団によって絞られた26台が、1999年3月のジュネーブ・モーターショーで発表されました。 その後、専門家によって5台が最終的にノミネートされ、1999年7月のフランクフルト・モーターショーで発表されました。 最終選考に残った5台は、自動車専門家の審査員達がそれぞれに順位をつけ、つけられた順位に応じたポイントを合算し、そのポイントによって最終的な順位が確定しました。 「カー・オブ・ザ・センチュリー」にノミネートされた上位5つのクルマについて紹介していきます。
「カー・オブ・ザ・センチュリー」第5位は303ポイントを獲得した、「ポルシェ・911」です。 「ポルシェ・911」は、ポルシェの名を冠した最初の自動車であるポルシェ・356の後継車種であり、1964年の販売以来改良・モデルチェンジを重ね続け、今なおポルシェのシンボル的存在として販売され続けています。 モデルチェンジを繰り返していますが、RR(リアエンジン・リアドライブ)方式というレイアウトは一貫しており、高い走行性能・デザイン性を評価され、「カー・オブ・ザ・センチュリー」第5位という結果になりました。
「カー・オブ・ザ・センチュリー」第4位は521ポイントを獲得した、「フォルクスワーゲン・タイプ1(通称ビートル)」です。 国民車構想の計画により生み出され、1938年に生産開始してから2003年までモデルチェンジ無しで世界中で販売され、単一モデルとしては世界最多の累計生産台数のギネス記録を保持する最も成功した伝説的大衆車です。
「カー・オブ・ザ・センチュリー」第3位は567ポイントを獲得した、「シトロエン・DS」です。 「シトロエン・DS」は他に選出されたクルマのメーカーと比較すると普及台数等では劣るものの、個性的で美しいエクステリアが魅力です。 販売当時は非常に珍しい「ハイドロニューマチック・サスペンション」を搭載し、前輪駆動と低重心構造によって高い操縦安定性を誇り、ラリーで好成績を収めました。
「カー・オブ・ザ・センチュリー」第2位は617ポイントを獲得した、「BMC・ミニ」です。 「ミニ」は1959年にブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が生み出した大衆車です。 イギリスの自動車工業界は長く不況が続き、何度も生産・販売会社が変わったものの、40年以上に渡って販売されています。 クルマとして必要最小限を形にした革命的小型車とされ、小さなボディにも関わらず、大人4人が乗れる燃費の良い自動車です。
「カー・オブ・ザ・センチュリー」第1位は742ポイントを獲得した、「フォード・モデルT」です。 日本では「T型フォード」として知られており、モデルチェンジをせずに1500万台以上が生産され、アメリカをはじめとして世界中に普及しました。 「フォード・モデルT」の最大の特徴は、ベルトコンベアを用いたライン生産方式によって大量生産を可能にした史上初の自動車という点です。 ライン生産方式による大量生産・大量消費を可能にした生産システムはメーカーの名前から「フォーディズム」と呼ばれ、自動車工業界のみならず、労働・経済・政治・文化などあらゆる分野に大きな影響を及ぼし、高度経済成長の時代を築く礎となりました。 また、高級品だった自動車が大量生産によって廉価になったことで今までは自動車を持つことができなかった大衆に自動車が普及し、工業だけでなく、多くの人々の生活を変化させた歴史的な自動車です。
「カー・オブ・ザ・センチュリー」が次に開催されるとすれば、2101年頃になるはずですが、その時代に今のような形の自動車が残っているのかはわかりません。 「カー・オブ・ザ・センチュリー」は、自動車の性能ではなく、「その自動車が与えた影響力」が重視されています。 早くて数年、十数年後には完全自動運転が実現すると思われますが、「初めて完全自動運転を実現したクルマ」は次回の「カー・オブ・ザ・センチュリー」にノミネートされ得る存在でしょう。 皆さんは次回の「カー・オブ・ザ・センチュリー」で、どのようなクルマがノミネートされると思いますか?
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