2017/05/29
「モノコック(monocoque)」は、ギリシャ語で「ひとつの」を意味する「mono」と、フランス語で「貝殻」という意味の「coque」を組み合わせた言葉で、日本語では「応力外皮構造」や「張殻構造」と言われます。 かつての自動車は骨組み(フレーム)とは別に製作したボディを乗せていましたが、外板に強度・剛性を持たせるための工夫をして、骨組み(フレーム)を持たず、外板とフレームを一体化した設計が「モノコック構造」です。 メリットとしては軽量でも剛性を確保することが出来る、低床型に出来る、衝突時の安全性が高い(運動エネルギーを効率良く吸収する)などがあり、デメリットとしては、フレームとボディが一体化しており、全体で衝撃を吸収しているため、事故などで一度変形すると、ボディ全体の剛性が著しく低下してしまうことでしょう。 一度事故で歪んでしまったモノコックボディは、安全性が低下したり、走行にも影響が出ることから、修復歴車(事故に遭って修復したことがある車)は価値が大幅に低下します。 なお、アメリカにおいては「モノコック」は技術的な専門用語の扱いで、自動車の雑誌などの一般的なニュースでは「ユニボディ(unibody)」という言葉が使われるようです。
「モノコックボディ」登場以前に主流だった、「ラダーフレーム」についても紹介しておきます。 「ラダーフレーム」(ラダー=はしご)は「はしご型フレーム」とも言われ、その名が指す通り、はしご状のフレームをベースにボディ(外板)を被せる方式です。 モノコックボディとは異なり、設計・製作・修理が簡単で、耐久性に優れた方式で、現在も車種によっては採用されています。 デメリットはモノコックボディと比較すると、車体重量が重くなりがちで、重心も高くなってしまうことや、頑丈すぎるが故に事故の際の衝撃が乗員に伝わりやすいことなどです。 今日では乗用車の多くがモノコックボディになっていますが、強度が求められる大型の自動車(ほとんどのトラックや一部のバス・SUVなど)は今も「ラダーフレーム」です。 また、本格的なオフロード(クロスカントリー)向けの車は、今でも「ラダーフレーム」にこだわっています。モノコックボディの場合、悪路走行中にボディが歪み、走行に支障が出たり、最悪の場合走行不能の状態に陥る可能性があります。頑強なボディを持つ「ラダーフレーム」であれば、そういった悪路でも物ともせず、走破することが可能なのです。
1922年に初めてモノコックボディの車が登場するまで、ラダーフレームが主流でした。 その世界初のモノコックボディ採用車が「ランチア・ラムダ」です。 イタリア自動車メーカーであるランチアの創設者である「ヴィンチェンツォ・ランチア」は、当時自動車ではラダーフレームが主流だった時代に、造船工場の見学中に船舶の船底構造から着想を得て、モノコックフレームの「ラムダ」を設計・開発します。 世界初のモノコック構造だけでも画期的ですが、「ラムダ」は他にも量産型四輪乗用車で世界初の前輪独立懸架式(左右の車輪・車軸が独立して上下する)を採用しており、その後の自動車工学に多大な影響を与えることになり、「当時の自動車工学・技術的進化を10年分前倒しした」と評価された程だそうです。
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