カーエアコンのメンテナンスはしていますか?

クルマの豆知識

エアコンフィルターが原因?

車のエアコンから異臭がしたり、冷房や暖房の効きが悪くなった時にまず疑うべきなのは、カーエアコンのフィルターでしょう。

車(エアコン)の使用頻度にもよりますが、一般的にエアコンフィルターの交換周期は1年程度と言われています。 1年というと非常に短いように思えますが、基本的に内気循環のみで運転するルームエアコンとは違い、カーエアコンは外気導入と内気循環を使い分けており、特に外気には砂埃や花粉など色々な汚れが含まれているため、フィルターにとっては非常に過酷な環境で、汚れが溜まるまでに時間はあまりかかりません。

1年点検や車検など、色々なタイミングで点検を依頼している業者から、エアコンフィルター交換を勧められることがよく有りますが、単価の高いフィルターを使ったり、交換の工賃も加算されたりすると、意外と費用がかかってしまうものです。 しかし、カーエアコンのフィルターは多くの車種で簡単にメンテナンスすることができますので、一度自分でやってみるのも一つの手です。

なお、比較的新しい車種であればほとんどはエアコンフィルターが装着されていますが、古い車種や一部の事業用自動車(トヨタ・ハイエース等)にはフィルターが取り付けられていなかったり、虫除けのための簡易的な網が設置されているだけで、まともなフィルターがない場合もありますので、そういった場合は後付可能であればエアコンフィルターを購入して取り付けることをオススメします。 フィルターがなくてもエアコンが動作すれば大きな問題はありませんが、フィルターにより花粉やPM2.5なども除去・低減することができますので、より快適になります。

エアコンフィルターの洗浄・交換

ではエアコンフィルターのメンテナンスはどうすれば良いのかと言うことになりますが、「フィルター洗浄」あるいは「フィルター交換」の2通りの方法があります。 「フィルター交換」の方が確実な効果が期待できますが、交換用のフィルターを購入する(商品にもよりますが安いもので2,000円前後です)必要がありますので、頑張って節約したい方は費用がほとんどかからない「フィルター洗浄」を一度試してみて、その後あまり効果がなかった場合に「フィルター交換」をすると良いかも知れません。

それぞれの手順は以下の通りです。

まず初めに、洗浄と交換のどちらの方法を選択するとしても、現在取り付けてあるフィルターを外す必要があります。 エアコンフィルターは多くの車種において、グローブボックスの奥にありますので、まずはグローブボックスを取り外しましょう。 ほとんどの車種において、特別な工具は必要ありません(もし工具が必要になる車種や、複雑な構造をしている車種の場合は、工賃の節約は諦め、ディーラーや自動車整備業者に任せるのが得策です)。

グローブボックスを開けた状態にすると、左側面あたりにグローブボックスを固定しているストッパーがあるため、そちらを外します(この際、助手席のドアを開けておくと作業しやすいでしょう)。 ストッパーを外した後は、グローブボックス本体をごそっと外せるようになります。 ※グローブボックスの取り外し方は車種により異なる場合があります。詳細はその車種の取扱説明書に記載されていると思われますので、そちらをご参照ください。

グローブボックスを外すと様々な配線があると思われますが、エアコンフィルター用のケース(多くの場合は白いプラスチックの箱のようなものです)がありますので、そこからフィルターを取り出してください。

①フィルター洗浄の場合

エアコンフィルターは柔らかく破れやすいため、ゴシゴシ擦るのはNGですので、つけ置き洗いが基本です。すすぎや水切りなどの際も慎重に取り扱いましょう。
フィルターによっては丸洗いがNGのものもありますので、事前に確認が必要です。
また、乾燥に時間がかかると雑菌が繁殖し、生乾き特有の臭いが発生するため、洗浄はよく晴れた日に行うようにしましょう。

  1. 取り出したフィルターを軽くはたいて表面に付着したゴミを取り除く
  2. フィルター全体が浸かる程度のお湯に過炭酸ナトリウム系の洗剤を入れ、つけ置き(1時間程度)
  3. つけ置きの途中(30分経過した時など)で裏返す
  4. 1時間程度のつけ置きが完了したら、洗浄液を捨て、水で数回すすぎ洗い
  5. フィルターが破れないよう慎重に水切り
  6. 乾いたタオルなどを敷いた上にフィルターを置いて乾燥させる
  7. フィルターが完全に乾燥したらフィルターケースに取り付ける(表裏があっているか注意)
  8. フィルターケースを閉じ、グローブボックスを元に戻す

②フィルター交換の場合

フィルター交換をする場合は、事前に新しいフィルターを購入しておく必要がありますが、交換する車種に適合するフィルターを選ばなければ無駄になってしまいますので、フィルターが適合するものか注意してください。

  1. 古いフィルターを取り出したら、新しいフィルターに交換(表裏があっているか注意)
  2. フィルターケースを閉じ、グローブボックスを元に戻す

エバポレーターが原因?

エアコンフィルターを洗浄・交換しても、嫌な臭いが取れない場合もあります。 その場合、フィルターではなく「エバポレーター」の方が原因である可能性があります。

「エバポレーター」とは、エアコンの中にある装置の1つで、空気を冷やす役割を持ちます。 冷媒を蒸発(=evaporate)させ、気化熱で冷えたエバポレーターに空気をあてることで冷風を起こしています。

エバポレーターはその仕組み上どうしても結露が発生して水滴が付いてしまうため、運転が終わった後に暖房を数十分間付けるなどしてエバポレーターを十分に乾燥させなければ、少しずつカビや雑菌が繁殖してしまいます。 エバポレーターに付着したカビや汚れなどを軽減することが出来るのがエバポレータークリーナーです。 エバポレータークリーナーの使い方は後程説明します。

なお、エアコンフィルターが付いていない車種などは、エバポレーターに直接ホコリなどが付着するため、エバポレーターに付いた水滴と合わさって汚れがどんどん溜まって、いずれはエバポレーターが詰まってしまい、悪臭の発生・冷却効率の悪化・空気が出なくなるなど、様々な弊害が出てきます。 そこまで汚れてしまったエバポレーターは市販のエバポレータークリーナーでは汚れを除去することは難しく、エバポレーターを取り外して丸洗いする必要があります。 しかしダッシュボードの奥に位置するエバポレーターを取り外すのは素人には難しく、取り外しの際は冷媒ガスを抜く必要もあり(エバポレーター洗浄後に冷媒ガスを補充する必要もあります)、また工具も色々と必要となりますので、自動車整備業者などに洗浄を依頼するのが賢明です。

ここではエアコンフィルターが設置されていて、エバポレーターの汚れが比較的軽微なケースにおいて、一般ユーザーでもできるメンテナンス方法を紹介します。

エバポレータークリーナーで洗浄

エバポレーターの洗浄には、一般ユーザーで出来る範囲であれば、エバポレータークリーナーを利用する方法があります。 エバポレータークリーナーは長いノズルが付属したスプレータイプの洗剤で、発泡させた洗剤をエバポレーターに吹き付け、汚れを浮かせて綺麗にするというものです。 市販のエバポレータークリーナーはエバポレーターの取り外しをする必要がないため、一般ユーザーでも作業可能です。 ただし、エバポレーターを取り外して丸洗いする場合と違い、奥の汚れまでは取り切れないため、汚れが酷い場合はやはり業者に依頼する方が良いでしょう。

エバポレータークリーナーで洗浄する手順を説明します。

まず初めに、クリーナー付属の説明書を確認し、ダッシュボードでエアコン関係の設定を「エアコンOFF・内気循環・風量MAX・設定温度は最低・空気吹き出し口は足元」という風にしておきます。この設定をしておかなければ、洗剤がヒーターユニットの内部に滞留し電子機器が故障する可能性があります。

次に、エアコンフィルターの取り外しの時と同様に、グローブボックスを外し、エアコンフィルターを取り外します。 そして万が一の液漏れに備えて、ダッシュボード下部(エバポレーター下部)にタオルを敷き、電装系の配線に洗浄液が掛からないように、養生してください。

その後は奥にあるエバポレーターに洗剤を全て吹付けましょう。

数分間噴射してエバポレータークリーナーを使い切った後は、エアコンのスイッチをオンにします。〈その他設定はそのまま〉 エアコンをオンにした後は5分程待って、結露水によって洗浄液(と汚れ)を流し出します。

最後にフィルターを取り付け(表裏があっているか注意)、フィルターケースを閉じ、グローブボックスを元に戻します。

これでエバポレーターの洗浄は完了ですが、洗浄直後はクリーナーの臭いが強いため、窓を開けて換気するなどしてください。 エバポレーターは1年に1回程の頻度で洗浄するのが望ましいそうです。 カビなどで汚れた空気を送り出さないようにするため、エバポレーターは定期的な洗浄をオススメします。

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