2017/02/06
「ピールP50」は、イギリス本島とアイルランド島の間にある「マン島」にあった「ピール・エンジニアリングカンパニー」で製造・販売されていた超小型自動車です。
マン島は「マン島TTレース」などのオートバイやサイドカーのレースで世界的に有名ですが、過去には自動車も製造されていました。
「ピール・エンジニアリングカンパニー」はオートバイのフェアリングなどのグラスファイバー製パーツを製造していましたが、その技術を使って1955年にグラスファイバー製の超小型車を製造することを決意し、キットカーで参入する予定でした。
350ccエンジンの三輪自動車「マンクスカー」を作りましたが、税金が上がったため販売は断念します。
その後、1962年に50ccエンジンの三輪自動車「ピールP50」を作りあげ、販売を開始しますが、3年で製造は終了し、たった47台だけが生産されました。更に現存しているのは27台だけです。
「ピールP50」は「大人一人と買い物袋を1つ乗せられる車」という割り切ったコンセントのため非常に小さなサイズで、ギネスブックにも世界最小の量産車として登録されていますが、その生産台数の少なさから希少価値が高くなり、販売当時の定価は199ポンド(現在の価値に換算すると約100万円)だったものの、最近のオークションでは12万ドル(約1350万円)の値がついたようです。
また、「ピールP50」の派生車種として、「トライデント」があります。
スポーツ仕様の「ピールP50」という位置づけですが、バブルキャノピーが特徴のエクステリアだけが違いで、エンジンや変速機など中身は「ピールP50」と同じです。
●エクステリア・インテリア
全長1340mm、全幅990mm、全高1000mm、車両重量65kgという超小形サイズで、乗車定員は1名、ドアは片側一枚のみです。
前照灯は前方にひとつだけですが、サイズを考えると仕方ない所でしょう。
乗車定員1名とは言え、あまりにも小さなサイズのため、大人が乗り込むと三角座りのような格好で運転することになります。
「ピールP50」ではスペースが無いということもありますが、当時は高級車にのみ装備されていたエアコンをはじめとして、ヒーター・ラジオなど様々な装備は付いていません。
ステアリング・ウインカー(フロントのみのため公道走行時は手信号が必要)・シフト機構・ペダル類・ランプ類など、「大人一人と買い物袋を1つ乗せられる車」というコンセプトを満たすためだけの、自動車としての最小限の装備に留めています。
●走行性能
エンジンは50ccで、変速機は3速MT、最高速度は61km/hです。
排気量は少なく、あまりパワーもありませんが、原付きなどのように重量が軽いため、ある程度の速度は出せるようです。
また、バックギアがなく、後退できません。
ではどうやってバックするのかと言うと、非常に軽い重量のため、車の下部に付いた取っ手をつかみ、トロリーバッグのように引っ張って移動することが可能です。
非常に古い車ではありますが、超軽量のため燃費は公称値で35.7km/Lあります。
「ピール・エンジニアリングカンパニー」は1974年には解散していますが、2010年に「ピール・エンジニアリング・リミテッド(ピール・エンジニアリングカンパニーとは直接的な関係はありません)」がレプリカバージョンとして、復刻生産されました。
レプリカバージョンの方は外見こそ似ていたものの、内装やエンジンなどは現代向けに変更されています。
エンジンは特に大きな変更があり、旧来のガソリン車に加え、電気自動車タイプが追加されました。
EV車(電気自動車)はモーター駆動の利点として、バックギアが導入されました。
価格は1万1999ポンドまたは1万4596ドル(約170万円)で、現在も販売中です。
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