2015/07/29
自動車は、雨天時や高温多湿な環境でも安全が保てるよう、水に対する対策がある程度は施されています。そのため、大雨が降り注ぐ状況の中を走行したり、最低地上高を下回る水位の冠水路面をゆっくりと走行したりする程度では、自動車に与えるダメージはほとんどありません。しかし、水位が最低地上高を上回るような状況で走行すると、車体下部やエンジンルームの機器類が浸水によって痛みやすくなりますし、さらに水位が上がってくると、エンジン内部やマフラー内部に水が浸入し、エンジン不調や故障を招く恐れがあります。また、水位が上がると車内にも水が浸入し、内装を濡らすだけでなく、ワイヤーハーネス(電気配線)や車載コンピューターも水に浸かり、電気系統の不具合を引き起こす懸念があります。
水害に遭ってしまった自動車は、どうなるのでしょうか。浸水の程度にもよりますが、水に浸かった部位を清掃し、痛んだ部品を交換すれば、一見すると元の状態に戻ったようにも見えます。しかし、水害車で問題となるのは、完璧な清掃や部品交換が困難であるという点です。ワイヤーハーネスは車体各部に血管のように張り巡らされているため交換が困難ですし、自動車の車体は、強度を増すために複数の鉄板を溶接して袋状の加工がされ、中が空洞となっている箇所がたくさんあります。そういった箇所は、流れ込んだ水分が抜けにくいため、車体内部から錆が発生する恐れがあります。さらに、水に塩分が多く含まれていると、浸水したワイヤーハーネスの劣化を早め、後々になって電気回路のショートを引き起こす可能性もあります。
では、水害車をどのようにして見分けるのでしょうか。水害に遭った後に手入れをしていない自動車であれば、車内の汚れ具合や臭気にもよりますが、水害車であることを比較的容易に見分けられます。しかし、クリーニングや部品交換を徹底的に施した後の自動車であれば、水害車であることを見分けるのはプロでも困難になります。たとえば、クリーニングの手が入りにくい箇所を見つけ、その部位のパネルを外したり、ファイバースコープを挿入したりして、土砂の付着がないかを見るといった地道な確認作業が必要となります。水害車は、パッと見では綺麗に見えても、内部に「病巣」を抱えたままの状態であり、中古車として再流通させるのは好ましくありません。そのため、中古車オークションでは、「水害車」という但し書きをつけ、いわば要注意自動車の扱いで流通することになっています。もし、業者が水害に遭ったばかりの自動車をユーザーから引き取ってクリーニングし、水害車であることを告知せぬまま中古車オークションに出品して、後になって水害車であることが発覚した場合には、その後の流通過程も含め、その業者の賠償責任や刑事責任が問われることになります。
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