2015/08/10
このような制限速度の緩和は、警察庁が2009年10月に発令した「交通規制基準の一部改正について」という通知に基づいて実施されているものです。この通知では、従来からの最高速度規定を改定し、最高60km/hを超える制限速度の指定を可能としています。最高速度が引き上げられた一般道は、2009年度末には14区間(70km/h規制は12区間・総延長81.3km、80km/h規制は2区間・総延長7.7km)だったのが、2012年度末には53区間(70km/h規制は47区間・総延長254.6km、80km/h規制は6区間・総延長23.5km)に拡大しています。
但し、制限速度の緩和は、様々な条件が揃っていないと実施されません。まず、「地域(市街地か非市街地か)」「車線数」「中央分離帯の有無」「歩行者の交通量」といった観点から、それぞれの一般道に基準速度(40km/h・50km/h・60km/h)を設定します。このうち、基準速度が60km/hの一般道について、主に「安全性の確保」「生活環境の保全」「道路構造」「沿道状況」「交通特性」という5つの観点から慎重に検討したうえで、基準速度を上方修正したほうがよいと判断できる場合には、プラス10km/h(最高70km/h)の上方修正を行えることになっています。たとえば、「生活環境の保全」という項目においては、「人家や商店が少ない」「通学路でない」という条件が例示されていますし、「沿道状況」という項目では、「沿道出入り口が少ない」「交差点間隔が長い」という条件が示されています。また、これ以外の基準として、現行の規制速度と「85パーセンタイル速度」との乖離が20km/h以上ある場合には、「適切な規制速度とする」と規定しています。「85パーセンタイル速度」とは、「悪天候や低速走行車の影響がない場合に、当該区間の走行車の85%が出す上限速度」のことです。言い換えれば、「流れに乗った速度=実勢速度」ということになります。最高80km/hの一般道は、この規定に基づくものです。
制限速度の緩和は、多くのドライバーが出す実勢速度という「世論」を規制当局が追認する出来事とも言えます。但し、速度規制を緩和すると、90km/hや100km/h、あるいはそれ以上の速度で走る車が従来よりも増えるのではないか、といった懸念材料もあります。そのため、実際の運用にあたっては、速度規制の緩和という「飴」と、取り締まり強化という「鞭(ムチ)」をうまく併用していく必要があると言えそうです。
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