2015/09/30
自動車の外装パネルに鉄が使われるのは、薄くても強度が保ちやすいことや、大きな交通事故に遭った場合には、パネルがくしゃくしゃに潰れることで、衝撃を吸収する役割を担っていることなどが理由として挙げられます。一方で、バンパーやエアロパーツなどには樹脂がたくさん使用されています。これは、バンパーやエアロパーツが、縁石や壁などへの軽度の接触が起こりやすい部位であり、バンパー(BUMPER=緩衝器)という名前がついている通り、軽度な接触や衝突から、車の内部に大きな影響を及ぼすことを緩和する役割を担っています。そのため、反発力があり、なおかつ可塑性(元に戻ろうとする性質)のある素材として、柔軟性のあるプラスチックが用いられています。一方、自動車の外装パネルにも、主に軽量化を目的として、樹脂を採用する事例が増加傾向にあります。たとえば、タント(ダイハツ)の現行モデルにおいて、フロントフェンダー、ボンネット、リアゲートにポリプロピレン樹脂が使用されているほか、コペン(ダイハツ)、カローラフィールダー(トヨタ)、エクストレイル(日産)、デリカD:5(三菱)などにも、樹脂製パネルが部分的に使用されています。
また、歴史をさかのぼりますと、1983年に登場したバラードスポーツCR-X(ホンダ)において、フロントフェンダーなどにポリカーボネート系の樹脂が使用された事例があります。さらに、1990年からゼネラルモーターズ(GM)が展開し、日本にも1997年に上陸したサターンブランドにおいては、強化樹脂製ドアを採用しました。駐車場で隣の車のドアに勢いよくぶつけられても、へこまなくても済むといったメリットをアピールしたほか、ドアのサンプルを親子連れが踏みつけても元通りになるという、印象的なCMでも話題となりました。
このように、採用例が増えている樹脂パネルですが、プラスチックの特性上、熱による伸び縮みがしやすいという欠点がありますし、外装パネルの表面が不自然に波打って見えたり、隣のパネルとのチリ(隙間)が左右均等でなくなったりといった現象が起こりえます。また、強度を高めるために、外装パネルの裏側に一体成型で設置してあるリブ(補強材)のある箇所が、パネル表面からは凹凸のように見えてしまうといったような、さまざまな課題が顕在化しています。とは言え、より性能に優れた、それでいて低コストで生産できる新素材の開発によって、これらの課題が根本的に解決され、樹脂パネルをより広範囲に採用した自動車が、続々と登場する時代が訪れるのかもしれません。
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