サンダルを履いて車を運転することはないでしょうか。遠出をするときにサンダルで運転する人はあまり居ませんが、近場だとサンダルで運転する人は多いですね。
サンダルは手軽に脱げて便利ですが、運転するときの履物としてはあまり向きません。「サンダルでの運転は止めたほうがいい」と指摘されることもあるでしょう。ここでは、サンダルで運転する場合の危険性について解説していきます。
サンダルで運転すると違反になるのか?
まずサンダルで運転が法律上問題ないのかどうか見ていきましょう。
サンダルでの運転と道路交通法
道路交通法では、公道を運転する際に注意することついて、詳しく規定されています。その中で安全運転義務というものがあり、サンダルでの運転はこれに引っかかってしまう可能性が高いです。
道路交通法70条では「ブレーキその他の装置を確実に操作し」という文言がありますが、サンダルを履いていると、これを守れなくなってしまう可能性が高いでしょう。
道路交通法70条では、サンダルを履いて運転することを明確には禁止していません。禁止されているのはあくまでも、危険が生じた際、確実にブレーキ操作ができない状態での運転です。ブレーキを安全かつ確実に操作できさえすれば、サンダルで運転しても差し支えないという解釈もできます。
しかし、実際のところサンダルを履いた状態では、安全かつ確実にブレーキを操作できるとは限らないでしょう。普段サンダルで運転していて、事故を起こしたことのない人でも、サンダルが脱げるなどして安全性が損なわれる可能性は十分にあります。
各都道府県の公安委員会遵守事項違反となる
道路交通法とは別に各都道府県では、地域の実情を踏まえて条例を定めています。都道府県の条例では、道路交通法よりも厳しい交通ルールを定めている場合もあるため、よく確認しておかなければなりません。
サンダルを履いて車を運転することに関しては、道路交通法よりも明確な形で禁止している都道府県も多いです。
例えば、東京都道路交通規則においては、木製サンダルと下駄等を例に挙げた上で、運転に支障を及ぼすおそれのある履物を禁止しています。大阪府道路交通規則においては、下駄とスリッパ等を例に挙げて禁止しており、形状から判断してサンダルは「等」に含まれると解釈していいでしょう。他には、神奈川県道路交通規則において、下駄とスリッパを明文で挙げて禁止しています。木製サンダルや下駄、スリッパに共通するのは、かかとが固定されないということ。単にサンダルといった場合には、かかとが固定されるタイプのものもあります。かかとが固定されているか否かが1つの基準になりそうです。
また、下駄に関しては底の部分が不安定であるため、サンダル以上に危険だと判断できるでしょう。
サンダルの運転は危険!その理由とは
なぜサンダルを履いて運転するのが危険なのか、その理由について解説していきます。
サンダルで運転するとどのような危険があるのか?
サンダルを履いて車を運転するのは、違反になる可能性が高いですが、危険性を理解することが大切です。単に「禁止されているから駄目だ」と言われると不満に感じてしまう人も居るかもしれません。
しかし、危険性を理解していれば、納得した上でサンダルでの運転を止められるでしょう。
サンダルを履いて運転することで、ペダルに引っかかってしまう可能性があります。特にブレーキペダルの間に引っかかってしまうと、ブレーキが使えません。危険なときに止まれずに事故に繋がってしまうこともあります。
運転中にサンダルが脱げてしまうこともあるでしょう。足で探りながら履き直そうとしていると、そちらの方に意識が向いて注意力が散漫になってしまいます。サンダルが脱げている状態だと咄嗟にブレーキを踏むのも難しいです。
サンダルは完全には脱げずに中途半端に脱げてしまうこともよくありますが、そのような状態だとしっかりとペダルを踏めません。また、鼻緒やバンドが付いているサンダルは、それらが切れてしまうとペダルを踏むときに邪魔になってしまいます。
履いてもOKなサンダルもある
サンダルの中でも、運転中に危険を伴わない形状のものであれば、履いても問題ありません。危険がないかどうか判断する上で、ポイントとなるのはかかとが固定されているかどうかです。ペダルに引っかかってしまったり、脱げてしまったりするのは、かかとが固定されていないために起こります。
かかとさえキチンと固定されていれば、安全に運転できるのです。
そして、運転用サンダルというのもあります。タクシードライバーが履いていることが多いです。かかとがしっかりと固定される形状になっており、なおかつ通常のサンダルのように通気性も良好です。
夏場は通常の靴を履いて運転すると、蒸れてしまうこともあるため、運転用サンダルは人気があります。スーツと合わせても不自然にならないデザインの運転用サンダルも多いです。
通常のサンダルでも、かかとにベルトなどが付いているものもあるでしょう。その場合には、かかとを固定した状態でなら運転中に履いても問題ありません。
運転に適した履物はどのようなもの?
安全運転をするには、運転に適した履物を履くのが望ましいです。ではどんな履物がいいのか見ていきましょう。
運転に適した履物
サンダルはかかとがないから、運転するときに履くのは危険です。下駄はかかとがないことに加えて、底が安定しないため、さらに危険を伴います。
逆に、かかとがきちんとあって靴底が平らな履物なら、運転に適しているといえます。革靴やスニーカーなら問題ありません。パンプスも底が平らになっていれば、危険を伴うことはないでしょう。
より安全に運転するためには、フィット感や足首の自由さなども重視して、運転時の履物を選ぶのが望ましいです。足にしっかりとフィットして、足首を動かしやすい履物なら、咄嗟のときに素早くブレーキペダルを踏めます。
ほんの一瞬の判断遅れが明暗を分けることもあるかもしれません。そのため重い靴よりは軽い靴の方がより安全です。
また、運転時に履くことを想定して作られているドライビングシューズというのもあります。足首を動かしやすく、運転時の足の動きを考慮して作られている靴で値段はやや高めですが、履き心地が良く、安全に運転することができます。
運転に不適切な履物としては、サンダルの他にハイヒールや厚底靴、長靴などです。ハイヒールはかかとが邪魔になって思うようにペダルを踏めないことがあります。また、厚底だとペダルの踏み込み具合が分かりにくいです。長靴は上の部分が邪魔になってしまうことがあります。
裸足で運転するのはいいのか?
運転時に何を履けばいいのか考えていると、「何も履かずに裸足で運転するのはどうか」と思いつく人も居るでしょう。
裸足での運転は、道路交通法ではサンダルと同様に、明確な形では禁止されていません。そのため、裸足で運転しても直ちに違反になることはないでしょう。都道府県の条例においても、明確に裸足での運転を禁止しているところはあまりありません。
しかし、裸足での運転はグレーゾーンと捉えるのが妥当でしょう。裸足で運転して安全を確保できるかどうかは疑問が残ります。裸足だと、咄嗟のときしっかりとブレーキペダルを踏み込めない可能性が高いです。直にペダルと足の裏が接しているのと、靴底を挟んでいるのとでは、感覚がかなり違います。
また、事故を起こしてしまったときには、車の外に出て相手の救助などを行わなければなりません。事故現場では、ガラスの破片や金属片などが散乱していることも多いです。そのようなことを考慮すると、裸足での運転は避けたほうが無難でしょう。
まとめ
かかとがないサンダルを履いて運転することは、安全を確保できないため違反として扱われることが多いです。
法律や条例で明確な形で禁止されていなくても、極力避けるようにしましょう。咄嗟にブレーキを踏めず事故に繋がってしまう可能性があります。安全運転を心掛けたいなら、かかとがしっかりと固定できて、足によくフィットする軽い靴を履くのが望ましいです。