2015/10/20
それぞれのガラスの特徴を説明する前に、ガラスの製造方法を簡単に説明します。家屋等で一般的に用いられているガラスは、近代になって確立された『フロートガラス』と呼ばれる製造法で作られています。これは、高温下で溶融した金属(ガラスよりも比重の重いスズなどを用います)の上に、高温で溶かしたガラス原料(珪砂、無水塩、石灰などの混合物)を流し込むと、溶融金属の上にガラス原料が真っ平な状態でフロート(浮かび上がる)します。これを冷やして固めたものが板ガラスです。また、自動車ガラスは一部を除いて曲面ガラスが採用されていますが、これは板ガラスを高温下で型の上に乗せ、自重で湾曲させることにより製造されています。
強化ガラスとは、割れにくくなるように加工したガラスのことです。主に高温下のガラスに空気を吹き付けて急冷する手法により、ガラスの内部と表面との間に圧力差を設けます。これにより、ガラスの表面(裏・表の両面ともに)には周囲から中心部に向かって押さえつけるような働きをする『圧縮応力層』と呼ばれる層ができ、ガラスの内部には中心部を周囲から引っ張ろうとする『引張応力層』が生成されます。ガラスの表面に強い圧力が加わった場合、通常の板ガラスではガラスがたわみ、裏面から裂けるようにして破断が始まります。ところが、強化ガラスの場合、裏面にも圧縮応力層が生成されているため、容易には破断に至らないのです。また、強化ガラスの利点として、破断面が鋭利な刃物状になる通常のガラスとは異なり、破断した際にはガラスが粉々の粒状になるため、大怪我をしにくいという特徴があります。強化ガラスは、現在販売されている自動車では、フロントガラスを除くすべての窓ガラスに使用されています。
強化ガラスは、強い圧力を掛けても割れにくいという優れた特性を持っていますが、その反面、割れた場合にはガラス全体が粉々になるため、前方視界が著しく悪化するという欠点があります。そのため、現在ではフロントガラスには『合わせガラス』が標準採用されています。合わせガラスとは、強化ガラスではない通常のガラスを2枚用意し、樹脂製のフィルムを挟み込んでサンドイッチ状にして接着した特殊ガラスです。割れた場合にも強化ガラスのようにガラス全体が粉々になることがないため、ある程度の前方視界が保てますし、ガラスが樹脂層と接着されていることにより、破片が飛び散りにくく、大怪我の発生も抑制できるというメリットも備えています。加えて、乗員の車外放出を防ぐ効果も期待できます。なお、合わせガラスに全面移行する過渡期には、『部分強化ガラス』がフロントガラスに採用された時期もありましたが、現在は使用されていません。
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