車検が切れた状態の車が公道を走るということは、一般的にあってはならないことです。しかし、ついつい日々の忙しさの中で2、3日だけ車検が切れてしまった、車検の時期を1ヵ月間違えてしまっていたということもあるでしょう。 そして万が一、そのほんの少しの期間で車検切れのまま事故を起こしてしまったとしたら、車の所有者はどうなってしまうのでしょうか。今回は、車検切れで事故を起こしてしまったときの対応について紹介します。
車検切れの車で事故をしたらどうなる!?
車検切れの車で公道を走るのは、道路交通法違反となり、免許停止に加え罰金または懲役が科せられます。車検と同時に加入する自賠責保険が切れていた時にも、同じように罰金または懲役が科せられます。
車検切れの車を走らせているだけでも罰則を受けなければいけなくなりますが、さらに事故を起こしてしまえば重大な過失となります。中には車検切れに気付かず、事故を起こして初めて気が付いたという方もいるようです。
この場合も、車検切れは故意ではない、知らなかったと主張しても意味はありません。車検切れによる違反点数や罰金は事故の度合い、車検切れに加え自賠責保険も切れているのかなど、そのときの状況によって異なります。
事故で車検に気が付いた場合の事例をご紹介
車は車検が2日切れていましたが、それに気づかず事故を起こしました。事故といっても幸い自分にも相手方にも傷がなく、車が少しへこんだ程度で済みました。かといって後々なにかあっては困る、ということで警察と保険会社を呼びます。
加入していた任意保険は問題なく使うことができました。自賠責保険も期間内だったため、相手方の賠償も問題なく行えています。その後、警察に「この車を運転して帰ってはいけない」といわれ、レッカー車で車を購入したディーラーまで運んでもらい、事なきを得ました。
レッカー代がかかってしまいましたが、車検切れについて警察からのおとがめはありませんでした。
車検も自賠責も切れていた場合の事例を紹介
この事例の方は車検も自賠責も切れていました。単独事故で電柱にぶつかり、警察と救急車のお世話になっています。車は大破したためそのまま廃車となりましたが、無車検によって30万円以下の罰金または6ヵ月以下の懲役、無保険によって90日の免停と50万円以下の罰金または1年以下の懲役が科せられてしまいました。
自賠責の保証期間内だった場合の事例を紹介
この事例の方は車検切れを知らずに、その車で人身事故を起こしてしまいました。車検がない車だったこともあり、当然罰則が科せられましたが、任意保険と自賠責保険が適用となったため、事故の被害者への損害賠償は行えました。
もし自賠責保険も任意保険も使えなかったとしたら、数百万円から数千万円もの賠償金を背負って生きていかなければいけなかったでしょう。
車検切れでの事故と適用される保険
車検切れでの事故の時、すべてのパターンで保険が適用されるわけではありません。任意保険の場合、加入している保険によっては車検のない車での事故は補償されない可能性があります。
自賠責保険については、保険期間が終了してしまえばそのあとは補償されません。
車検切れ後の自賠責保険について
自賠責保険は、車検を取るときに加入するものです。車検の期間と同じか1ヵ月長く加入していることがほとんどで、車検が切れるのと同時に保険期間が終了してしまうこともあれば、車検が切れても1ヵ月は補償されるものもあります。
自賠責保険は、公道を走るすべての車が加入しなければいけない、と国によって定められています。この保険で賄えるのは対人部分のみですので、車の損害や運転手自身の治療費などは出ません。
車検切れ後の任意保険について
車検切れ後であっても、任意保険は使えることがほとんどです。ただし任意保険は「自賠責で補償できなかった部分を補償する」という内容になっているため、人身事故の場合には任意保険に加入していても自己負担が生じます。
例えば自賠責の傷害補償限度額は120万円です。任意保険は、その範囲を超えて治療費が必要となった場合に支払われます。事故を起こした加害者側は、120万円まで自分で被害者側に支払わなければいけません。
もう1つ、任意保険については確認しておきたいことがあります。それは約款内容です。約款には、加入している保険の決まりごとがすべて書かれています。保険証券と共に受け取っていることがほとんどですが、なくしてしまった場合には保険会社のホームページでも確認できます。
約款の免責事項に、「無車検では補償されない」と書かれていれば、車検切れの際任意保険は使えません。免責(ここでは保険料が支払われないという意味)事項に記載がなければ、多くの場合、任意保険は適用となります。
車検切れの車はどうする?
事故を起こしてしまった車検切れの車は、その後どのように扱えばいいのでしょうか?車自体が軽傷なのであれば、再び車検を取って使用することもできます。事故によって大破してしまった場合には、廃車になるでしょう。
車検を取る場合
車検を取る場合、まずは車を検査場まで車を運ばなければいけません。その際、公道を自分で運転していくのであれば仮ナンバーを取得しましょう。
仮ナンバーは市町村の窓口で申請できます。免許証、車検証、自賠責保険証、認印をもって窓口まで行きましょう。
仮ナンバーを申請する際、車のある場所から検査場までの道のりやかかる時間、移動日なども書き込まなければいけません。仮ナンバー自体も、有効期限が2~3日しかありませんので、仮ナンバー受理後は素早く車検を済ませてしまいましょう。
自賠責保険が切れており、仮ナンバーが申請できないときにはレッカー車やキャリアカーを使って検査場まで運びます。車にダメージのない方法を選ぶとすれば、キャリアカーが適しているでしょう。
廃車にする場合
この先もう車に乗ることがない、車が大破して修理できない、という時には廃車にしてしまったほうがいいでしょう。廃車にせず所有し続けることにより毎年自動車税がかかり、車に乗らないのにも関わらず大きな金銭負担を強いられます。
事故からの廃車手続きとして、3通りの方法が考えられます。1つ目はレッカーかキャリアカーで自動車修理工場に運んでもらい、そのまま廃車にしてもらう方法。2つ目は、仮ナンバーを取得して自分で修理工場か廃車買取専門店に行き廃車にしてもらう方法。3つ目はレッカーかキャリアカーを持っている廃車買取専門店に申し込んで、廃車にしてもらう方法です。
廃車にするとき、通常であれば廃車にするための手数料が必要となりますが、カーネクストの様な廃車買取専門店に売却することで、逆に売却代金を受け取ることができます。
廃車買取では、事故車にも対応している業者も多々ありますので、なるべくお得に廃車手続きを行いたい方は、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
車検切れで事故を起こすと、まずは警察から減点、免停、罰金または懲役といった罰則が科せられます。もし人身事故であった場合、自賠責保険の期間が切れていれば被害者の死亡で3,000万円、後遺障害状態で4,000万円までの賠償を加害者側が行わなければいけません。
任意保険についてもほとんどの場合適用されますが、一部の任意保険では適用されないこともあるようです。
再び車検を通す際には、仮ナンバーを取得し自分で運転するか、業者に車を運搬してもらいましょう。車検の切れた車に乗らない場合には、廃車にしたほうがいいでしょう。