オルタネーターは、車のエンジンに欠かせない部品の一つです。エンジンの回転を利用して発生したエネルギーを、電力に変換してバッテリーに蓄えます。車のエンジンを動かすには、バッテリーからの電圧が欠かせません。
もしもオルタネーターが故障したら、最悪の場合不動車になってしまうおそれがあるのです。
車を運転していてオルタネーターから異音が聞こえたら故障かも?と不安になりますよね。
こちらでは、オルタネーターの異音の原因やオルタネーターが故障しているか判断する方法を詳しく解説します。
異音がしているオルタネーターを放っておくと重大な故障となって、高い修理費用や部品交換賃がかかるかもしれません。車を所有している方は、日常点検の前に参考にご覧ください。
オルタネーターから異音がするのは故障のせい?
オルタネーターから異音がする時、どのような原因があると考えられるのでしょうか?オルタネーターは車のどんな部分で、どんな役割があるのか、詳しく解説します。
車のオルタネーターという部品の役割は
まずは、オルタネーターという部品について解説します。
車の部品のオルタネーターが担っている役割は、車に必要な電力を発する発電機です。オルタネーターはエンジンの回転時に発生するエネルギーを利用して、電圧を発生させることが出来る部品となっています。オルタネーターが発電した電力がバッテリーに蓄電されて、エンジン始動時などに必要な電力を供給しています。
そのため、オルタネーターが故障してしまうと必要な電力が供給されなくなり、最悪の場合エンジンがかからなくなるおそれがあるのです。
オルタネーターが故障してしまうと周辺のバッテリー等にも影響があるため、修理や交換に高額な費用がかかることがあります。
オルタネーターから異音がするのは故障が原因?
通常、オルタネーターから音がするということはありません。もしもオルタネーターから異音がしている場合は、部品の故障が考えられます。
しかし、部品の故障以外が原因でもオルタネーターから異音がすることもあります。例えば、部品寿命が尽きてきていることが原因で、異音がする場合もあるのです。
オルタネーターの交換をしてすぐのタイミングなど劣化や寿命とは考えにくく、故障の可能性が高いのであれば、車の警告灯にも注意をするようにしましょう。
オルタネーターが故障すると、運転中や外出先に車のエンジンがかからなくなってしまうことがあります。オルタネーターの故障で発電が出来なくなると、バッテリーは蓄電が出来ず電圧低下してしまうため、バッテリーの警告灯が点灯します。
オルタネーターから異音がした時は、まずはバッテリー警告灯がついていないか確認しましょう。
オルタネーターが故障する3つの原因は
オルタネーターが故障する原因はいつくか考えられます。オルタネーターに関連する3つの部品が劣化や不良状態にあると、影響を受けて故障する可能性あるのです。オルタネーターの故障につながる関連する部品は以下の3つです。
カーボンブラシ
1つ目は、カーボンブラシの摩耗による寿命です。オルタネーターにとってのカーボンブラシの役割は、電流を伝えることと通電することです。カーボンブラシは接触して摺動しながら通電するため、使用を続けると段々と摩耗する消耗品となります。
カーボンブラシの劣化による故障は、部品の交換で修理が可能です。
レクティファイヤー
次に、レクティファイヤーの不良が原因の場合があります。レクティファイヤーは、オルタネーターが発電する交流の電圧を、車で使用出来る直流の電圧に変換する変圧器です。
レクティファイヤーは浸水や冠水、内部で発生する水蒸気等でパンクしてしまうと不良状態になることがあります。レクティファイヤーの不良の場合は部品交換が必要になります。
ICレギュレーター
3つ目は、ICレギュレーターの故障です。ICレギュレーターとは、オルタネーターの回転が高くなった場合でも、電圧を一定に保てるようにする制流装置のことです。エンジンの回転数が高くなると速度上昇に伴って電圧が高くなってしまいます。
もしICレギュレーターが故障すると制流が出来ず高電圧状態になるため、過充電が起こってバッテリーや電装品の故障にもつながります。ICレギュレーターの不良時も部品交換が必要になります。
オルタネーターの異音で分かる故障内容
オルタネーターから聞こえる異音の種類によって、考えられる部品の故障内容について解説します。
もしもオルタネーターから異音がしていて、故障している可能性があるのであれば、出来るだけ早く点検や修理を依頼するようにしましょう。現在は走行が出来ていても、故障しているかもしれない状態を放置してしまうと突然エンジンがかからなくなるなど、大きなトラブルに繋がりかねません。
オルタネーターから「キーキー」「キュルキュル」音
オルタネーターから「キーキー」や「キュルキュル」といった異音がしている場合は、オルタネーターのベルトが劣化してゆるみがあったり、不良状態になっていることが原因として考えられます。
オルタネーターのベルトとはVベルトのことで、エンジンの回転をオルタネーターに伝達するベルトです。
Vベルトが滑っている時や、伸び・たるみがある時にベルト鳴きが発生します。ベルトは経年劣化で硬くなり、ゴムの素材特有で経年劣化と共に乾燥し、ひび割れ等が起こることもあります。
オルタネーターから「カラカラ」「カリカリ」音
オルタネーターから「カラカラ」「カリカリ」といった異音がする場合は、プーリーの摩耗によるものが原因と考えられます。
プーリーは、エンジンから動力を受け取って回転し、発電を行うオルタネーター内の部品です。
エンジンの回転を伝えるベルトはプーリーに掛かっていて、ベルトが動くことでプーリーが回転して発電します。プーリーは軸を中心に回転していますが、その中心の軸が劣化したり不良状態になると、回転が上手くいかず異音が発生します。
オルタネーターから「ウィーン」音
オルタネーターから「ウィーン」という異音がしている場合、ベアリングの劣化が原因である可能性があります。
ベアリングは、前述したプーリーの軸にある軸受けの部品です。
回転するプーリーの中心にベアリングがあるため、オルタネーターが発電をするたびに負荷がかかる部分でもあり消耗品になります。ベアリングが不良状態であったり、摩耗して劣化すると異音が発生します。
オルタネーターの交換や修理費用はいくらかかる?
オルタネーターの部品交換や修理にはいったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか?オルタネーターの交換や修理にかかる費用について解説していきます。
オルタネーターをすべて交換するか、一部の部品を交換して修理するかでかかる費用は異なってきますので、故障や劣化で修理交換が必要となった時の参考にご覧ください。
オルタネーターの交換にかかる費用
オルタネーターが故障したり寿命がきて劣化していて、交換するとします。オルタネーターの交換をする場合の部品代金は車種によって異なりますが、相場価格はおよそ5万円~10万円といわれています。
部品代金は、純正パーツか適合品パーツか、新品・中古品・リビルト品かによって大きく変わります。
リビルト品とは一度中古品を解体し、必要な部分の修繕や交換をしたあとに再構築した部品のことで、品質や状態にも差が出やすいため平均相場というものはありません。
新品、純正パーツは信頼性も高いものの高額な部品となります。修理依頼先がメーカーや購入ディーラーの場合は適合品や中古品を選択出来ず、純正パーツのみの対応になり費用を抑えることが難しいことがあります。
オルタネーターを修理するとかかる費用
オルタネーターの修理を行う場合には、いったいどのくらいの費用がかかるものなのでしょうか?一般的なオルタネーターの修理は、オルタネーターごと交換する上記の費用に比べると、構築する部品のなかで必要な部分のみ交換して修理するため、修理費用を抑えることが出来ます。各部分ごとにかかる修理部品費用の相場を紹介します。
オルタネーターベルトの修理部品代
オルタネーターから「キュルキュル」とした異音がする時の故障の原因として、オルタネーターベルトの不良や劣化があげられます。消耗品でもあるため故障ではなく、長期使用による部品交換が必要なこともあります。オルタネーターベルト(Vベルト)の交換修理をする場合には、部品代として約1,000円~3,000円ほどがかかります。
ペアリングの修理部品代
オルタネーターから「カラカラ」とした異音がする時の故障の原因として挙げられるペアリングの修理の場合は、部品代が約1,000円~3,000円ほどかかります。
部品代金以外にかかる費用
オルタネーターの修理には、部品費用の他に業者に修理を依頼する際の工賃が別途かかります。
オルタネーターの部品交換及び修理工賃の相場は、約10,000円~となっています。
オルタネーターの異音や故障に気づいているのにその状態を放置してしまうと、他の関連する部品にまで影響が及ぶこともあります。オルタネーターの故障で交換が必要となった時は、速やかに修理工場で見積もりをとることから始めましょう。
修理を必要とする車が古かったり、日本での生産販売がない外国産車などの時は、新品部品やメーカー純正部品を手に入れることが難しいことがあり、整備工場や修理工場に部品の予備がなく、取り寄せが必要になると時間と輸送費用がさらにかかる可能性もあります。
オルタネーターから異音がした時の対処方法
オルタネーターから異音がした時は、どのような対処をすればよいのでしょうか?
こちらでは、運転中の車のオルタネーターから異音がした場合の対処方法について解説します。オルタネーターの異音の原因は劣化だけでなく、部品が故障している可能性もあり、走行中にエンジントラブルなどが起こる可能性もあり注意しなければなりません。
オルタネーターからの異音があった場合は、絶対にそのまま放置してしまわないようにしましょう。
走行中のオルタネーター故障の際は速やかに安全な場所へ
走行中にオルタネーターが故障している場合、走行をそのまま続けてしまうと危険です。発電しているオルタネーターが完全に故障してしまうと、電力の供給が出来なくなり、エンジン始動できなくなったり、車の走行に異常が出る可能性があります。速やかに安全な場所に移動しましょう。
道路上で急に止まってしまうと、後続車両等との事故が発生する危険性もあります。安全な場所に移動して、レッカーなどを呼んで車を移動させるようにするのがよいでしょう。
無理に走行しようとすると、突然エンジンが停止する可能性もあり、大変危険です。自分自身も危険ですし、他の人にも迷惑をかけてしまうかもしれませんので、速やかに対処するようにしましょう。
普段からオルタネーターの点検をする
オルタネーター内部には消耗部品がいくつかあるため、劣化による影響を受けて故障することがあります。部品劣化によって正常な状態で作動できなくなると、他の部品にも負担がかかり故障してしまう可能性が高くなります。
オルタネーターの部品寿命の目安は、新車から10年または10万kmの走行距離経過です。しかし使用状況によっても変わってきますので、過充電が起きていたり電装品などに異常が出ている場合には、出来るだけ早くお店や整備工場に点検や修理を依頼することをおすすめします。
また、自分自身でもオルタネーターチェッカー等使用することで異常がないか確認出来ます。機器を使用して普段から点検をしておくと、大きなトラブルを未然に防ぐことが出来ます。
オルタネーターが完全に故障してしまうと、突然不動車になりかねません。不動車になってしまうと、部品交換修理の費用だけでなく、レッカー等の手配や費用もかさみます。故障を前兆の段階で見抜けるかどうかが大切なポイントとなるのです。
日頃から点検を行っておくのは、車の寿命自体を長くすることにも繋がります。オルタネーターチェッカーは最近ではインターネット通販などで簡単に購入出来ます。バッテリーチェックも合わせて出来るものも販売されていますので、日頃の点検のため一台持っていても良いでしょう。
車の買い替えサインかもしれません
また、オルタネーターの故障というのは、車を長く使っているサインでもあります。
特にオルタネーターの寿命の目安と言われる10年や走行距離10万kmは、中古車として車を売却する時の目安の一つでもあります。新車登録から10年もしくは10万kmを超えてしまった車は、中古車としての価値が一気に下がってしまうのです。
オルタネーターの劣化により、そろそろ修理や交換が必要となった時は、その交換をする前に車自体の買い替えを検討してもよいでしょう。
ただし、古い車は中古車としては買取額がつかない事がほとんどですので、逆にカーネクストなどの廃車買取に出して鉄資源として売ってしまった方が値段が付く可能性がございます。
前述のとおり、車のオルタネーターは故障して交換・修理するにはかなりの費用がかかります。オルタネーターと同じくらいの目安で交換が必要になってくるほかの部品もあるため、場合によっては交換するよりも新しく車を買い替えた方が、お得な場合が多い部品でもあります。
まとめ
オルタネーターの異音の原因には、故障だけでなく部品劣化による寿命の時などさまざまなものがあります。しかし、異音があるということは基本的にはオルタネーターまたは周辺にトラブルが出ている可能性が高くなっています。異音があった場合は、出来るだけ早く点検や修理を依頼するようにしましょう。
また、オルタネーターから異音がして故障や劣化がある場合は、気づいたら早めに点検や修理を依頼するようにしましょう。日頃からチェッカーなどを使用してご自身で点検をしておくのも大切な事です。故障をしてしまってオルタネーターの全交換になるとかなり高額の費用がかかってしまう可能性があると覚えておきましょう。