どうして安いの?車が全損したときに支払われる金額の基準は?

自動車の困り事

 交通事故などで車が全損になったとき、支払われる保険金が思ったよりも少なくて不満が生じる場合があります。

なぜ全損時の保険金が少ないのか、基準や決め方、引き上げるための交渉方法について紹介しましょう。

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車が全損になる基準と保険会社が提示する金額の決め方

全損には「物理的全損」と「経済的全損」の2種類があります。車の場合、物理的全損は修理できないほど壊れた状態を指し、多くの人は全損といえばこちらをイメージするでしょう。

一方、経済的全損は修理費用が車の時価額を上回った状態で、保険会社が定義する全損でもあります。たとえ車を時価額以上の費用で修理できたとしても、保険会社は時価額までしか保険金を支払ってくれません。買い替えれば同等の車を入手できるからです。

この時価額は中古車が基準になり、新車に買い替えるには全然足りません。中古車でも相場に比べると足りないでしょう。その理由は、保険会社が「レッドブック」を参考に時価額を決めているからです。裁判でもレッドブックを根拠にした判例がいくつかあります。

レッドブックとはオートガイド社が発行する中古車月報です。60年以上の歴史があり、東京地区の下取、卸売、小売と3種類の中古車価格が掲載されています。このうち保険会社が参考にするのは小売価格です。もちろん走行距離や車検の残りに応じた価格修正の方法も載っています。

どのように算出しているのか、100%明らかにされているわけではありませんが、レッドブックの小売価格は相場の実勢価格よりも低めです。さらに価格が掲載されているのは、国産の乗用車や軽自動車で10年(トヨタの軽自動車のみ7年)前に発売された車種までです。それより古い車は保険会社の判断で、新車価格の10%を時価額にしています。

そのため全損時の保険金は、中古車の買い替えにも足りないのが実状です。だからといってレッドブックの小売価格が特別低いわけでもありません。日本自動車査定協会(JIIA)が発行している中古車小売価格のガイドブック(通称:シルバーブック)も同じくらいです。むしろ中古車販売業者が設定する価格のほうが高すぎるのかもしれません。

提示額に納得いかないときの交渉方法は?

様々な基準や事情があるにしろ、交通事故の被害者なのに車を買い替えられない程度の保険金しか受け取れないのは納得いかないものです。保険会社の提示額をアップさせるには、根拠を示して交渉する必要があります。

例えば中古車販売サイトで、全損になった車と同じ車種で走行距離や年式が近い車の販売価格を調べ、該当ページを印刷します。複数あれば台数で割った平均が、その車種の中古車を本当に購入できる価格といえるでしょう。カーナビやホイールなど装備品の価格も上乗せできます。

また、複数の中古車販売会社から見積書を出してもらう方法もあります。これなら本体価格だけでなく自動車取得税や車庫証明などの諸費用も記載されるので、より購入時に必要な金額に近くなるはずです。見積書の発行だけなら車を購入する義務はありません。

なお、同じ諸費用でも自動車税や自動車重量税、自賠責保険料のように、全損になった車を廃車にすることで還付されるものは、交渉しても認められないでしょう。

過去の判例を引き合いに出すのも効果的です。事故情報調査会による全損の判例をまとめた書籍「裁判例にみる交通事故物的損害 全損 第3集」も販売されています。弁護士に相談して、同様の判例があるか調べてもらうのも良いでしょう。また、慰謝料として請求するのは、よほど貴重な車種でない限り難しいかもしれません。

このように感情論ではなく、根拠を積み重ねて交渉するやり方をすれば、全部は認められないにしても、保険金の引き上げを期待できるでしょう。

自損事故で全損したときの車両保険と役立つ特約は?

ここまでは交通事故の被害者になったときの全損について説明しましたが、それ以外で全損になる場合もあります。例えば交通事故の加害者になったり、自損事故を起こしたり、自然災害に遭ったりしたときなどです。これらは自分の車両保険から保険金が支払われます。

ただし、車両保険は全損した車の時価額がいくらであろうと、契約時に設定した「保険価額」までしか支払われません。保険料を節約するために少なく設定している場合は要注意です。保険会社の基準保険金額で設定すれば、交通事故の被害者になったときと同じく、レットブックの中古車小売価格を基準にした時価額が支払われます。

保険会社にもよりますが、車両保険は特約を付けることで全損になったとき、設定以上の保険金を受け取れます。例えば「車両全損時修理特約」です。車が経済的全損になっても修理費が時価額を上回った場合に限り、保険金が上乗せされます。上乗せされるのは30万円や50万円のところが多いようです。

次に「新車特約(車両新価特約)」です。新車が全損になると、同じ車種の新車を購入する費用を保険金として支払ってくれます。対象になるのは初度登録から3年以内の車です(5年の保険会社もあります)。一般的な全損では中古車小売価格に相当する時価額しか支払われないので、新車の購入時には付けておきたい特約といえます。

「買替時諸費用特約」は、買い替え時に発生する諸費用を賄うための特約です。車両保険の設定額(または新車特約の保険価額)の15%か40万円を上限に支払われます。ただし、この特約を利用すると、先に紹介した2つの特約の諸費用分に相当する保険金は支払われません。

一方、自分が交通事故の加害者になったとき、全損になった被害者の車の時価額を超える修理費を補償できる特約もあります。それが「対物超過修理費用特約(相手全損超過修理費用特約)」です。最大50万円まで上乗せできます。

これらの特約を付けておくと、全損時の車の修理や買い替えが容易になりますが、その代わり保険料が高くなるのが難点です。新車で購入した直後は「新車特約」、数年経ったら「車両全損時修理特約」に変えるといった具合に、車に応じて特約を選ぶと良いでしょう。

まとめ

車が全損したときに支払われる保険金は、レッドブックの中古車小売価格を基準にしています。納得いかない場合は根拠を示しながら保険会社と交渉しましょう。自損事故などで車両保険を使うなら、特約を付けておくと保険金が上乗せされて安心です。

全損になった車は保険会社が回収するのが原則ですが、自分で引き取れる可能性もあります。

このケースの場合は、そのまま廃車にすると費用がかかりますので、少しでも手元にお金を残すために廃車買取のカーネクストにご依頼いただくと、処分や手続きにかかる費用は無料で、更に買取を行う事が可能となります。

もし、新車への買い替えをご検討の場合は、この方法で少しでもコスパを改善していただければと思います。

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