車の色を自分好みに変えたい、あるいは傷を隠したいという理由で、塗装のDIYにチャレンジするドライバーが増えています。
簡単そうに見えますが、きれいに仕上げるには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
車の塗装をDIYするときの手順と必要なグッズ
車のボディカラーを変える全塗装もありますが、こちらでご紹介するのは擦り傷の跡などを隠すためにDIY塗装をする時に必要なものについてご紹介していきます。
車の塗装前に準備するもの
カーショップやホームセンターに行くと、車用のカラースプレーが販売されていますが、DIYで塗装するなら、それだけでは不十分です。実は、他にもぼかし剤とクリア剤を合わせた3種類のスプレーが必要です。また、これらとは別に塗らない箇所へスプレーがかからないようカバーするマスキング材や、テープも購入しましょう。
購入が必要なもの | |
カラースプレー | ぼかし剤 |
クリア剤 | マスキング材 |
カラースプレーは車の色に合わせて数多く販売されていますが、同じ色のように見えても微妙に異なるものです。正しい色は車の「型式プレート」に記載されています。
型式プレートの場所は車にもよりますが、エンジンルームの中や運転席周りなどです。
塗装の手順
こちらでは、車の擦り傷などを隠すために塗装を行う手順をご紹介します。準備段階で必要なアイテムを揃えたら、塗装を始めますが、可能であれば車庫など外気の影響を受けない屋内で塗装するのが理想です。ただし、換気が行える場所で塗装する必要があります。塗装手順としては、まず塗装面をきれいにして汚れやホコリ・油分を落とし、塗らないところにマスキング材を貼ります。そのあとの手順が以下になります。
- 前以てぼかし剤を塗布
- 塗装面にカラースプレー
- 上からクリアスプレー
- 再度ぼかし剤を塗布
1.ぼかし剤
次にスプレーを使いますが、最初はぼかし剤です。あらかじめ塗っておくことで、カラースプレー特有のザラザラが発生するのを防げます。缶をよく振って薄く均一にスプレーしましょう。なお、ぼかし剤の代わりに「プラサフ(プライマー・サフェイサー)」を使うと、カラースプレーの密着性と発色が良くなります。
2.カラースプレー
ぼかし剤をスプレーし終わったら、乾かないうちにカラースプレーの出番です。ムラなく色が出るよう、事前に缶をよく振ります。色によっては念入りに全体を混ぜるような感じで、ぬるま湯で温めるのも効果的です。その上でいきなり車体に出すのではなく、一旦マスキング材などにスプレーして、色の出方を確かめます。
カラースプレーは20cm前後離し、1秒間で30cmくらいのスピードで横に動かします。一度に厚塗りするのではなく、何回かに分けて重ね塗りします。パネルの全体にではなく一部だけを塗装するなら、始めと終わりにスプレーを若干遠ざけるようにすると、境目が分かりづらくなりますよ。
3.クリアスプレー
一通りカラースプレーを使い終わったら、2~5分ほど時間をおいてクリアスプレーの出番です。何回か塗り重ねていくうちに、光沢感のある仕上がりになります。
4.再度ぼかし剤
最後に塗装まわりのザラザラを目立たなくするため、もう一度ぼかしスプレーを使って終了です。
補足
スプレーを使うときは、慣れていないと色ムラが出やすいのが難点です。そこで「スプレーガン」を使うと、塗料が細かい霧状になるので、塗りやすくて仕上がりもきれいです。ただし、スプレーガンは数万円ほどしますし、使用にあたってはコンプレッサーや吸い込みを防止する防塵マスクなども必要です。スプレーする規模によっては、業者に依頼するより高くついてしまうかもしれません。
ペン型のタッチペイントという選択肢
上記でスプレーでの塗装の手順をご紹介しましたが、小さな傷を隠すのが目的ならペン型のタッチペイントが使いやすくて効果的です。ただし、こちらもただ塗って終わりではなく、事前の準備が必要です。
事前準備
まず、傷を細めのコンパウンドで磨きます。バンパーの擦り傷なら、それだけで消える場合があるかもしれません。磨き終わったら、細目(600番くらい)の耐水サンドペーパーで傷の中のサビや汚れを落とします。次に「シリコンオフ」というスプレーを吹きつけ、タオルで表面の油分を取り除きます。
タッチペンで塗る
事前の準備が終わったら傷の周りにマスキング材を貼り、タッチペイントで塗りつぶします。線で引くよりも点で埋める方法がきれいに仕上げるコツです。その後は1週間ほど乾燥させて終了です。
よりきれいにするなら、乾燥後にサンドペーパーやコンパウンドで磨きます。
車の塗装のDIY方法別に費用比較!
カラースプレーを使った塗装と、タッチペンを使った塗装についてご紹介しました。どちらの方法も良い部分がありますが、選択する際に気になるのは費用面ではないでしょうか。
スプレーとタッチペンの費用を比べると
選択する色にもよりますが、カラースプレーが一缶あたり800~1,000円、ぼかし剤やクリア剤が1,000円くらいです。タッチペンの場合であれば400~800円です。
ちなみに車全体に塗装するとなると、カラースプレーが30~40本、ぼかし剤やクリア剤がそれぞれ10本ほど必要になります。それでも業者に依頼すると同じ色で20万円~、色の変更によっては25万円~となるため、個人でのDIY塗装がずっと安上がりになることがわかります。
一部 | 全体 | |
スプレー | 3,000円 | 6万円 |
タッチペン | 400~800円 | 実質不可能 |
業者 | 2〜4万円 | 20〜25万円 |
車の塗装をDIYしたら失敗した!どのようにリカバリーする?
車の塗装をDIYしてはみたものの、途中で、あるいは完成してから失敗に気づく場合があります。そんなとき、どのようにリカバリーをすればいいのでしょうか。
ブツブツ
塗装の失敗でありがちなのが、ゴミやホコリが混入してブツブツができることです。これは事前の清掃が不十分だったり、作業場が汚れていたりするのが原因です。塗装中に気がついたなら、爪楊枝や尖った竹ひごなどで慎重に取り除き、乾燥後であればサンドペーパーで研磨しましょう。
ゆず肌
次に「ゆず肌」と呼ばれるボコボコです。古い塗料をはがすのが不十分だったり、重ね塗りが不足したりするのが考えられます。残念ながら乾燥後にサンドペーパーで平らにして、塗り直すしかありません。暑い季節はゆず肌になりやすいので、スプレーガンを使っているなら塗料にバランサーやリダーターを混ぜると、乾燥を遅らせてゆず肌を防げます。
色ムラ
ムラができるのは、塗るときの距離や速度が均一でなかったり、缶の塗料が十分に混ざっていなかったりする証拠です。クリア剤を塗る前なら、一度乾燥させて再度重ね塗りしますが、クリア剤を塗ってしまったら、乾燥後にサンドペーパーで平らにして塗り直しです。自分で対処できなければ業者に相談しましょう。ただし、リカバリーする際には一度塗装を落とさなければいけないため、最初から塗装してもらうよりも料金がかかります。
車の塗装をDIYすると査定額が低くなるって本当?
自分で車の塗装をDIYできるようになると楽しいですが、車を手放すときはそれが仇になってしまい、査定額が大幅に低くなってしまいます。何故ならば、中古車は標準の状態が最も売りやすいからです。
全塗装は事故車扱い?
塗装DIYを施した中古車は、次のドライバーの使用中に塗装がはがれてトラブルになる恐れがあります。特に「全塗装」といって全体の色を変えた車は、基本的に事故車と同じ扱いです。
色によっては不人気色だったのを人気の色にするため、塗装したのではないかと疑われる場合もあり、査定にもよりますが、30~50万円のマイナスです。
個人塗装の限界
傷を隠すためのDIYも、素人がやったものでは簡単に見抜かれてしまいますし、プロでも分からないようにするのは難しいものです。
日本自動車査定協会の査定基準では、爪が引っかからない程度の薄い傷なら5,000円のマイナスですが、それ以上になると傷の範囲によって1万円以上のマイナスになります。
一方、業者に修理を依頼すると、10cm四方の傷で2万円前後の費用がかかり、範囲が広がるにつれて1万円ほど上乗せされますので、修理費用が査定のマイナス分を上回ってしまいます。
そのため、傷があるなら業者に修理してもらったり、塗装のDIYで無理やり隠したりはせず、そのまま査定してもらったほうが無駄なお金や手間をかけずに済みオトクです。
買値がつかない場合は?
カーネクストでは、全塗装で色替えした車でも0円以上で廃車買取をしております。
下取りや普通の買取で引き取りを断られてしまった車でも、コンディションが良ければ数万円の買値がつくかもしれません。何故なら、海外では日本ほど見た目を気にせず運転してくれるからです。
査定料やレッカー代、廃車の手続きにかかる費用は無料です。DIY塗装済みの車の処分にお困りの際は、ぜひとも弊社へご相談ください。
車の塗装のDIYに関するよくあるご質問
車の塗装をDIYする方法について、よくいただくご質問にお答えします!
Q.車の塗装をDIYする時に準備するものは?
A.車の塗装をご自身でDIYする場合にカー用品店などで準備するものは、塗装したい色のカラースプレー、ぼかし剤、クリア剤、マスキング材やテープです。カラースプレーの色は、車のボディカラーに合わせて購入する必要があり、カラーの番号は車のコーションプレートに記載されています。
Q.車の塗装を失敗した時のリカバリー方法とは?
A.車の塗装をDIYしていて起こりやすい失敗は、塗装面に凹凸が出て【ブツブツ】して見えてしまう場合です。これは、塗装中にホコリやゴミが混入していることが原因です。塗装中に気が付いた時は取り除いて塗装すればリカバリーが可能です。塗装して乾燥後に気づいた場合はサンドペーパーで研磨するなどのリカバリー方法があります。
Q.車の塗装をDIYすると売却時にマイナス査定になるって本当?
A.車の塗装を個人で全塗装した場合は、車の価値は事故車と同じ扱いになります。基本的には中古車としての価値がない状態になってしまうため、高年式車であっても買取査定で30~50万前後のマイナスになることがあります。
まとめ
車は市販のカラースプレーなどを使えば、意外と簡単に塗装のDIYができます。業者に依頼するよりも安上がりです。きれいに仕上げるためには、丁寧に重ね塗りをして、ぼかし剤やクリア剤も併用します。
車を手放すときの査定額は低くなってしまいますが、自由自在に自分好みの色に出来て楽しめるのがDIY塗装の良さです。