パドルシフトは必要?どんなときに使うの?

自動車のコラム

車を運転する人の中には「パドルシフト」の有用性についてよく知らないという人も少なくありません。

パドルシフトはどう使うのか、その有無で車にどのような影響があるのかをご存じですか?そこで、パドルシフトの使い方について解説します。

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パドルシフトって何?搭載している車は?


まずは、そもそもパドルシフトとは何か、どのような車に搭載されているのか解説します。

手元でシフトを切り替えられる装置

パドルシフトとは、ハンドルに付いているパドルでシフトを切り替えられる装置のことです。AT車やCVT車で思い通りのギアチェンジができるのですが、電子制御されているので極端なギアチェンジはできない特徴があります。

パドルシフトは、AT車やCVT車に搭載されている装置です。これらの車は本来、ギアを操作する必要がなく、自動的に変速する仕組みとなっています。パドルシフトが装備されている場合、これを操作することで従来は操作できなかったシフト操作をAT車などでも実現できるようになっています。

そのメリットは「MT車のような操作性を味わうことができる」ことです。車を運転する人の中には、シフト操作が必要なMT車の運転に、ダイレクトなドライブフィールを感じるという人もいます。それを体感したい人はMT車に乗る必要がありますが、パドルシフトが装備されていればAT車でもそのフィールを体感できるのです。

実用面においても、素早く加速したいときや、上り坂での失速防止するために低いギアで走行する場合に、パドルシフトを使用できます。ただし、パドルシフトは電子制御されているため、ギアと速度が明らかに不一致している場合などはエンジン負担をコンピューターが判断して、無理な変速が不可能となっています。

F1から生まれた技術

もともとパドルシフトは「F1」から生まれた技術であり、瞬時に変速できるようにと作られた仕組みです。

AT車でもMT車のような操作性を味わえるようにと、市販車にも採用されるようになりました。搭載車は「ターボ」や「カスタム」などスポーツタイプの車が主流となっていますが、最近では軽自動車やファミリーカーへの導入も増えています。

また、パドルシフトは新車時には装備されていない場合でも後付け可能な車種も多く存在します。シフトレバー側で変速可能な機構を持つ車種、つまりもともとマニュアルモードがついている車種であればパドルシフトの後付けが出来るでしょう。

取り付け方は車種によって異なります。「パドルシフトだけを取り付ける」「ハンドルを加工する」といった対応がなされるのですが、パドルシフトを取り付けたい場合は販売店に問い合わせてください。

使い道その1:エンジンブレーキの有効活用


パドルシフトを装備していると、効率よくエンジンブレーキを使えるというメリットがあります。

下り坂の減速に

パドルシフトを使用すれば、確実にシフトダウンしてエンジンブレーキを効かせることができ、下り坂でブレーキが効かなくなる現象を防ぐことができます。

長い下り坂では、長時間フットブレーキをずっと踏み続けることになります。すると、ブレーキが過熱し過ぎてブレーキの効きが悪くなる「フェード現象」や、ブレーキフルードが沸騰してエアが発生しブレーキの効きが悪くなる「ヴェイパーロック現象」などが発生します。

パドルシフトを使用することにより、積極的にシフトダウンしてエンジンブレーキを活用できます。そうすることで上記のブレーキトラブルのリスクが発生せず、より安全な走行が可能になります。

また、シフトレバーよりも細かい操作ができる点もメリットです。シフトレバーの場合は誤操作による入れ間違いのリスクがありますが、パドルシフトの場合はシフトレバーほど誤操作のリスクは高くありません。

燃費も良くなる?

パドルシフト利用によるシフトダウンとエンジンブレーキの積極的活用は、ブレーキパッドの摩耗を防げるメリットがあります。ブレーキを踏み続けるような長い下り坂でのブレーキパッドの摩耗を防ぐことができ、ブレーキパッドの交換頻度が少なくなることにより、節約につながります。

さらに、パドルシフトを使用してエンジンブレーキを活用することで、燃費にもプラスの影響を及ぼします。エンジンブレーキが働いている間は燃料カットが働き、基本的に燃料を消費しません。そのため、燃費がよくなるのです。

EV車であれば、パドルシフト操作によって強い「回生ブレーキ」を効かせることで、より多くの電気に変換できるというメリットがあります。

使い道その2:スポーティーに走れる


パドルシフトは、MT車のようなスポーティーな走行を実現する事が可能です。ただし、その点だけ見ると実用面におけるメリットとはいえません。

多彩な運転が簡単に

パドルシフトはエンジンの回転とアンバランスにならない限り、好きなギアで走ることができます。たとえばコーナーで減速した後すぐに加速したいときや、高速道路に合流するため緩やかに加速したいときなどです。

急加速のテクニックとして「キックダウン」という方法があります。AT車においてアクセルを踏み込むことでシフトダウンし、急加速を得られるテクニックなのですが、急加速過ぎることや、同乗者がエンジン音に驚くなどのデメリットがあります。

パドルシフトはあらかじめ低いシフトにすることができるため、減速後すぐに加速したい場合や、高速道路での合流時の緩やかな加速を実現するといったメリットがあります。パドルシフト未搭載の従来のAT車やCVT車では不可能な走りも、エンジンの回転と明らかにアンバランスにならない限りは実現可能なのです。

過度の期待は禁物

ただし、パドルシフトも万能ではありません。パドルシフトは電子制御が優先されているため、状況によってはドライバーの思い通りのギアにならない場合があります。たとえば、エンジンの回転と明らかなアンバランス状態になるような操作はできません。この点はMT車との大きな違いであるといえます。動作条件は車の取扱説明書に記載されているので、面倒がらずに運転前にしっかりと確認しておきましょう。

また、パドルシフトによるシフトチェンジができるAT車としては、最新の「DCT」を搭載した車のほうが、ギアチェンジの速さでは優れています。「DCT」はデュアル・クラッチ・トランスミッションの略称であり、名前の通りクラッチを2つ持っています。あらかじめ次の段のギアを用意できるため、従来のAT車と比べて素早い変速が可能なのです。

まとめ

パドルシフトはAT車であってもMT車のようにスポーティーな運転が可能で、エンジンブレーキの活用という実用性もあります。ただし、電子制御されているため無理な操作には対応していないことには注意が必要です。

また、後付でパドルシフトを取り付ける場合は、販売店に問い合わせましょう。

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