車検代は経費にできる?勘定科目や確定申告の仕方を解説

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個人事業主が事業で使用している車の車検代は、事業で使用している部分について必要経費にできます。仕事と私用の両方で同じ車を使っている場合は、車検代の全額ではなく、事業で使用している割合に応じて経費にします。

また、車検代には点検・整備費だけでなく、自動車重量税や自賠責保険料、車検代行手数料などが含まれます。確定申告をするときは、請求書や明細書で内訳を確認し、それぞれの費用に応じた勘定科目で記帳しましょう。

本記事では、車検代を経費にできる条件や家事按分の考え方、費用ごとの勘定科目、消費税の扱いについて解説します。

この記事のポイント

  • 車検代を経費にできる場合:事業で使用する車の車検代は、事業で使用した分を必要経費にできる。仕事と私用で兼用する場合は、使用割合に応じて家事按分する
  • 車検代の主な勘定科目:点検・整備費は「車両費」や「修繕費」、自動車重量税は「租税公課」、自賠責保険料は「損害保険料」など、費用の内訳に応じて分ける
  • 車検代が10万円以上の場合:車検代の総額が10万円を超えても、それだけで減価償却が必要になるわけではない。通常の修理か、車の価値を高める支出かによって判断する
  • 消費税の扱い:整備費や車検代行手数料には原則として消費税がかかる一方、自賠責保険料や自動車重量税は扱いが異なる
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車検代は経費にできる?

個人事業主は事業で使用する車の車検代を経費にできる

個人事業主が事業で使用している車の車検代は、必要経費にできます。

国税庁は、事業所得などの必要経費について、収入を得るために直接必要な費用や、その年に生じた販売費・一般管理費などの業務上の費用としています(出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」)。

たとえば、商品の配送や取引先への訪問など、事業のために使用している車であれば、車検にかかった費用も事業に必要な費用として処理できます。

一方、事業には使わず、家庭用としてのみ使用している車の車検代は、個人事業の必要経費にはできません。

仕事と私用で兼用する車は家事按分する

1台の車を仕事と私用の両方で使っている場合は、事業で使用している部分だけを必要経費にします。これを「家事按分」といいます。

国税庁は、家事と業務の両方に関係する費用について、取引の記録などに基づいて業務上直接必要な部分を明確に区分できる場合、その区分した金額を必要経費にできるとしています(出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」)。

たとえば、経費の対象となる車検費用が10万円で、事業で使用している割合が40%だった場合、必要経費にできるのは4万円です。残りの6万円は私用分となるため、必要経費には含めません。

事業割合は一律に決まっているわけではありません。走行距離や使用日数など、実際の車の使い方をもとに、事業でどの程度使用したかを合理的に説明できる基準で区分しましょう。

会社員の自家用車の車検代は原則として必要経費にはできない

会社員が自家用車の車検代を、自分の必要経費として確定申告することは基本的にできません。

会社員は、個人事業主のように仕事でかかった費用を一つずつ必要経費にする仕組みではなく、給与所得を計算するときに「給与所得控除」が適用されます。

ただし、会社員でも、仕事に必要な一定の支出について「特定支出控除」という制度を利用できる場合があります。

たとえば、通勤のために通常必要と認められる一定の費用は、特定支出控除の対象となります。自家用車に関する費用も、支出の内容によっては対象となる場合がありますが、車検代の全額が自動的に対象になるわけではありません。

特定支出控除を受けるには、原則として勤務先による証明が必要なほか、対象となる支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超えるなどの条件があります(出典:国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」)。

車検代の勘定科目は費用の内訳によって異なる

車検代は、すべてを同じ経費として記帳するのではなく、何に支払った費用なのかによって分けて記帳します。

たとえば、点検・修理費、自動車重量税、自賠責保険料では、使う勘定科目が異なります。以下は一般的な分け方の例です。

車検で支払う費用主な勘定科目
点検・整備・通常の修理車両費・修繕費など
自動車重量税租税公課
国などに納付する検査手数料租税公課など
自賠責保険料損害保険料
車検業者への代行手数料支払手数料など

使用する勘定科目は事業者によって異なる場合があります。同じ内容の支出については、継続して同じ勘定科目を使うと管理しやすくなります。

点検・整備・修理費は車両費や修繕費

車検時の点検・整備や、故障した部分を元の状態に戻すための修理にかかった費用は、「車両費」や「修繕費」などで処理します。

たとえば、車検に伴う点検費用や、消耗した部品を交換する費用などです。

ただし、修理の内容によっては、その年に全額を経費にするのではなく、複数年に分けて経費にする場合があります。

詳しくは後述する「車検代が10万円以上でも必ず減価償却するわけではない」で説明します。

自動車重量税などは租税公課

車検時に支払う自動車重量税は、「租税公課」で処理します。

自動車重量税は車検時に発生する法定費用のひとつです。具体的な税額は車両重量や経過年数、減免措置の適用などによって異なるため、車検代の明細で実際に支払った金額を確認してください。

自賠責保険料は損害保険料

車検時に支払った自賠責保険料は、「損害保険料」で処理します。

ただし、自賠責保険は通常、複数年分の保険料をまとめて支払います。そのため、支払った年に全額を経費にするのではなく、保険期間に応じて分けて計上する場合があります。

このように、翌年以降の期間に対応する費用を先に支払った場合は、「前払費用」として処理することがあります。実際に経費にする時期は、保険期間や前払費用の取扱いなどを確認して判断しましょう。

自賠責保険は、自動車を運行する際に加入が義務付けられている保険です。車検を受ける際には、車検の有効期間を満たす自賠責保険への加入が必要になります。

車検代行手数料は支払手数料

整備工場や車検業者などに車検手続きを代行してもらった費用は、「支払手数料」などで処理します。

車検の請求書では、点検・整備費と代行手数料などが分かれて記載されていることがあります。

領収書だけで総額を見るのではなく、明細書も保存しておくと、それぞれの費用を分けて記帳しやすくなります。

車検代が10万円以上でも必ず減価償却するわけではない

車検代が10万円を超えても、それだけで減価償却が必要になるわけではありません。

「10万円未満」という金額は、減価償却する資産を購入した場合の扱いに関係する基準です。車検代そのものに「10万円を超えたら減価償却する」という基準があるわけではありません(出典:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」)。

車検代には、点検費や税金、保険料、修理費など、さまざまな費用が含まれています。そのため、まずは車検代の総額ではなく、何にいくらかかったのかを確認します。

故障した部分を直す、消耗した部品を交換するなど、車をこれまでどおり使うための修理であれば、修繕費としてその年の経費にできるのが基本です。

一方で、車の性能を高めたり、使用できる期間を延ばしたりするための支出は、通常の修理とは扱いが異なります。

たとえば、故障した部品を同等品に交換する場合と、従来よりも高性能な部品に交換して車の性能を向上させる場合では、税務上の扱いが異なることがあります。

このように車の価値を高めるための支出は、その年に全額を経費にするのではなく、資産として計上し、複数年に分けて経費にする場合があります。税務上、このような支出を「資本的支出」といいます(出典:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」)。

なお、国税庁では、おおむね3年以内の周期で行われる修理や、1件の修理・改良の金額が20万円未満の場合など、修繕費として処理できる一定の基準も示しています(出典:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」)。

そのため、車検代が10万円を超えたときは、「10万円を超えたか」ではなく、「通常の修理なのか、車の価値を高めるような支出なのか」を確認して判断しましょう。

車検代を確定申告するときの処理

車検代を経費にするときは、費用の内訳を確認して帳簿に記録し、確定申告に反映します。

確定申告の時期になってから内訳が分からなくならないように、車検時に受け取った請求書、明細書、領収書などは保管しておきましょう。

また、消費税を一般課税で計算する場合、仕入税額控除のために、原則として帳簿と適格請求書などの保存が必要です。

青色申告・白色申告では事業分の車検費用を記録する

青色申告でも白色申告でも、経費にする車検代は帳簿に記録しておく必要があります。

車検代は、点検・修理費や税金、保険料など、費用の内訳に応じた勘定科目で記帳します。仕事と私用で車を兼用している場合は、家事按分した後の事業分だけを経費にします。

確定申告では、青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書に、その年にかかった経費をまとめて記載します。

たとえば、点検・整備費を「車両費」で記帳している場合は、車検以外で発生したガソリン代や整備費など、同じ「車両費」で記帳した事業上の費用と合わせて集計します。

車検代の消費税は費用ごとに扱いが異なる

消費税を申告する事業者は、車検代の内訳ごとに消費税の扱いを確認します。

車検代には、整備費や保険料、税金などが含まれており、すべてが同じ扱いになるわけではありません。請求書や明細書を確認し、それぞれの費用を分けて処理します。

消費税を申告する必要があるかを確認する

まず、自分が消費税を申告する必要がある事業者かを確認します。

個人事業主の場合、消費税の申告が必要かどうかは、現在の売上高だけで単純に決まるわけではありません。

原則として、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の納税義務が免除されます。

ただし、一定の条件に該当する場合や、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録を受けている場合は、1,000万円以下でも納税義務が免除されません(出典:国税庁「No.6501 納税義務の免除」)。

そのため、「売上が1,000万円以下だから消費税は関係ない」と判断せず、自分が消費税の申告対象かを確認してください。

整備費・自賠責保険料・税金では消費税の扱いが異なる

整備・修理費や車検代行手数料などには、原則として消費税がかかります。

一方、自賠責保険料は消費税の非課税取引です(出典:国税庁「No.6221 預貯金や貸付金の利子など」)。

また、自動車重量税の納付は、商品やサービスを購入したときの支払いとは性質が異なり、消費税の対象外です。

つまり、車検代をまとめて支払っていても、費用によって消費税の扱いは異なります。

消費税を申告する事業者は、車検代の総額をまとめて同じ区分にせず、明細を確認してそれぞれの費用に合った区分で処理しましょう。

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まとめ

個人事業主が事業で使用している車の車検代は、必要経費にできます。仕事と私用の両方で車を使用している場合は、走行距離や使用日数などをもとに事業分を家事按分します。

車検代には、点検・整備費、自動車重量税、自賠責保険料、車検代行手数料など、種類の異なる費用が含まれています。請求書や明細書を確認し、何に支払った費用なのかに応じて記帳しましょう。

また、車検代が10万円を超えても、それだけで減価償却が必要になるわけではありません。通常の修理なのか、車の価値を高めるような支出なのかを確認して判断することが大切です。

この記事の監修者

ゆとり税務会計

監修日:2026年10月15日

ゆとり税務会計

税理士・元国税調査官 神崎 遊(税理士登録番号:第158023号)

兵庫県神戸市を拠点とするゆとり税務会計の税理士。 国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事した経験を持つ。 現在は中小企業・個人事業主への税務支援を行うほか、法人税・相続税・贈与税・確定申告など、税務・会計分野の記事執筆・監修にも取り組んでいる。

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