社用車の購入や経費精算では、「購入代金は一度に経費にできるのか」「ガソリン代や車検費用は、どの勘定科目で処理するのか」と迷うことがあります。
法人が業務で使用する車の購入費や維持費は、経費計上の対象になります。ただし、支払った額と、その期の経費になる額は同じとは限りません。
まず押さえたいのは、「何に払ったか」「いつの分か」を確認することです。車の購入代金、ローンの元金返済、日々の燃料代では処理が異なり、保険料も対象期間によって計上時期が変わります。
この記事では、この基本をもとに、車にかかる費用の勘定科目と、購入・リース・日々の経費精算で確認したいポイントを解説します。
法人の車にかかる費用は経費にできる
業務に使用していることが基本となる
営業先への訪問、商品の配送、事業所間の移動など、会社の業務で使う車には、購入費やさまざまな維持費がかかります。
経費として処理するときは、会社名義であることだけでなく、業務に必要な支出であると説明できるかを確認しましょう。使用目的や訪問先を記録しておくと、支出と業務の関係を把握しやすくなります。
一方、会社が役員の私的な費用を負担すると、役員への給与として扱われる場合があります。会社の車だからといって、私用にかかった費用まで同じように処理できるわけではありません(出典:国税庁「No.5202 役員等に対する経済的利益」)。
購入費と維持費では経費にするタイミングが異なる
業務に必要な支出でも、すべてを支払った年度の経費にするわけではありません。
車両本体は原則として資産に計上し、使用する期間に配分して費用にします。この処理が「減価償却」です。法人税では、取得価額・耐用年数・償却方法などに基づいて、その年度に損金にできる償却費の限度額を計算します(出典:国税庁「No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法」)。
一方、燃料代や駐車場代などは、日々の業務で使用するための費用です。翌年度分まで前払いしている場合などを除き、費用が発生した期間に応じて処理します。
勘定科目を選ぶ前に、支払いの内容と対象期間を確認する。この順序で考えると、購入方法にかかわらず整理しやすくなります。
なお、会計上の費用と、法人税の計算で差し引く「損金」は必ずしも一致しません。決算時には、会計処理に加えて税務上の取扱いも確認します。
法人の車にかかる経費と勘定科目の一覧
車に関する支出を、すべて「車両費」にまとめる必要はありません。以下を目安に、自社の会計方針に合わせて分類しましょう。
| 費用の種類 | 勘定科目の例 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 車両本体・取得価額に含める付属品 | 車両運搬具 | 原則として資産に計上し、減価償却する |
| 購入時の登録費用など | 支払手数料、車両運搬具など | 取得価額に含めるか、別途費用処理できるかを確認する |
| ガソリン代・軽油代 | 燃料費、車両費、旅費交通費 | 業務で使用した分を把握する |
| 充電代 | 車両費、水道光熱費など | 利用明細や業務分の電気使用量を確認する |
| 自動車税・軽自動車税・自動車重量税 | 租税公課 | 納税通知書や請求明細を確認する |
| 自賠責保険料・任意保険料 | 保険料、支払保険料 | 保険の種類と対象期間を確認する |
| 車検基本料・点検整備費用 | 車両費、修繕費、支払手数料 | 税金・保険料などと内訳を分ける |
| 修理・部品交換費用 | 修繕費、車両費 | 通常の修理か、価値を高める改良かを確認する |
| 月極駐車場代 | 地代家賃 | 返還される敷金・保証金は費用と区別する |
| コインパーキング代・高速道路料金 | 旅費交通費、車両費 | 利用日と業務目的を確認する |
| 洗車代・洗車用品 | 車両費、消耗品費 | 同じ支出は同じ基準で処理する |
特に車検費用は、請求額の合計だけで入力せず、明細を確認してください。点検整備費用は「車両費」や「修繕費」、自動車重量税は「租税公課」、自賠責保険料は「保険料」などに分けて整理します。消費税の区分も、費目ごとに確認が必要です。
また、修理という名目でも、車の価値や使用可能期間を増やす部分は、資産に計上する「資本的支出」に当たる場合があります(出典:国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定」)。
保険については、経費処理とあわせて、補償内容が業務での使用に合っているかも確認しておきましょう。
法人で車を購入したときの経費処理
車両本体と購入時の諸費用を分けて確認する
車の購入時には、車両本体のほか、付属品、登録費用、税金、保険料などをまとめて支払うことがあります。まずは請求書の内訳を確認し、車両の取得価額に含めるものと、それ以外を分けましょう。
取得価額には、原則として購入代金と、購入・使用開始のために直接かかった費用を含めます。ただし、登録のために要する費用など、取得価額に含めずに処理できるものもあります(出典:国税庁「No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」)。
販売店への支払総額だけで処理せず、明細を基に取得価額を確定し、固定資産台帳へ登録することが基本です。
新車・中古車の耐用年数に応じて減価償却する
減価償却で使う耐用年数は、車種や用途によって異なります。一般用の新車では、通常の乗用車は6年、総排気量0.66リットル以下の軽自動車は4年が法定耐用年数です。貨物車や運送事業用の車などは、別の区分を確認します(出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」)。
中古車は、取得後の使用可能期間を見積もる方法や、一定の条件のもとで経過年数を使う簡便法により、耐用年数を決められます(出典:国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」)。
実際の計上額は、耐用年数だけでなく、償却方法や使い始めた時期によっても変わります。中古車だから購入代金をその年度に全額経費にできる、と決めつけないことが大切です。
ローンの返済額と経費にできる金額を分ける
ローン購入では、毎月の返済額がそのまま経費になるわけではありません。
- 車両の購入代金: 原則として資産に計上し、減価償却する
- 元金の返済: 借入金や未払金などの負債を減らす
- 利息: 支払利息などとして処理する
車を使い始めた後の期間に対応する借入金の利息は、期間の経過に応じて損金に算入します。割賦購入でも、購入代金と利息などが契約上明確に区分されていれば、その利息などを取得価額に含めずに処理できます(出典:国税庁「No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」)。
返済予定表で元金と利息を確認し、車両の減価償却とは分けて管理しましょう。
法人で車をリースするときの経費処理
リースも、「何に払ったか」「いつの分か」を確認する考え方は同じです。ただし、契約内容や自社が適用する会計基準によって処理が異なります。
法人税法上、一定の条件を満たすリース取引は売買があったものとして扱われ、借り手側で資産として償却します。そのため、「リースなら資産計上や減価償却は不要」と一律にはいえません(出典:国税庁「No.5702 リース取引についての取扱いの概要」)。
契約時には、次の3点を確認しましょう。
- 契約に応じた会計・税務処理
- 月額料金に含まれる税金・保険・メンテナンス費用
- 自社で別途負担する費用
購入かリースかを選ぶ際は、経費処理だけでなく、中途解約や返却時の条件も含めて比較することが大切です。
法人の車にかかる費用を経費にするときの注意点
私用を兼ねる場合は会社負担の範囲を確認する
社用車を休日の買い物などにも使う場合は、業務利用と私的利用を区別します。私用時の燃料代や高速道路料金を誰が負担するか、社内でルールを決めておきましょう。
会社が役員の私的な費用を負担すると、給与として扱われ、法人税上の損金算入が制限される場合があります(出典:国税庁「No.5202 役員等に対する経済的利益」)。
使用記録を残し、会社負担と本人負担の区分や精算方法について、税理士に確認してください。
個人名義の車を業務で使う場合は精算方法を決める
従業員や役員の車を業務で使う場合は、会社が所有する車と分けて管理します。
高速道路料金や駐車場代は利用明細と業務目的を確認し、燃料代は業務上の走行距離などを基に精算ルールを決めましょう。私用分を含む給油代全額を、一律に会社負担にしないことが大切です。
個人所有の車を会社が継続的に借りる場合は、契約内容や賃料、維持費の負担範囲も整理する必要があります。
領収書・請求書と業務での使用記録を残す
法人には、取引を帳簿に記録し、契約書や領収書などの関連書類を保存する義務があります(出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」)。
車両関係の支出は、「どの車に」「何のために」かかった費用かを確認できるようにしましょう。請求書や精算記録に車両番号・管理番号を付け、運行記録には使用日・目的・行き先などを残すと、後から照合しやすくなります。
保険料の前払い・車両の改良は処理方法を確認する
維持費の中で、特に確認したいのが次の2つです。
保険料などを前払いした場合
翌期以降の期間に対応する前払費用は、原則として資産に計上し、サービスの提供を受けた時点で損金に算入します。ただし、一定の条件を満たす短期前払費用には例外があります。保険の種類・対象期間・支払日を確認しましょう(出典:国税庁「No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合」)。
車両を改良した場合
通常の維持管理や原状回復は修繕費として扱いますが、車の価値や使用可能期間を増やす部分は、原則として資本的支出に当たります。金額の大きさや請求書の名称だけで判断せず、作業内容を確認してください(出典:国税庁「No.5402 修繕費とならないものの判定」)。
法人の車両コストは経費計上とあわせて見直す
車両ごとの維持費と稼働状況を把握する
経費にできても、会社からお金が出ていくことに変わりはありません。経費を整理するときは、車両ごとの維持費と使用頻度も確認しましょう。
例えば、月に数回しか使わない車でも、駐車場代や保険料はかかります。一方、維持費が高くても、毎日の配送に欠かせない車もあります。
費用の金額と、業務での必要性をセットで見ることが、見直しの基本です。車両ごとに維持費・修理履歴・稼働状況を記録すると、保有を続ける必要があるか判断しやすくなります。
使っていない車や修理費がかさむ車は売却も検討する
使用予定のない車や修理が続く車があれば、売却や入れ替えも選択肢になります。
「今後1年間」「次の車検まで」など比較する期間をそろえ、乗り続ける場合の維持費・修理費と、買い替える場合の購入費・維持費を比べましょう。現在の車の売却額や、故障中の代車費用なども判断材料になります。
修理費だけで買い替えを決めず、今後必要になる費用をまとめて確認することが大切です。

まとめ|法人の車は費用の種類と計上時期を分けて管理する
法人の車両経費は、業務に必要な支出かを確認したうえで、「何に払ったか」「いつの分か」に分けて考えることが基本です。購入代金、ローン返済、日々の維持費を区別し、支払額をそのまま当期の経費にしないようにしましょう。
経費の整理は、保有コストを見直す機会にもなります。使っていない車や修理費が増えている車は、今後の維持費と現在の売却額を比較してみてください。
カーネクストPROでは、社用車・営業車・商用車などの査定に対応しています。電話・オンラインで査定から契約まで進められ、実車査定の日程調整も不要です。保有を続けるか判断するために売却額を把握したい場合は、ご相談ください。






