アメリカのメーカーが生産した車、いわゆる「アメ車」は大きくて無骨で、パワフルなところが人気です。
けれども、アメ車は日本の車に比べると維持費がかかるといわれています。どのくらいかかるのでしょうか。
アメ車の燃費は悪い?
アメ車は「燃費が悪い」というイメージがあります。実際にアメ車のユーザーからも、燃費が6~8km/リットルしかないといわれるほどです。
これでは運転するほどに維持費がかかってしまいます。
ハイブリッド車を中心に、30km/リットル台で競い合っている日本車とは雲泥の差です。
アメ車の燃費が良くないのは、マスタングに代表される「マッスルカー」ならではの大きさと、排気量のせいです。
どのメーカーのアメ車でも、車体の重さは1.5~2.5tあります。対する日本車で2tを超えるのは少数派で、普通車でも1tを切るモデルがあるくらいす。
排気量では、V6エンジンを搭載すると3,600㏄、V8エンジンだと6,200㏄にもなります。
アメ車がこれほどまでに車体が重くて、排気量が大きいのは、長距離を楽に移動するためです。
アメリカでは何千キロの距離を車で移動します。
ハイウェイもありますが、日本のようにすべての幹線道路が整備されているわけではありません。
車体が重ければ安定しますし、排気量が大きいほど加速がスムーズで、坂道でも大人数を乗せてもパワフルに走れます。
早く目的地へ到着できますし、疲れにくいというわけです。
アメリカは産油国であり、ガソリンが1ガロン=3ドル弱で買えます(2018年10月現在)。
1ガロンは約3.8リットルですから、1ドル120円と仮定すると、1リットル約95円です。
日本のガソリンは150円台なので、負担は2/3くらいで済みます。
このようにアメ車は、アメリカでの使用を想定して作られているため、日本で運転すると燃費が悪いといわれてしまうのです。
もっとも、最近ではジープやフォード、シボレーで10km/リットルを超えるモデルが増えています。
ただし、旧車はエンジンの劣化も考慮して、1~3km/リットルを覚悟したほうが良いでしょう。
アメ車にかかる税金
アメリカの車とはいえ、日本で使用する以上、税金が課せられます。
自動車取得税や消費税は購入時だけですが、自動車税は毎年、自動車重量税は車検の度に負担しなければいけません。
自動車税は排気量に応じて課税されます。
乗用車の場合、金額は以下の通りです (2018年10月現在)。
排気量 | 自動車税 | 代表的なアメ車 |
2,000cc超~2,500cc以下 | 45,000円 | ジープコンパス、フォードマスタング |
2,500cc超~3,000cc以下 | 51,000円 | |
3,000cc超~3,500cc以下 | 58,000円 | リンカーンナビゲイター |
3,500cc超~4,000cc以下 | 66,500円 | キャデラックXT5クロスオーバー |
4,000cc超~4,500cc以下 | 76,500円 | |
4,500cc超~6,000cc以下 | 88,000円 | |
6,000cc超~ | 111,000円 | シボレーコルベット |
さらに新規新車登録から13年(ディーゼル車は11年)を経過した車は、概ね15%の重課です。
一方、自動車重量税は車体の重さによって課税されます。
乗用車の場合、金額は以下のとおりです (2018年10月現在)。
車体の重さ | 通常 | 13年経過後 | 18年経過後 |
1t超~1.5t以下 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
1.5t超~2t以下 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
2t超~2.5t以下 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
2.5t超~3t以下 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
初回の車検以降は2年に1回とはいえ、長く乗り続けるほど維持費が増えるでしょう。
アメ車にかかる保険
アメリカのメーカーが生産した車であっても、日本で乗る以上、自賠責保険に加入しなければいけません。
とはいっても、自賠責保険は自家用乗用自動車なら (2018年10月現在)であり、排気量や車体の重さによる違いはありません。
一方、任意保険は車種ごとに違いがあります。保険料を決める基礎となるのが「保険料率」です。
これは過去の任意保険の利用状況をベースにして、その車種に将来支払われるかもしれない保険金を計算し、保険料を決定するものです。
各車種とも対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、搭乗者傷害保険、車両保険に対して保険料率が設定されており、直近の保険金の支払いが多いほど数値は高くなります。
損害保険料率算出機構による各車種の保険料率 は以下のとおりです(保険始期が2018年の場合)。
車種 | 対人賠償 責任保険 | 対物賠償 責任保険 | 搭乗者 傷害保険 | 車両保険 |
アクア | 5 | 5 | 5 | 4 |
トヨタ86 | 3 | 4 | 3 | 5 |
キャデラックATS | 4 | 4 | 4 | 9 |
ランドクルーザー | 3 | 5 | 3 | 9 |
ジープコンパス | 4 | 4 | 4 | 7 |
スポーツカーでもSUVでも、日本車とアメ車の間に大きな違いはありません。
ただしアメ車は修理費が高額であり、盗難のリスクも大きいため、車両保険の料率が高くなる傾向にあります。
実際の保険料は、保険料率以外にも保険会社独自で様々な要素が加味され、特に旧車になるほど車両保険に差がつくものです。
年間の保険料が20~50万円になる場合もあります。
それでも修理費は保険料より高くつくため、保険料が安い保険会社を探すのがおすすめです。
維持費を節約しつつ、万が一のときに備えられます。
アメ車のメンテナンス費用
日本にあるアメ車の正規ディーラーはGMジャパンとFCA(フィアットとクライスラーによる持株会社)だけです。
かつてはフォードもありましたが、2016年に撤退しました。
いくつかの輸入代理店でもアメ車を扱っていますが、正規ディーラーほど品揃えや在庫、サービスが充実しているわけではありません。
そのため故障するとパーツの取り寄せに時間と費用がかかってしまいます。
それでいてアメ車はパーツの交換時期が早いのが難点です。
日本車と違って交換しないで乗り続けると、途端に調子が悪くなってしまい、エンジンを交換せざるを得なくなる場合もあります。
やはり車体の重さと排気量の多さ故に、負担が大きいのでしょう。
アメリカではパーツが充実しているのはもちろん、ドライバーが自分でメンテナンスできる知識やスキルを持っています。
整備工場に依頼しても、それほど高額ではないため、日本ほどメンテナンスの費用はかかりません。
日本でもアメ車の維持費を抑えるなら、メンテナンスの知識やスキルを身に付けておきたいところです。
アメ車の維持費を抑えるには?
車種にもよりますが、アメ車の維持費は大きくて無骨でパワフルになるほど高額になります。
さらに旧車となればメンテナンスの費用も加わって100万円ほどかかるでしょう。
特に駐車場の確保はネックです。
車種によっては2台分のスペースが必要になります。
旧車なら雨風や盗難、いたずらを防ぐためにガレージで保管したいものです。
自宅内に敷地が無ければ借りなければいけません。
ちなみに維持費の中で、税金ならナンバーの変更により数万円ほど抑えられる可能性があります。アメ車は、ほとんどが3ナンバーになりますが、1ナンバーに変えるのです。
1ナンバーにすると、自動車税は排気量でなく最大積載量で決められます。
自動車重量税はトラックの料金が適用され、車両重量が3t以下なら、1年あたり12,300円になります。
キャデラックのエスカレード(6,200cc、2,670kg)で比較すると、以下のとおりです。
3ナンバー | 1ナンバー | |
自動車税 | 111,000円 | 16,000円(積載量1tの自家用) |
自動車重量税 | 49,200円 | 24,600円(2年分) |
その代わり、1ナンバーは毎年車検を受けなければならず、そのたびに整備費用がかかります。
高速料金は2割増しです。
自動車保険も運転者年齢条件割引が適用されなかったり、ダイレクト型保険会社では引き受けを断られたりする可能性があります。
何よりもシートの固定や取り外し、最大積載量の表示といった改造も必要です。
利用方法によっては、1ナンバーに変えても期待するほど維持費を節約できないかもしれません。
まとめ
アメ車は車種によって維持費が異なります。
特に「マッスルカー」と呼ばれる、車体が大きくて排気量の多い車種ほど高額になるでしょう。旧車であればなおさらです。
カーネクストでは、動かなくなったアメ車の廃車買取を承っております。
買取では値がつかない旧車でもレッカーや手続きにかかる費用は無料です。
コンディション次第では値がつく場合もございます。処分にお困りの際には、是非ともご相談ください。