車の制動距離を理解して事故防止に役立てよう

はじめての方へ

車は急に止まれるものではありません。

子どもが飛び出してきて、慌ててブレーキを踏んでも間に合わずにぶつかってしまう例もあります。

では、どのくらいの余裕があればぶつかる前に止まれるのか、制動距離という観点から見ていきましょう。

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制動距離の定義

車を運転していて、止まる必要があるときにはブレーキを踏むでしょう。信号などで止まるときには、静かに止まれるように、止まりたい位置よりもだいぶ離れたところからゆっくりと少しずつブレーキを踏み始める人が多いです。そうすると、少しずつ車の速度を落としながら止まれます。

信号で止まる場合には遠くからでも信号が変わったのを見ることができて、前を走る車も減速するので、特に急いで止まる必要はありません。

しかし、子どもが飛び出してきたり、他の車が急に車線変更してきたりする場合には急いで止まる必要がありますよね。静かに止まろうとするような余裕はなく、思いっきりブレーキペダルを踏み込むでしょう。

それでも、すぐに停車することはできません。ブレーキペダルを思いっきり踏み込んでからも、少しは進んでしまいます。このブレーキペダルを踏み込んでから実際に停止するまでの距離が制動距離です。

また、車を運転している人が、危険を察知してから実際にブレーキを踏むまでにも多少のタイムラグが生じます。その間に車が進む距離は空走距離と呼ばれていて、空走距離と制動距離を合わせた距離が停止距離です。

実際に車を運転していると、車のスピードが速ければ速いほど制動距離も長くなることが実感できるでしょう。狭い道路をゆっくりと走っているときには、あまり制動距離が気になりません。

しかし、バイパスなどの大きな道路を走行しているときには、実際にブレーキペダルを踏んでから止まるまでどれくらい進むのかはっきりと分かります。すぐに止まれずヒヤヒヤした経験のある人もいるでしょう。

制動距離は走行速度の2乗に比例することが分かっています。そのため、速度の違いによる差がより顕著に顕れるのです。また車の重量も制動距離に影響します。車の重量と制動距離は単純比例の関係です。同じスピードで走行していれば、小さな乗用車よりもトラックやバスなど重い車は制動距離が長くなります。

車の制動距離が長くなるのはどんなとき?

走行速度と車体の重さの他にも、車の制動距離に影響を与える要素がいくつかあります。例えば、路面の状況です。雨天時は路面が乾いているときよりも滑りやすくなります。その分だけ制動距離も長くなるのです。天気があまり良くない日には、車間距離を少し長めに取ったり、スピードを少しゆるめたりして運転する人が多いでしょう。

また、制動距離は「車速(km/h)の2乗÷(254×摩擦係数)」という計算式で算出できます。摩擦係数は乾いた路面であれば0.7を用います。時速40キロで走行していると仮定して、計算式に当てはめると約9メートルになります。時速60キロであれば約20メートルです。

濡れた路面の場合の摩擦係数は0.5を用います。同じようにして計算式に当てはめてみると時速40キロで約12.6メートル、時速60キロだと約28メートルになり、雨天時には制動距離が長くなるのが分かるでしょう。摩擦係数は滑りやすい路面ほど小さな数値を用います。

路面の状態の他にタイヤの溝の状態も制動距離に影響を与える要素です。上記の計算式で算出できる制動距離は、あくまでタイヤの溝が十分に残っていると仮定しています。タイヤの溝がすり減っていると、滑りやすくなるため制動距離にも差が出てくるでしょう。すり減っている程度にもよりますが、乾いた路面での制動距離は時速40キロで11メートル、時速60キロで24メートルくらいまで長くなります。

普段乗っている車のタイヤの溝をよく見てみて、すり減っているようであれば早めに交換しておくことをおすすめします。交換するまでの間に車を運転するときには、通常よりも制動距離が長くなっていることを十分に意識して安全運転を心がけましょう。

制動距離に対する認識が甘いと大きな事故に繋がる可能性大

制動距離は走行速度によって大きく変わることから、スピードを出して走行するときには十分な注意が必要です。特に時速50キロを超える速度で走る場合には、30メートルくらい先に人が飛び出して来ると回避できず衝突してしまう可能性が高くなります。

時速50キロでの制動距離は約14メートルで空走距離は約13メートルです。30メートル先に飛び出してきた人を発見してすぐにブレーキを踏み込めばぎりぎり手前で止まります。

警察庁で公表している資料によると、車と衝突してしまった場合でも、時速30キロくらいまでであれば、致死率は約10パーセントと低めです。しかし、時速50キロを超えていると致死率が80パーセント以上に跳ね上がります。制動距離に対する認識が甘いと、大きな事故を起こしてしまう可能性があるため十分に注意しましょう。

実際に危険を察知してから停車できるまでの距離をある程度把握しておくのが望ましいです。制動距離に空走距離を加えた距離が停止距離になるわけですが、スピードが速いと停止距離も長くなります。多少の個人差はありますが、危険を察知してから実際にブレーキを踏むまでの時間は0.75秒です。運転しているときの速度で0.75秒進んでから、さらに制動距離の分だけ進むことになります。

走行速度が速いと視野も狭くなる点についても注意しましょう。視野が狭くなると危険を察知するのが遅れることがあります。一般の道路では視野が狭くなるくらいの速度で走行することはあまり実感しにくいですが、高速道路を走る場合には実感できることが多いです。

他にブレーキの制動性能が低いと制動距離が伸びてしまうことがあります。普段運転していて、ブレーキが効きにくいと感じたら早めに修理に出しておきましょう。古い車の場合には、部品が手に入りにくく修理代が高くつくこともあるため、廃車や買い替えを検討するのも一つの手です。

まとめ

交通事故を防止するには、制動距離に関して十分に理解しておくことが大切です。

雨天時には制動距離が伸びるので特に注意しましょう。

完全に衝突を回避できなくても、ブレーキを踏んで減速できれば致命傷を避けられることが多いです。

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