最近はファミリーカーとしてミニバンが人気です。大人数で乗車できて、荷物もたくさん積めます。
一方でミニバンは選び方を間違えると、無駄が多くなってしまいがちです。
何を基準に選べばいいのでしょうか。
ミニバンの定義とメリット・デメリットは?
一般的に「ミニバン」とは、居室空間と荷物を載せる空間が一つになっており、3列シートで6人以上乗れる車を指します。さらに天井が後部座席まで高くて、ボンネットが短いのが、普通のバンとの違いです。
ミニバンは大人数で乗車できて、荷物もたくさん積めるため、家族で利用するのに向いています。居室空間を広くするために床を低くしているミニバンが多く、スライドドアも備えており、小さな子どもや高齢者でも乗り降りしやすいでしょう。狭い駐車場でも隣の車にドアをぶつける心配もありません。
他にもシートアレンジの自由度が高く、モデルによっては横になってくつろいだり、荷物のスペースを増やしたりするなど、様々な使い方ができます。運転席の視点が高くて見通しが良いのもメリットです。天井が高くても床の低さで車体が安定しており、排気量の大きいミニバンなら運転に余裕があって長距離の移動でも疲れにくくなります。
一方で車体が重いため、サイズが大きくなるほど燃費も悪くなるのがデメリットです。その上、自動車税や自動車重量税も高くなるので、コスパはますます悪くなります。大きい車体は小回りが利かず、天井高のせいで、一部のモデルを除いて、立体駐車場には入れられません。
車好きにとっては、排気量の割に重さのせいでレスポンスがいまひとつなところも、物足りなさを感じるでしょう。
壊れると修理費が高いのも悩ましいところです。例えばスライドドアは交換に10万円前後かかります。リアゲートもガラスと一体化しているため、修理や交換にかかる費用は高くなるでしょう。運転するときはぶつけないように注意が必要です。駐車時にモニターや警告音でアシストしてくれるシステムを搭載すると、こうしたトラブルを避けられます。
このようにミニバンは、ファミリーカーとして使うのに特化しており、それ以外は他の車種のほうが向いています。子どもの成長など、家族構成の変化により活用できる期間が意外と短いのもミニバンの弱点といえます。
使い勝手で選ぼう!最適なサイズは?
一口にミニバンといっても、そのサイズによってS(コンパクト)、M(ミドル)、L(ラージ)の3種類があります。全長に違いがあり、それぞれ40cm前後の差です。最も長いLサイズで4.8m以上あります。
Sサイズは3列目のシートが狭く、乗り心地もいまひとつです。3列目を倒すだけなら、積める荷物の量も、それほど多くありません。どちらかといえば、コンパクトカーに近いミニバンといった位置づけです。
その代わり、車両本体価格が200万円以下とお手頃で、ミニバンの中では小回りも利きます。燃費も比較的良いので、通勤など遠慮なく普段使いもできるでしょう。しかも5ナンバーですから税金もお得になります。2列目まではMサイズと同じだけの広さや乗り心地が確保されており、3列目をめったに使わないのであれば、Sサイズで十分です。
Mサイズはミニバンの定番であり、モデルも豊富にラインアップされています。新車では一番の売れ筋で、車両本体価格は200万円台後半からです。3列目のシートに余裕があるだけでなく、排気量も2,000cc前後と、大人数や大量の荷物を運べるだけのパワーがあります。ミニバンらしさを堪能できるサイズです。
Lサイズになると圧倒的な広さを誇り、オッドマンが付いてくるなど装備がワンランクアップします。長距離の移動も苦になりません。車両本体価格は300万円以上で、燃費も悪く、税金も高くなります。もはや贅沢品の領域です。
選び方としては、乗り心地や居住空間の快適さなら、サイズの大きいほうが優れています。逆に人数や荷物の量が少なく、普段使いが多いのであれば、ミニバンらしさを犠牲にしても、小さいサイズのほうが向いているでしょう。
また、あえてサイズをワンランク下げると、同じ予算でグレードを上げたりオプションを追加できたりするため、装備を充実させることができます。
できれば実物を見て、どのようなシートアレンジができるのか、天井高はどれくらいなのか確認したいところです。特に3列目のシートは、余裕があっても座り心地が良くなかったり、天井を低く感じたり、膝が持ち上がったりする場合があります。実際に座って確かめましょう。
価格を優先するなら?中古を買うときの注意点は?
先述のとおり、家族構成の変化によりミニバンを活用できる期間は短く、それ以降は他の車種に乗り換えたほうが経済的ですし、無駄もありません。そのため、購入するときは手放すときのリセールバリューを重視した選び方をしたいところです。
初度登録から3年のリセールバリューで見ると、トップはトヨタのヴェルファイア(アルファード)で、残価率9割以上と人気の高さをうかがわせます。それ以降もノア(ヴォクシー)やシエンタといったトヨタのミニバンが名を連ね、いずれも残価率は7割以上です。
それ以外のメーカーはいずれも7割を下回ります。逆に考えると、中古ならトヨタ以外にしたほうがお得に購入できるというわけです。ハイブリッド車も狙い目ですから、安く買って20万km走るまで乗りつぶすという使い方ができます。
中古で購入するときも、できるだけ実物を確認したいところです。ミニバンは子どものいる家族や大人数が使うため、どうしても内装に使用感があります。特にスライドドアは要注意です。途中で引っ掛かりがあると、ミニバン自体が歪んでいる可能性があります。このようなミニバンは避けたほうが無難です。
まとめ
ミニバンは家族で利用しやすいのがメリットで、コスパが悪いのがデメリットです。サイズによって使い勝手が変わるため、用途に合ったものを選べば無駄なく利用できます。
短期間しか利用しない場合は、手放すときのリセールバリューを考えると、少ない出費で乗り換えできるでしょう。
逆にリセールバリューの低いミニバンは中古が狙い目です。