紅葉も近づく行楽シーズン真っ只中、どこへ出かけようか検討されている方も多いでしょう。自家用車をもつユーザーへの秋レジャーに関する調査では、食べ歩きや温泉街散策、紅葉狩りが人気レジャーとなっていました。
こちらの記事では、行楽シーズンにおすすめの秋レジャー車中泊について解説します。初めて車中泊をするなら知っておきたい「車中泊を快適に楽しむために準備するべき、必要な5つのこと」とはどんなことがあるのでしょうか。
車中泊とは
車中泊とは、車内で夜間の寝泊まりをすることです。レジャーとしてキャンピングカーなどを利用し車中泊を楽しむこともあれば、災害時など緊急事態で必要に迫られて車中泊をすることもあります。
車中泊に向いているのはどんな車?
まず初めに、車中泊をするにあたって必要となるのは「車中泊ができる車」です。車をもっている方は、その車が車中泊に向いているのか気になりますよね。セダンなどで車中泊に向いていない、また今は車をもっていなくて、車中泊用のレンタカーを探すという方へ、どのような車が車中泊に向いているのか解説します。
フルフラットになる車室空間
車中泊は寝泊まりを車内ですることですが、座席に座ったままで快適な睡眠をとることは難しいでしょう。寝姿勢をとって休むには、車内にフルフラットになる車室空間をつくることがポイントです。特に最近の車種は後部座席のアレンジ能力が高くなっていて、車室とバゲッジスペースをつなげてより広くフラットな空間を作ることができる車種も増えています。
例えば、トヨタのRAV4というとSUVとして人気があるため車中泊を想定する方は少ないかもしれません。しかし、2列目以降のシートを倒すと後部車室をフラットスペースに変更することができるようになっていて、ラゲージルームからの奥行きは1,880mm、室内幅は1,000mmから最も広いところで1,355mmにできるため、シングルベッドに比べれば小さいものの充分な広さを確保することができます。SUVは足回りが強い作りでもあるため、キャンプやバーベキューといったアウトドアレジャーに車中泊を組み合わせてのお出掛けにも向いている車といえるでしょう。
積載量たっぷりの車
車中泊に必要なアイテムは次項でご紹介しますが、寝袋やマット、ブランケットやポータブルバッテリーなどたくさんの荷物を載せることができる積載量も車中泊では重要となってきます。そのため積載量が十分あり、さらに荷物の積み下ろしが楽な車を選ぶこともポイントの一つです。
積載量が多く、車中泊するスペースも確保できる人気の車というとキャブバンがあります。キャブバンとは、キャブ(客室)がエンジンの上にあるキャブオーバーバンのことです。フロント部にボンネットがなく、運転席の下にエンジンを置くキャブバンは、商用車として人気のトヨタのハイエースバンや日産のキャラバン、軽自動車のスズキのエブリイなどで知られています。その3車種は、積載量と車室スペースの広さのほか、カスタムによるアレンジ力の強さも申し分ないことで知られていて、車中泊を何度も行っているユーザーからの人気が高い車となっています。
外部給電OKのプラグインハイブリッド
車中泊時より快適に過ごすだけでなく、緊急事態の際は給電能力としても活躍する外部給電機能をもつプラグインハイブリッド車も、車中泊に向いている車としておすすめできます。
プラグインハイブリッド車とは、ガソリンと電気の両方を使って走る車のことです。電気を使用しモーターのみで車を走行させることもあるため、プラグインハイブリッド車にはもともと大容量の充電機能をもつバッテリーが搭載されています。その大容量バッテリーに付属のコネクタと外部給電用コンセントを取り付けると、車の充電量から電力を取り出せるため、一般的な電力を必要とする家電等を使用するができます。電源があれば、車中泊での調理もしやすくなり、料理のバリエーションも広がります。
車中泊を快適にすごすためのアイテム
前述のとおり、車内にフラットスペースを確保できたら、次に必要となるのは車内で快適に過ごすためのアイテムです。
寝床づくりにはマット・寝袋・シェード
車室のシートを倒してフラットスペースを作ることができても、硬い床の状態で寝るとなると体も痛くなりますし、疲れをとることも難しいでしょう。車中泊で快適な睡眠をとるには、エアーマットや寝袋など寝るときに身体に負担をかけないアイテムが必要不可欠です。マットを購入する場合は幅と奥行きのサイズを事前に確認するようにしましょう。また、マットだけでなくブランケットやクッションなどもあると、さらに快適に過ごすことができます。
就寝時は外から車内が見えないようにする、シェードも必須アイテムです。シェードをすることで車内温度を保つ効果もありますが、プライバシーを守るためにも必要なアイテムとなっています。
ポータブルバッテリーなどの給電設備
ポータブルバッテリー等の持ち運びできる電源は、夜間にエンジンオフが必要となる車中泊では必須アイテムです。温度調節をするための扇風機や小型ヒーターに使用するほか、スマートフォンの充電などにも使うことができます。ただポータブル電源をしっかり用意しても、忘れてしまいがちなアイテムがスマートフォンの充電ケーブルです。出発前にチェックしておくようにしましょう。
車中泊できるところを下調べ
車中泊はどこでもできるわけではありません。車中泊可能な場所かどうかは、行き先を決めるときにあらかじめ確認が必要です。
車中泊スポット・RVパーク
初めての車中泊をする方におすすめの車中泊可能なスポットというと、RVパークがあります。RVパークとは、日本RV協会が快適に安心して車中泊ができる場所として認めている施設のことです。全国各地にRVパークは増えている傾向にあります。まずは行ってみたい地域や観光地などの近くにRVパークはあるかどうか調べてみましょう。空車状況や予約可能なRVパークかどうかなど、ウェブサイトから確認できるところが多くなっています。
車中泊OKの道の駅
車中泊というと、道の駅が思い浮かぶ方も多いと思いますが、実は道の駅自体は原則車中泊NGとされているところがほとんどです。道の駅は休憩スポットとして置かれているため、長距離運転中の休憩や仮眠場所として利用される方は多いかもしれません。しかし、夜間の宿泊を目的とする場合は用途が異なるためNGとなるのです。なかには駐車場の一部のみ車中泊OKとしている場合もありますが、基本的にはNGであることを忘れないようにしましょう。
車中泊する場所でのマナー
車中泊は周辺への気遣いやマナー、駐車場所でのルールを守って行う必要があります。下記の3つは必須マナーです。
- 長時間のアイドリング禁止
- 駐車場内でのバーベキューや椅子など設置したキャンプ行為禁止
- ごみは持ち帰ること
車中泊するための体調管理
車中泊するとなると、車中泊する場所まで車での移動になります。前日までにしっかり睡眠をとり、体調万全で運転ができるようにしましょう。
長距離運転時には必ずこまめな休憩をとる
車中泊スポットを下調べしているのであれば、車中泊スポットまでの運転でどのくらいの時間がかかるのか前もって確認はできているかもしれません。しかし、高速道路などでは事故渋滞など思いもよらないことが起こる可能性もあり、想定以上に移動に時間がかかることもあります。休憩できるサービスエリアなどがあれば、1~2時間程度ごとにこまめに休憩をとり、車から降りて少し歩くようにしておくことをおすすめします。
エコノミー症候群などの危険があると知っておく
2004年の震災時、避難のため車中泊をしていた方がエコノミー症候群になってしまったという事例は、当時もニュースとして報道されたためご存知の方も多いでしょう。エコノミークラス症候群とは肺血栓塞栓症のことで、長時間脚などを十分に伸ばすことのできない狭い環境で、寒さ、水分が取れないなどの要因から肺動脈内に血液の固まり(血栓)ができて詰まってしまう病気のことです。
水分を十分に摂る、血液の流れをとどめないようにベルトなど圧迫する衣服や装飾品をつけない、同じ体勢を続けすぎないように休憩時は少し歩くなど、予防のため行うようにしましょう。
車中泊で危険な目に合わないために
車中泊を楽しい思い出にするために、車中泊時に気を付けておきたい注意点をご紹介します。
人気のないところでの車中泊はあぶない
前述したような車中泊スポットではなく、夜間人気がほとんどない場所や明かりが全くない場所などで行うことは危険な目にあってしまう可能性があります。特に女性だけで行う場合や、一人での車中泊の場合は防犯面を考えて安全な場所を選ぶようにしましょう。車中泊時のドアロックは必須です。
貴重品は外から見えないところへ
車中泊のあいだ、車を離れてトイレに行ったり、食事を摂りに出かけるときは、外から見える場所に貴重品や荷物を置かないようにしましょう。車中泊に向いている車は前項でもご紹介した通り、客室とラゲッジスペースがつながっていることが多く、トランク別の車種と比べると防犯リスクがあります。まずは外から見えない場所に、貴重品やカバンなどを置くように心がけましょう。
万が一のために飲酒しない
車中泊で一泊することもあり、前日の夜の食事の際に飲酒をしても問題ないだろうと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、車中泊のトラブルなど、万が一の際は車の移動が必要になることも少なくありません。運転者は飲酒せず、何かあった際は運転ができるようにすることが大切です。
まとめ
ここまで車中泊に必要なものをご紹介してきましたが、車・アイテム・下調べなどに高いハードルを感じてしまう方も多いでしょう。
初めての車中泊であれば、車中泊できるグッズと車中泊用のレンタカーがセットになっているパッケージプランを選ぶことや、キャンピングカーなどのすでに車中泊に適した装備になっている車をレンタルすることをおすすめします。車中泊用のレンタカーを借りる注意点は、喫煙NG車やペットNG車もあるため事前に確認しておくようにしましょう。借りる場所、返却場所、車中泊できる場所など確認することが多くなっていますので、余裕をもって計画立てます。
こちらの記事が、車中泊の楽しい思い出づくりの参考になれば幸いです。