2023年1月4日から電子車検証の交付がスタートしました。旧来の自動車検査証と比べるとサイズが小さくなり、記載情報の内容も変化しています。電子車検証の記載情報の変更に伴い、券面から自動車検査証の有効期間が非表示事項になったため、車検証を目視しても車検有効期間の確認ができなくなってしまいました。万が一車検が切れてしまった状態で車を使用したら、どのような罰則が科せられてしまうのでしょうか。
こちらでは、車検に関するトラブルを避けるために、車検の有効期間を確認する方法や、車検切れの車を使って公道を走行してしまった時の罰則や罰金について解説します。
車検の有効期間はどこを見たら確認できる？
車検証の電子化開始日以降、新規車検または継続車検を受けて交付される車検証は、すべて電子車検証へと変更されています。新しい車検証の券面では、車検有効期間の表示がなくなってしまいましたが、車検の有効期間を確認するにはどのような方法があるのでしょうか。
電子車検証で車検有効期間を確認する
電子車検証はA6サイズの小さな車検証で、券面記載の情報は以前の車検証に比べると必要最小限のものに変更されました。記載情報は名義変更や住所変更登録を行っても、券面上の変更が必要ないもののみになったため、所有者の住所・氏名・名称や使用の本拠の位置、自動車検査証の有効期間など、交付以降に変更登録を行うと書き換えが必要になるものは、すべて券面上は非表示になり目視での確認ができなくなったのです。
電子車検証から車検有効期間を確認するには、車検証閲覧アプリをダウンロードしてインストールを行い、アプリを開いたらセキュリティコードを入力して電子車検証のICタグを読み取ります。ICタグに格納されている自動車検査記録事項（車検証情報）から車検有効期間を確認することができます。
電子車検証のICタグの読み取りは、ICタグリーダーのあるPCか、ICタグを読み取りできるスマートフォンを用意し、車検証閲覧アプリをダウンロードして読み取りを完了すると車検証情報の閲覧ができるようになっています。車検証情報はPDFとして保存が可能で、印刷をして手元に自動車検査証記録事項を保管することもできますので、何度も読み込みをするのが面倒という方は、印刷して電子車検証と合わせて保管しておくと良いでしょう。
電子車検証の閲覧アプリでリコール届出情報もわかる
車検証閲覧アプリは、読み取りをした当該車両にリコール届出がされている場合、アプリ内で通知が受け取れるようになっています。所有者の変更があったり、メーカーからのメール登録やディーラーからの連絡が届いていない人も、しっかりと情報を得ることができるようになっています。
車検ステッカー（検査標章）で車検有効期間を確認する
電子車検証の場合、ICタグから読み込んで自動車検査証記録事項の内容を確認することで有効期間がわかりますが、アプリの起動や読み込みの手間がかかります。すぐに車検有効期間を確認したいのであれば、車検ステッカーで確認する方法が一番手っ取り早くおすすめです。
車検を受けて保安基準に適合して合格すると、車検証と車検ステッカー（検査標章）が交付されます。車検ステッカー（検査標章）は、前面ガラス用とナンバープレート用があります。前面ガラス用は表面・裏面があり、表面に車検有効期限の満了する年月、裏面に車検有効期間の満了する年月日が表示されています。ナンバープレート用の車検ステッカーは、表面のみの印字となっており、車検有効期限の満了する年月が表示されています。
車検ステッカー（検査標章）は交付されると、車の前方から見えやすい位置に必ず貼り付けなくてはいけないと決められています。しかし、2023年7月に国土交通省の『自動車検査業務等実施要領』の一部が改正され、車検ステッカーの貼付位置が変更になりました。これまでは『前方から見えやすい位置』となっていましたが、2023年7月以降から『前方かつ運転者席から見やすい位置、運転席側上部で車両中心から可能な限り遠い位置』に変更となり、例外を除いて新しい位置に貼り付ける必要があります。
もし車検切れの車を使ったら罰則や罰金はあるのか
もしも、有効期間が過ぎてしまった車検切れの車を公道で使用した場合、どのような罰則や罰金が科せられるのかご存知でしょうか。
交通違反ですぐに免許停止処分に
点数制度とは、自動車等の運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて、その過去3年間の累積点数等に応じて免許の停止や取消等の処分を行う制度です。
車検切れの状態で公道を走行すると無車検運行の違反行為をしていることになり、交通違反点数が6点加算され、過去に行政処分を受けたことがない場合であっても、即免許停止処分となります。
また、無車検運行をしてしまった場合のほとんどは、自賠責保険も保険期間も過ぎてしまっています。無車検運行と無保険運行はどちらも違反行為となりますので、さらに6点が加算されて合わせて違反点数は12点になり、行政処分による免許停止の期間は90日となります（6点の場合は免許停止期間30日）。
法律に基づき6月以下の懲役又は30万円以下の罰金！
道路運送車両法
第五十八条 自動車（国土交通省令で定める軽自動車（以下「検査対象外軽自動車」という。）及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。）は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
第百八条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
自動車は道路運送車両法の法令により、有効な車検の交付を受けていない（車検切れ）状態で運行してはならないと定められていて、車検切れで運行して規定に違反した場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が、刑事処分として科せられます。
また、道路運送車両法では車検切れかつ自賠責保険未加入の状態で公道を走行した場合の刑事処分は、1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金となっています。
車検切れの車はどうすればいい？
車検が切れた車は公道を走行できないため移動もできませんが、そのまま置いておくにも維持費用がかかってしまいます。車の部品やパーツは動かさないと余計に劣化がすすんでしまうため、あまり長期間置いておくと移動することさえできなくなることがあります。たとえばタイミングベルトが硬くなってエンジンがかからなくなってしまったり、タイヤの空気圧が弱くなって転がらなくなるなど、不動車になってしまう可能性が高いのです。
車検が切れた後は、その車を使い続けるのかどうか早めに判断して、次の行動に移さなくてはいけません。
車検切れ車を再度使用するなら継続車検
車検が切れてしまった車でもその後使い続けたいのであれば、継続車検を受けることができます。車検切れの状態でも、継続車検を受けて保安基準適合検査に合格することができれば、また新しい車検証が交付されるため、引き続き車を使うことができるようになります。
しかし、車検切れの車の車検には注意点がいくつかあります。まず、車検場や車検センターなど依頼するところまで、公道を走って移動することができないため、キャリアカーを手配して車を運ぶか、仮ナンバーの申請を役所で行い、車検場まで仮ナンバーを付けて走って移動する必要があります。
車検が切れてしまっている車は、事故などで使用されるような前輪または後輪を持ち上げた状態で、残り二輪のタイヤを転がせてレッカーすることができません。車を完全に積載できるキャリアカーを手配する必要があります。
車検場まで持っていくだけだからと無車検走行をしてしまった場合、車検切れで検挙されると前述したような罰則や罰金が科せられてしまいます。キャリアカーの手配や仮ナンバー申請には、費用と手間がかかりますが、確実に手配するようにしましょう。
車検切れで使用しない車は早めの廃車
車検が切れてしまうと公道を走行することもできませんし、使用機会がもともと少ないのであれば、手間をかけて継続車検を受ける必要性もあまり感じないでしょう。車は、置いて置くにも場所を取りますし、もしも駐車場を借りているのであれば駐車料金もかかり続けることになります。
さらに、使用していない車であっても税金は課税されるため、毎年の自動車税は支払い続けなければいけません。普通車の自動車税には月割りの還付制度があるため、年税を納めた後に使用しなくなった車は、その翌年の2月までに廃車することで、廃車した月以降の月数分の月割りの自動車税が還付されて手元に戻ります。
また、廃車方法次第では、車検切れの車でも引取り費用無料で引取りをしてもらえたり、廃車手続きの代行手数料もすべて無料で任せることができて、廃車の買取をしている廃車買取業者へ依頼することで、お得に廃車することも可能です。車検が切れて使用することがない車であれば、早めに廃車してしまうことをおすすめします。
まとめ
こちらでは、車検の有効期限を確認する方法について詳しく解説しました。車検証の電子化以降に車検を受けたり、新車を購入された方は小さくなった車検証に驚かれたのではないでしょうか。電子車検証から読み取れる情報が減少したことで、車検の有効期限をすぐに確認する方法は車検ステッカーが一番わかりやすくなりました。
車検が切れてしまった車で公道を走行すると、即免許停止になってしまいますし、刑事処分では高額な罰金が科せられる可能性もあります。車検有効期限がいつまでになっているのか、いつごろが次の車検のタイミングかなど、前もって確認するようにしましょう。
