昨今、上級グレード車の標準的な装備として「スマートキー」の利便性が注目されています。しかし、電池が切れてしまうと使えなくなり、いつでも電池交換できるというわけでもありません。そこで、スマートキーの電池が切れたとき、車に乗ってエンジンをかける方法について解説します。
車に乗り込んでエンジンをかけるまで
まずは、車に乗り込んで、エンジンをかけるまでのプロセスについて解説します。
慣れていないといざという時に慌ててしまいますので、細かい部分は別としてもおおまかな作業手順だけは覚えておきましょう。
メカニカルキーで車に乗ろう
実はスマートキーは電池切れを起こしていても車のカギを開けることができます。以下の手順で車に乗り込んでください。
①スマートキーに内蔵されているメカニカルキーを取り出す
②運転席のドアの鍵穴に差し込んで解錠する
注)キーカバーがついているときは、取扱説明書どおりに外す
スマートキーに内蔵されている「メカニカルキー(エマージェンシーキーなど、メーカーによって名称が異なる)」によって、車のカギを開けることができます。内蔵されているメカニカルキーの取り出し方はメーカーによって異なりますので、あらかじめ調べておき、取り出し方を覚えておいてください。
メカニカルキーを取り出したら、通常の車のキーと同じようにドアノブ付近の鍵穴に差し込んで解錠してください。なお、車種によっては鍵穴が隠れていることもあります。どこに鍵穴があるのか、開き方はどうするのかを把握しておきましょう。
スマートキーでエンジンをかけよう
メカニカルキーを使って車に乗り込んだら、エンジンをかけましょう。以下の手順でエンジンをかけることができます。
①シフトがPの状態でブレーキを踏む
②スマートキーのエンブレム部分でエンジンスイッチに触れる
③ブザー音が鳴り、スイッチやインジケーターが点滅するので、規定の秒数以内にエンジンスイッチを押す(メーカーによって異なる)
なお、メカニカルキーの取り出し方やエンジンのかけ方は、メーカーや車種によって異なる可能性があります。あくまでも一般的な例として理解しておきましょう。具体的な緊急時操作については事前に把握しておき、いざという時に実践できるようにしておく必要があります。
スマートキーの電池を交換しよう
緊急時の操作方法については以上となります。電池切れを起こしても車を走らせる事ができるとは言え、いつまでも電池切れを放置することもありません。電池が切れたなら、電池を交換しましょう。
どのように交換すればいいの?
前述の内容はあくまでも緊急時の対応であり、スマートキーの電池が無くなったら速やかに電池を交換することをオススメします。スマートキーの電池は「ボタン電池」であり、それぞれ大きさや電圧、用途が異なります。ただし、メーカーが違っていても型番は共通なので注意してください。
スマートキーの電池交換は、ある程度の分解作業が必要です。分解するといってもバネやネジが何個も飛び出して、組みなおすのが大変なほどではありません。おおざっぱに数個のパーツと、数個のネジで構成されているので、あまり敬遠する必要はないでしょう。
前述のとおり分解にはネジを外す必要があるので、メガネ用の小さなドライバーが必要です。車の中や手荷物の中に常備しておくことをオススメします。
交換する電池ですが、ボタン電池表面の文字を見て種類を判別してください。異なる種類だと、単1電池と単2電池ほどの違いがあるのと同じように、絶対に適合しません。
使用している電池の種類によってはコンビニでも販売していますが、必ずしもそろっているとは限りません。ホームセンターくらいの品揃えなら、大抵のボタン電池は取り扱っています。
使用する電池の種類を調べておき、いつでも交換できるよう準備をしておくと安心です。ドライバーと一緒に、車の中や手荷物の中に常備しておくとよいでしょう。
寿命よりも早い電池切れに要注意
電池の寿命は、使い方にもよりますが2年前後が目安です。ただし、電波が飛び交う場所は電池の消耗が早いので注意が必要です。車種によっては、スマートキーの電池切れを警告してくれるものがあります。
仮にスマートキーの電池を新品に交換した場合、「じゃあ2年は保つな」と判断するのは危険です。前述のとおり電池は使用状況によってその消耗のスピードも異なります。長持ちするケースもありますが、消耗が早いケースも珍しくありません。
要するに、いつ電池がなくなっても基本的におかしいことはないのです。新品に交換して数ヶ月で電池切れとなれば異常ですが、2年前後で数ヶ月の誤差は起こり得るものです。いつ交換する必要ができても困らないように、交換用の電池とドライバーは常備しましょう。
電池を交換しても作動しないときは?
電池を使用する機器が使えなくなったときには、第一に「電池切れ」を原因と考えるでしょう。しかし、スマートキーの電池を交換しても機能しないこともあり得ます。
スマートキー本体の故障かも?
考えられる最大の原因は、電池ではなく「スマートキー本体の故障」の可能性です。スマートキーを落としたりして強い衝撃を与えたり、磁気を帯びたものに近づけた場合などは故障の可能性が強く疑われます。メーカーに相談して修理または交換してもらいましょう。
トヨタの「AQUA」の取扱説明書によると、「キーの故障を防ぐために」という項目に以下の注意点が記載されています。
- 落としたり、強い衝撃を与えたり、曲げたりしない
- 温度の高いところに長時間放置しない
- ぬらしたり超音波洗浄機などで洗ったりしない
- キーに金属製または磁気を帯びた製品を取り付けたり、近づけたりしない
- 分解しない
- キー表面にシールなどを貼らない
- テレビやオーディオ、電磁調理器などの磁気を帯びた製品の近くに置かない
- 電気医療機器(マイクロ波治療機や低周波治療器など)の近くに置いたり、身につけたまま治療を受けたりしない
スマートキーはデリケートな製品なので、基本的に大切に扱うことを心がければ問題ないでしょう。ただし、予期せぬ事態は発生するものです。上記に挙げたような事柄が発生してしまった場合には、電池切れではなくスマートキーの故障を疑わなければなりません。早めにディーラーに相談して対応してもらってください。
他の原因やシステムの故障かも?
スマートキー本体の他にも、さまざまな要因でスマートキーが動作しなくなる可能性があります。例えば以下の原因です。
- ハンドルロックがかかっている
- 補機バッテリーが上がっている
- コンピューターの設定で非作動になっている
仮に、お使いの車のコンピューターの設定に問題がある場合、持ち主が自力でなんとかすることは不可能に近いです。これは、原則的にディーラーでしか変更できないためであり、早めにディーラーに連絡して対応してもらう必要があります。
ここで挙げた以外の原因によっても、スマートキーが動作しない可能性があります。どうしても作動しない場合は、ディーラーに相談して解決してもらってください。
まとめ
スマートキーが動作しなくなったら、まずは電池切れを疑うことと、慌てずに対処することを心がけてください。
その上で、必要に応じてディーラーに相談するなどの対処に移ります。日頃からスマートキーを大切に扱っていればそう簡単に壊れるはずはありませんから、扱いには十分に注意してください。