2019年に台風15号が発生した際は大型台風の影響により、千葉県内では電柱2千本が倒壊や損傷をしたと推計されています。影響を受けた千葉県内のご家庭では、6,000軒が15日間以上にわたり停電してしまいました。生活に欠かせない電力の供給が滞ってしまうと、猛暑日なら熱中症の危険があったり、冬季は低体温症などにより命の危険が脅かされる事態となってしまう可能性があります。
こちらでは、車から電源を取る方法や、車から電源を取ることで災害に役立つこと、電源供給に強い電気自動車、プラグインハイブリッド車についてご紹介します。今車の乗り換えを考えている方は、災害への備えにもなる電気自動車について、ぜひチェックしてみてください。
車から電源をとる2つの方法
車から電源を取る方法は二つあります。一つはシガーソケット(アクセサリーソケット)から電源を確保する方法です。もう一つは、電気自動車またはプラグインハイブリッド車から電源をとる方法です。具体的にどのようにすれば、車から電源をとることが出来るのか、車から電源をとる方法や流れ、準備するものなどご紹介します。
シガーソケットを利用して車から電源をとる
シガーソケット(またはアクセサリーソケット)から電源をとる方法についてご紹介します。シガーソケットとは、もともと車に付属されていたシガーライターの取り付け口のことです。ただし、現在はシガーライターを使ってタバコに点火する人も少なくなり、利用される機会も減ったことからシガーライターを付属していない車や、シガーソケットではなくアクセサリーソケットや電源ソケットという名称で取り扱い説明書にも記載されている車が増えています。シガーソケットを電源の取り出し口として利用するためには、シガーソケットにコンバーター装置を取付けて、コンセントやUSBなどの外部へ電気を供給出来る充電器を取り付ける必要があります。
EV車、ハイブリッド車から電源をとる方法
バッテリーの電力のみで走行する電気自動車や、自宅や充電スタンドで充電が出来るプラグインハイブリッド車、エンジンとモーターの動力により走行するハイブリッド車から電源をとることも出来ます。前述した車にはACコンセントが装備されているため、そこから電源をとることが可能なのです。シガーソケットからの電源供給との違いは、シガーソケットから取れる電力は12V120Wの直流が一般的ですが、プリウスなどのHV車などに装着されているコンセントは、モーター走行用に容量の大きいバッテリーを搭載しているためAC100V1500Wとなっていて電圧が大きく異なります。日本の一般的な家庭用電化製品は100Vからとなっているため、電気自動車等から取ることが出来る電気なら、対応している電化製品も多くなっています。
災害に役立つ車の電源
2018年の北海道地震で大きな停電が起きた際、車から電力を供給する設備を備えていたコンビニエンスストアが、停電時にも営業を継続することが出来たことで多くの道民の方の生活を支えたことが話題となりました。このように災害時において、車から電源をとることが出来ると非常時や災害時に活かすことが可能になっているのです。
車の電源から携帯電話・スマートフォンの充電が可能
シガーソケットを利用し、車から電源をとるためのインバーターUSB充電器なども市販されています。シガーソケットの電源を充電器に利用するためには、車のバッテリーの電力をソケットを通して電力供給する外部装置が懸け橋に必要です。ガソリン車などの通常の車のバッテリーであっても、走行中にバッテリーが電気を作っていますので、携帯電話などの充電を行うことも負担が少なく難しくありません。ただし、車を停車させてエンジンを切った後も、随時電力が流れるタイプのシガーソケットもあります。その場合、シガーソケットに充電器を接続したまま駐車していると、駐車中にバッテリ上がりを起こしてしまう可能性がありますので注意が必要です。災害時はスマートフォンなどで情報を収集したり、外部へ連絡を取り合えることが大きな安心につながります。いざという時のためにシガーソケットを利用出来る状態にしておくと良いでしょう。
停車した車でも電源供給が可能
電気自動車(EV車)・プラグインハイブリッド車(PHV車)は、ACコンセントが付いている場合、エンジンを始動しなくてもバッテリーに充電されている大容量の電源をコンセントから供給することが出来るため、蓄電された電力を活かすことが出来ます。容量が大きいことで、家電の中でも消費電力の高い暖房用品なども利用することが出来、災害などの非常時に活躍することが見込めるのです。例えば災害時に火災対策でガス栓を締めていてコンロが使えなくても、IHクッキングヒーターを持っていれば、電気自動車から電源をとることで、暖かい食事をとることも可能となります。
応急電源となる車は電気自動車だけではない
車から電気がとれることで応急電源車としての機能が期待が出来る自動車は、電気自動車(EV車)やプラグインハイブリッド車(PHV車)だけではありません。こちらでは、他にも応急電源車として利用することが出来る車種をご紹介します。
ハイブリッド車も電源になる
ハイブリッド車は、プラグインハイブリッド車とは違い充電は出来ません。ただし、走行すると容量の大きいバッテリーで随時電気を作ることが可能なため、ガソリン車に比べてもバッテリー容量が大きく、応急電源としての活躍が見込めます。モーターの出力も必要なためガソリン燃料が尽きてしまうと電源を供給することが出来なくなってしまうことがハイブリッド車のマイナス点ですが、ガソリンの補充さえ切らさなければ電力源となりますし、移動の手段にもなり、緊急時にも心強い車であることがわかります。
家に電気を供給できる車もある
充電スタンドから車に電気を供給するのではなく、自動車が蓄電池に蓄えた電力を家庭用電力として利用する動きのことを、Vehicle to Homeといいます(略称はV2Hです)。V2H対応の車とパワーコンディショナーで家と車を接続し、電力を交換する機器を中間に配置して、車から家に電力を供給することが出来ています。
電気自動車の車種では、2019年に登場した日産のリーフe+は搭載バッテリーの容量が62kWhと大容量になっています。プラグインハイブリッド車としては、トヨタのプリウスが8.8kWhとなっていて、蓄電が出来ることからどちらも応急電源車としては人気があります。
もしも日産自動車のリーフe+のバッテリー容量62kWhを活かして、家庭の電力として利用するなら、一日あたりの使用電力量を約12kWhとすると約4日間は家中の電気を一台の車の蓄電量でまかなえる計算になるのです。
EV車・PHV車に乗り換え時は今?
バッテリーのみで走行することが出来るEV車や、蓄電量の大きいバッテリーを搭載したPHV車が続々と販売されており、リーフやキックスなどの電気自動車を販売している日産自動車からは2021年にアリアが販売を予定されています。日産アリアのバッテリー容量は65kWhと90kWhを採用しており、航続距離も余裕があります。日本の自動車メーカーではトヨタではプリウスPHVや、RAV4PHVが販売されています。RAV4PHVは注文数の多さに新規搭載バッテリーの生産能力が追い付いておらず2020年7月時点で2020年度内販売分は終了状態となり、現在は注文の受付が一時停止となっています。このように続々と人気の車種が販売されている今、EV車・PHV車は乗り換え時なのでしょうか。
エコカー減税で乗り換え時?
2019年10月1日に自動車税に関して税制度が新しくなり、エコカー減税において新しい減税制度が適用されています。新税制度では、電気自動車・燃料電池自動車・プラグインハイブリッド車・天然ガス自動車・クリーンディーゼル車は取得時自動車重量税は100%減税かつ3年後の継続検査時も100%減税となり、税金が免除されます。また、グリーン化特例制度によって年額の自動車税も75%減税対象となり、購入年度の翌年度の自動車税が減税されます。
現在は、エコの観点からも初年度登録から13年以上の自動車に対して重課税措置がとられていることから、乗り換えを考えている方はこのエコカー減税の環境性能割適用期間である2019年10月1日から2023年3月31日までに購入をすると、軽減措置でかなりお得になるのです。年式の古い車で維持費が高額になってきた方は、今乗り換えを考えても良いタイミングと言えます。(※2020年12月に適用期間が延長が決定されました)
まとめ
車から電源を取る方法について詳しくご紹介しました。近年、地震や豪雨、台風などによる自然災害が増えていますが、災害対策の一つの備えとして電気自動車への乗り換えをご検討されることも良いかもしれません。また、現在車を所有されている方は、車にシガーソケットやアクセサリーソケットなど電気供給出来る機能があるなら利用方法など確認し準備しておくこともおすすめします。