自動車を処分・廃車するときは、必ず廃車手続きを行う必要があります。
軽自動車の廃車手続きについて、手続きを行う場所や方法、必要書類について解説します!
軽自動車の廃車手続きとは?
廃車手続とは、車の登録を抹消する手続きのことです。車を処分したり、一時的に使用を中止したりするときに行います。
手続きを行うことで、車は公道を走ることが出来なくなります。そして、自動車税・自動車重量税の課税や自賠責保険料の支払いを止めることが出来ます。
普通自動車の廃車手続きとは異なる
普通自動車の廃車手続きと軽自動車の廃車手続きは、手続きを行う場所や手続きの名称が異なります。全体的に軽自動車の方が手続きや必要書類は簡略化されています。また、普通自動車は廃車することで自動車税の還付金を受け取ることが出来ますが、軽自動車は廃車しても軽自動車税の還付を受け取ることが出来ません。
このように、普通自動車の廃車手続きと軽自動車の廃車手続きは、似ているようで異なる点がいくつか存在します。
軽自動車の廃車手続きは軽自動車検査協会の窓口で行う
軽自動車の廃車手続きは、管轄の軽自動車検査協会の窓口で行います。手続きの大まかな流れは、以下の通りです。
- 車を処分したりナンバープレートを外したりして必要書類を用意する
- 軽自動車検査協会の窓口で手続きを行う
他県のナンバープレートでも、自分の今の住所の管轄の軽自動車検査協会で廃車手続きを行うことが出来ます。
軽自動車の廃車手続きは3種類
軽自動車の廃車手続きは、3種類あります。それぞれ以下の場合に行います。
- 軽自動車を処分するとき→解体返納
- 軽自動車を長期的に使用しないとき→自動車検査証返納届(一時使用中止)
- 「自動車検査証返納届」の手続きを行った軽自動車を解体したとき→解体届出
それぞれについて、特徴や受け取ることのできる還付金について詳しく説明します。
解体返納
「解体返納」は、軽自動車を解体処分するときに行う手続きです。普通自動車の廃車手続きでは「永久抹消登録」に該当します。車の解体が前提の手続きのため、窓口での手続きでは車を解体したことを証明するものが必要です。
条件を満たせば、自動車重量税の還付金や、自賠責保険料の返戻金を受け取ることが出来ます。軽自動車税の還付金はありません。
一時使用中止(自動車検査証返納届)
「自動車検査証返納届」は、軽自動車の使用を一時的に中止するときに行う手続きです。普通自動車では「一時抹消登録」に該当します。
メリットは入院や海外出張などで長期的に車に乗らないことが決まっている場合に行うと、使用しない期間の自動車に対する課税を止めることができることです。また、軽自動車を盗難されたときにも「自動車検査証返納届」の手続きを行うことで課税を止めることが出来ます。
自動車検査証返納届を行った後は、再びその車を使いたいときに手続きを行えば乗ることが出来るようになります。再度車に乗るまでの期間は特に制約はありません。しかし、車を長期間放置し続けると車の部品が劣化していくため、手続き上の問題はなくてもあまりに長期間の放置は車体によくないということを覚えておきましょう。
手続きの際には、ナンバープレートを取り外して返納します。
なお、「自動車検査証返納届」の手続きを行っても、軽自動車税と自動車重量税の還付金を受け取ることはできません。自賠責保険料の返戻金は条件が合えば受け取ることが出来ます。
解体届出
「解体届出」は「自動車検査証返納届」を行った後、その車を解体したときに行う手続きです。
しばらく使用しないと思って「自動車検査証返納届」を行ったが、結局乗ることがないまま車を処分するときに行います。
解体届出の手続きも、車の解体が前提であるため手続きの前に車を解体する必要があります。手続きを行うことで、条件に合えば自動車重量税の還付金を受け取ることが出来ます。
軽自動車の解体返納の方法・必要書類
解体返納の手順と必要書類について説明します。
軽自動車の解体返納の手順
流れは以下の通りです。
- 車の処分を依頼する
- 必要書類を準備する
- 軽自動車検査協会の窓口で手続きを行う
- (車検の残り月が1ヶ月以上の場合)還付金や返戻金を受け取る
車の処分を依頼する先は、ディーラー、中古車店、廃車買取業者、解体業者などが存在します。業者によっては窓口での手続きを代行するサービスを行っており、書類を車と一緒に引き渡すだけですむため手間がかかりません。
窓口は県内に1~4ヶ所程度しか存在しておらず、平日の日中しか開いていません。そのため、遠方の場合や忙しい場合は手続き代行のサービスを利用することをおすすめします。
自分で手続きを行う場合は、解体業者に解体を依頼した後、解体報告を受けてから15日以内に手続きを行う必要があります。手続きには、ナンバープレートと解体を行った証明書が必要です。ナンバープレートは解体前か解体後、「使用済自動車引取証明書」は解体後に業者から受け取り、手続きまで保管しておきましょう。
還付金を受け取ることが出来る条件や受け取り方については、のちほど説明します。
車の処分を依頼する業者によってかかる費用や手間が異なる
一般的に、ディーラーや中古車店では廃車手続きを代行してくれる場合が多いですが、手数料がかかります。一方、廃車買取業者は、手続き代行を無料で行う業者が多いです。廃車にかかる手間や費用を抑えたい場合は手続き代行無料の廃車買取業者に依頼するとよいでしょう。
また、不動車の場合はレッカー車で車を輸送する費用が掛かります。こちらも、提携業者によってレッカー代を割り引きにしてくれる業者や、サービスで無料になる業者も存在するため、自分で手配を考える前に費用を抑えられる業者を選びましょう。
軽自動車の解体返納の必要書類
自分で解体返納の手続きを行うときの必要書類は、次の通りです。
- 車検証
- ナンバープレート(前後2枚)
- 使用済自動車引取証明書
- 自動車検査証返納届出書(及び解体届出書)
- 軽自動車税(種別割)申告書(地域によっては不要)
※車検証上の所有者以外が手続きを行う場合は、所有者の認印を押した申請依頼書が必要です。
軽自動車の解体返納では、特に役所等で準備するべき必要書類はありません。車検証は車の中に保管してあり、ナンバープレートと「使用済自動車引取証明書」は解体業者から受け取ります。そして、残りの2つの書類は当日窓口で入手することが出来るからです。
また、業者に解体返納の手続きを代行してもらう場合は、業者によって必要な書類が異なります。
車検証上の所有者以外が手続きを行う場合や、車検証の情報から変更がある場合は注意
車検証上の情報から変更がある場合は必要書類が増えます。例えば、次のようなケースです。
- 結婚で姓が変わっている場合
- 引っ越しをしている場合(1回と2回以上で異なる)
また、所有者が亡くなってしまったケースや、車検証上の所有者がローン会社やディーラーのケースなど、車検証上の所有者以外が手続きを行う場合は委任状が必要です。
書類に不備があると窓口に出直す必要があり、非常に手間がかかります。自分で手続きを行う場合は事前に窓口に問い合わせて必要な書類がそろっているか確認するとよいでしょう。業者に手続きを代行してもらう場合は、業者の案内があるため、そのとおりに書類を用意しましょう。
自分の状況で必要な書類を確かめるためには、廃車手続きの必要書類チェックツールをご利用ください。
軽自動車の一時使用中止の手順・必要書類
自動車検査証返納届(一時使用中止)の手順
一時使用中止の手順は、以下の2ステップです。
- ナンバープレートを取り外す
- 当日窓口で手続きを行う
ナンバープレートは、工具があれば自分で取り外すことも可能です。しかし、盗難防止の特殊ねじなどが使用されている場合は自分で取り外すのが難しくなるため、業者に依頼するとよいでしょう。
手続きを行うと交付される「自動車検査証返納証明書」は中古車新登録や解体届出など、後の手続きで必ず必要になります。紛失しても再発行が出来ないため、大切に保管しましょう。
自動車検査証返納届(一時使用中止)の必要書類
- 車検証
- ナンバープレート(前後2枚)
- 自動車検査証返納証明書交付申請書※
- 軽自動車税(種別割)申告書(地域によっては不要)※
※印の2つの書類は、当日に窓口で入手可能
所有者が亡くなった場合や、ディーラーやローン会社名義の車の場合など、車検証上の所有者以外が手続きを行うときは、所有者の認印を押した申請依頼書が必要です。
軽自動車の解体届出の手順・必要書類
解体届出の手順
- 車の処分を依頼する
- 必要書類を準備する
- 軽自動車検査協会の窓口で手続きを行う
- (車検の残り月が1ヶ月以上の場合)還付金や返戻金を受け取る
解体届出の場合、車はナンバープレートがない状態のため公道を走れません。そのため、移動するときにレッカー車などで輸送する必要があります。
解体報告を受けてから、15日以内に窓口で手続きを行いましょう。
解体届出の必要書類
- 使用済自動車引取証明書
- 自動車検査証返納証明書
- 自動車検査証返納届出書(及び解体届出書)
使用済自動車引取証明書は、解体を終えたら業者から受け取ることが出来ます。
自動車検査証返納証明書は、一時使用中止の手続きをした際に交付される書類です。紛失した場合は再発行ができません。
自動車検査証返納届出書は、当日各窓口で受け取ります。
必要な書類などを紛失している場合
必要な書類を紛失している場合、別の書類や情報を用意することで手続きが可能です。
車検証がない場合
紛失・盗難などで車検証がない場合でも、以下の2つの情報があれば手続きを行うことが出来ます。
- 車両番号(ナンバープレート番号)の情報
- 使用者・所有者の氏名ならびに住所の情報
ナンバープレートがない場合
盗難・紛失によってナンバープレートがない場合、車両番号標未処分理由書を用意します。インターネット上でダウンロードできるので、記入して持参しましょう。
なお、ナンバープレートが盗難された場合は、警察に届け出る必要があります。このとき、「届出を行った警察署名」「届出年月日」「受理番号」を控えておきます。
軽自動車の廃車手続きと還付金
軽自動車の廃車手続きを行った時は、還付金を受け取ることが出来ます。還付金とは、払いすぎた税金のうち手元に戻ってくるお金を指します。普通自動車の場合は自動車税、重量税、自賠責保険料の3種類が還付される可能性がありますが、軽自動車の場合は軽自動車税は還付されません。
車検まで1カ月以上が残っている場合は、重量税と自賠責保険料の還付金を受け取ることが出来ます。
重量税の還付金について
廃車手続きと同時に自動車重量税の還付申請を行います。還付される金額は、申請を行った翌日から車検証の有効期間満了時までの残り期間を月で割った金額です。ただし車の解体をしなければ受けることはできないため、重量税の受け取ることが出来るのは、解体返納または解体届出の場合のみに限ります。
重量税は、後日金融機関に受け取りに行くか、銀行振込で受け取ります。銀行振り込みの場合は一部ネット銀行は使用できないため注意が必要です。
自賠責保険料の返戻金について
自賠責保険料の場合、廃車手続きをすると手元に戻ってくるお金を正式には返戻金と呼びます。
申請は、廃車手続き後に自分で保険会社で解約手続きをする必要があります。その際には、以下の書類が必要です。
- 廃車確認書類(自動車検査証返納証明書)
- 自賠責保険証の原本
- 契約者の認印
- 振込先の口座情報
保険会社によっては、必要な書類が異なるため必ず自分の利用している保険会社で書類は確かめましょう。