運転席や助手席に乗車しているときは、シートベルトの着用が義務付けられています。
着用していないまま運転すると、1点の減点です。後部座席にもシートベルトはありますが、必ず着用しなければいけないのでしょうか?
後部座席のシートベルトの着用は必須か
まずは後部座席におけるシートベルトの着用義務や違反点数を確認してみましょう。
後部座席のシートベルトは必須
シートベルトの着用義務は、道路交通法の第71条第3項 において定められています。これによると運転者はもちろん(同1)、他の座席でもシートベルトを着用していなければ、運転してはいけないという決まりです(同2)。
かつては運転席と助手席だけでしたが、2007年6月20日に道路交通法が改正され、2008年6月1日から後部座席にも着用義務が課せられるようになりました。ちなみに同項の3においてはチャイルドシート(幼児用補助装置)の着用義務についても定められています。
それまで後部座席のシートベルトは中央だけ二点式でしたが、2012年7月1日以降に発売された乗用車は、補助席を除いて三点式です。
ただし警察庁の2018年の調査によると、運転席や助手席のシート装着率は共に95%を超えているものの、後部座席については一般道で38%、高速道路でも74%しかありません。
そのため、従来は運転席や助手席だけが対象だった未着用のアラートを、2020年9月以降を目途に、後部座席にも拡大するよう義務づける予定です。
違反点数や罰金は?
後部座席でシートベルトを着用しないまま運転すると、警察に見つかったとき車を停められます。一般道路なら口頭で注意を受けるだけで、減点や罰金はありません。ただし、高速道路であれば1点の減点となります。やはり罰金はありません。
運転席や助手席の場合も罰金はありませんが、一般道路でも高速道路でも1点の減点となるのが大きな違いです。
後部座席のシートベルトをしていないとこんな危険が
では、後部座席でシートベルトを着用していないと、どんな危険性があるのでしょうか。
後部座席でシートベルトをしていないとどうなる?
運転中の車が衝突すると、乗車している人や物は慣性の法則により、引き続き進行方向へ同じ速さで動こうとします。そのときの力は時速40km/hで体重の30倍です。この状態で何かにぶつかると、体は6mの高さから落ちたのと同じ衝撃を受けます。これは後部座席でも同じです。
シートベルトを着用していなければ、衝突の角度やドライバーのハンドル操作によって、前方だけでなく四方八方に衝撃を受ける可能性があります。
万が一フロントガラスにぶつかれば、突き破って車外に放り出され、さらに硬いコンクリートに体を打ちつけたり、後続車や対向車に轢かれたりするかもしれません。後部座席ならリアガラスを突き破って車外に放り出される場合もあります。特に子どもなど体重が軽いほど、そのリスクは大きくなるでしょう。
ときには、自分自身が凶器になって前に座っている人の命を奪うこともあります。先ほど、時速40km/hで体重の30倍の力がかかると説明しましたが、50kgなら1,500kg、つまり1.5tです。この状態で前のシートにぶつかると、固定しきれずに前方へ移動し、乗車している人がエアバックとの間に挟まれ、頭部や胸部にダメージを受けてしまいます。
後部座席でもシートベルトを着用すれば、体が固定されてこうした被害を防げるわけです。実際に警察庁の2017年の統計では、非着用者の致死率が着用者の約15.3倍になっています。
シートベルトは正しく締めよう
ただし、シートベルトも正しく締めないと本来の効果を発揮できません。誤ったまま着用していると、ぶつかったときの衝撃で首が締まったり、ケガをしたり、下からすり抜けたりする恐れがあります。
三点式シートベルトを着用するときは、シートに腰が密着するほど深くこしかけ、背もたれは両肩がつくまで起こし、ヘッドレストの中心が頭の中心になるのが正しい姿勢です。
この状態で金具をバックルへしっかりと差し込み、腰のベルトは腰骨の上、肩のベルトは鎖骨の中心を通るように調節します。女性は乳房の間に肩ベルトを通すようにしましょう。ねじれや弛みなども運転前に直しておきます。
5人乗りの後部座席には、3席分のシートベルトがあり、それぞれ近い位置にあるため、バックルが見つからないなど、思うように着用できないかもしれません。子どもならなおさらです。
また、最近の車は勢いよくシートベルトに力がかかると、ロックされてすぐには引き出せないような仕組みになっています。事故を起こしたときに、体をしっかりと固定するためですが、そのせいで乗車するときにシートベルトを着用できず、諦めてしまうケースも考えられるでしょう。
あらかじめ組み合わせが分かるようにシールを貼るなどして目印をつけたり、バックルがシートに埋もれないよう引っ張り出したりしておくと、着用しやすくなります。ドライバーが事前に確認したり、一声かけて着用を促したりするのも効果的です。着用が終わるまで、運転を待てるくらいの余裕を持ちましょう。
後部座席でシートベルトをしなくて良い場合とは
後部座席であってもシートベルトを着用しなくて良い場合があります。どのような例外があるのか見ていきましょう。
シートベルト着用の例外
先ほどの道路交通法第71条第3項によると、疾病により療養上適当でない場合は、シートベルトを着用しなくても良いとされています。これは後部座席に限らず、他の座席でも同じです。具体例は道路交通法施行令の第26条3の2 で定められており、負傷や障害、妊娠や、座高が著しく低いか高い、著しく肥満しているのが該当します。
ただし療養上適当でないか、物理的に不可能な場合に限られるため、妊婦だったり肥満だったりすれば必ずしもシートベルトを着用しなくて良いわけではありません。警察の判断によっては違反行為とみなされる恐れがあるため、可能な限りシートベルトを着用するのが望ましいでしょう。
また、同項によるとバックするときもシートベルトを着用しなくても良く、バンなど貨物車のように初めからシートベルトが無い座席も同じです。
シートベルトを着用しなくていい職業がある?
シートベルトを着用しなくていい職業も定められています。道路交通法施行令の第26条3の2では、以下の職業や業務が該当します。
消防士 警察官
郵便局の配達業務 選挙の候補者や選挙運動の従事者
さらに「座席ベルトの装着義務の免除に係る業務を定める規則(昭和60年国家公安委員会規則第12号) 」では、以下の職業や業務も定められています。
運送業者の配達業務 食品業者の配達業務
ゴミ(一般廃棄物)の収集 米や酒、牛乳などの宅配
クリーニングの受け取りや引き渡し
ただし、これらの職業や業務、先ほどの郵便局の配達業務でシートベルトを着用しなくて良いのは、「頻繁に自動車に乗降することを必要とする区間」に限定されます。それ以外の区間では通常どおりシートベルトを着用しなくてはいけません。
まとめ
シートベルトは運転席や助手席だけでなく、後部座席にも着用義務があります。着用しないと高速道路で見つかったときに1点減点されるだけでなく、事故を起こしたときに大変危険です。必ず着用すると共に、ドライバーからも声をかけるなどしてサポートしましょう。
2012年7月1日より前に販売された乗用車は後部座席の中央が二点式ベルトになっていることが多く、三点式ベルトより安全性に不安があります。1994年6月1日より前に販売された乗用車は、側面席さえ二点式ベルトになっているかもしれません。そのような古い車を処分するときは、廃車買取で値がつく可能性があります。
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