廃車する時期によっては自動車税の還付が戻ってこないことはご存知でしょうか?
車の手放しを悩んでいたため3月中の廃車とならず、4月に入ってから廃車した時に受け取ることができる還付金額はどのくらい変わるのでしょうか。こちらで解説します。
- 還付金を少しでも多くもらいたい方
- 廃車を検討している方
4月に廃車すると還付金はなくなる?
廃車を検討されている方は、廃車する時期に注意が必要です。特に自動車税の還付金については、知らないと損することもあります。
廃車する時期について
自動車を廃車にする時期が「3月」と「4月」では、大きな違いがあると言われています。これは、自動車税の還付手続きと関係があります。
「3月」に廃車すると自動車税の還付は一円もありませんが、翌年度の自動車税を納める必要がありません。
「4月」に廃車すると11ヶ月分の還付金を受け取ることができますが、1年分の自動車税を納める必要があります。
軽自動車は4月に廃車すると損?
普通自動車の場合は、自動車税を年税額分納めますが、廃車をすると廃車月の翌月から年度末までの月数分の月割した金額に相当する分の還付金を受け取ることができます。しかし軽自動車の場合は、4月1日に発生する軽自動車税はその時点の所有者が納めなくてはいけませんし、還付制度がないため全額納めるのみとなります。手放しを検討される場合は年度末までに廃車が最も損が無いでしょう。
自動車税とは?

自動車税は、各都道府県に納めている税金です。4月1日時点で自動車を所有している人に対し、課税を行うのが原則です。自動車税の額は、車検証に記録されている「自動車の種別・用途」「排気量」「最大積載量」等により決まります。
自動車税の名称
4月1日時点の自動車の所有者に対して課税される自動車税については、令和元年に施行された税制改正により名称が変更となっており、正しくは普通自動車・登録自動車に課税される「自動車税種別割」と軽自動車に課税される「軽自動車税種別割」となっています。自動車税と言い伝えると、自動車重量税や自動車税環境性能割と混同してしまうことがありますので注意が必要です。
自動車税の納税通知書はいつ届く
自動車税種別割の納税通知書は一般的に、5月上旬から中旬にかけて発送され、同月中に自動車の所有者の元に届きます。そのため、課税自体は4月に発生していますが5月中にその金額を支払うよう通知が届くのです。5月に届くから、4月分の支払いがないというわけではありません。
自動車税の還付
自動車税種別割は、5月中に届く納税通知書の案内に従って「1年間分」の税額を前納します。その後、廃車(抹消登録)手続きを年度内に完了すると、廃車後の年度内で使用されなかった税額分が還付対象になります。納税義務者あてに還付通知が送付されますので、その指示に従って還付金を受け取りましょう。
所有者がローン会社の時の納税義務者は誰?
自動車の購入時に割賦販売(ローン組)を利用し、自動車の所有者が売主であるローン会社の名義、使用者が買主になっている時は、自動車の所有権をローン会社が留保している状態になりますので、登録されている自動車の使用者が自動車税を納めなくてはいけません。
4月中に廃車すると自動車税はどうなる?

4月中に廃車手続きを完了した場合、自動車税種別割の納税通知書が手元に届く5月頃には、すでに該当する自動車を所有していない状態となっているでしょう。しかし、4月1日時点でその自動車の所有者だった人は、翌年3月までの自動車税が請求されるため年税額を納めなくてはいけません。
納付後に残月数の11か月分が還付される
車を4月1日時点で所有していて4月中に廃車手続きを完了したら、そのあとの5月に届く納税通知書に従って自動車税年税分を納めます。ただ、自動車税は納めた後に、廃車完了した翌月の5月から年度末の3月までの11か月分の税額が月割りで計算されて還付金として手元に戻ります。11カ月分の還付額は、年税額を12カ月で月割りして手数料を差し引きした後の金額となります。
原則として一度は1年分の自動車税を支払わなければなりませんが、その後、5月からの11か月分の自動車税が還付されますので、負担するのは4月の所有していたひと月分のみとなります。
4月中に廃車手続きが完了した場合は、各地域の税事務所により納税内容が異なります。税事務所によっては、4月の一ヶ月分のみの納付をするように納税通知書の内容を切り替えて発送していることもあります。5月に届く納税通知書の内容を確認してください。
4月廃車時の自動車税はいくら?還付額はどの位?
5月に納税通知書が届き、年税額を納めるように通知されている場合は、廃車済みで手元に車がなかったとしても年税額を納めなくてはいけません。
5月に届く納税通知書に従って年税額を納付し、11か月分の還付額を受け取る場合の、最初に支払う年税額・4月の一か月分の負担すべき納税額・11か月分の還付額がいくらくらいになるのか、下記の一覧表にまとめています。
総排気量 | 税率(年額) | 4月ひと月分 税額見込み | 11か月分の 還付額見込み |
---|---|---|---|
電気自動車 | 25,000 | 2,100 | 22,900 |
1L以下 | 25,000 | 2,100 | 22,900 |
1L超~1.5L以下 | 30,500 | 2,600 | 27,900 |
1.5L超~2L以下 | 36,000 | 3,000 | 33,000 |
2L超~2.5L以下 | 43,500 | 3,700 | 39,800 |
2.5L超~3L以下 | 50,000 | 4,200 | 45,800 |
3L超~3.5L以下 | 57,000 | 4,800 | 52,200 |
3.5L超~4L以下 | 65,500 | 5,500 | 60,000 |
4L超~4.5L以下 | 75,500 | 6,300 | 69,200 |
4.5L超~6L以下 | 87,000 | 7,300 | 79,700 |
6L超 | 110,000 | 9,200 | 100,800 |
※上記の一覧表は、令和元年10月1日以後初回新規登録車かつ、自動車税種別割グリーン化特例の適用を受けない自動車の税率となっています。4月ひと月分の税額は10円単位繰り上げ、還付額の月割計算は100円未満端数切り捨てで概算しています。
4月に軽自動車を廃車した場合の軽自動車税
軽自動車税種別割については、税制度において還付制度がありません。4月1日時点の軽自動車の所有者は必要な税額をすべて納める必要があり、4月2日以降に廃車手続きを完了したとしても手元に戻る税額はないのです。そのため、不要な軽自動車や、使用していない軽自動車を所有されている場合は、3月の年度末までに廃車手続きを完了させないと大きな損となります。
四輪以上の自家用乗用軽自動車の軽自動車税種別割の税額は、一律10,800円です。ただし、燃費性能の良い軽自動車については、グリーン化特例制度の軽減率が適用されるため一律75%軽減の2,700円となっています。

まとめ
今回の記事では、3月中に事情があり廃車ができなかった方へ、4月に廃車をすることで自動車税(種別割)の負担額はいくらくらいかかるのか、還付金はどの位受け取ることができるのか、自動車税の還付制度と合わせて解説しました。
自動車税については、車の所有者が支払わなくてはいけない税金ですが、不要な車や事故などで動かない使用ができない車に対して支払うことになると、大きな損失です。また、4月に廃車をしたからといって、5月に納税通知書がきても支払いをせず放置してしまうと、延滞税金がかかって、さらに負担を増やしてしまうことになります。
車の所有者が、車を手放すときに損をしないように、自動車税についての仕組みや決められている還付制度のことを、理解しておくことが大切です。