車を運転するときは、寒いと感じたら暖房を使って車内を暖められます。しかし、燃費に影響するのではないかと暖房を使わず、寒さを我慢するドライバーも多いものです。果たして、車の暖房は燃費に影響するものなのでしょうか。
ここでは、車の暖房について解説します。暖房の仕組みや使い方などの基本情報から、気になる疑問まで詳しく確認しましょう。
車の暖房はどのような仕組みで動いている?
そもそも車の暖房はどのように動くのか、知らない方も多いものです。まずは、車の暖房がどのような仕組みで動いているのかチェックしておきましょう。
車の暖房は無料?温める仕組みをチェック
車のエアコンを動かして暖房として使う場合は、エンジンの利用によって発生した熱を使います。エンジンをかけると大量の熱が発生するため、冷却水で温度を下げなければなりません。暖まった冷却水に風を当てることで暖かい空気を作り出し、車内に送るのが暖房機能の仕組みです。
本来不要であるエンジン熱を暖房として再利用しているだけなので、車の暖房は無料で使えるといえます。エンジンが動けば車内を暖められるので、車を走らせればいつでも効率的に暖房を使えるのが特徴です。
冷房との違い
車の暖房と冷房の違いは、空気を冷やす必要があるかどうかです。
暖房の場合は先ほど説明したとおり、エンジンをかけて熱くなった冷却水に風を当てて温かい空気を車内に送り出すため、わざわざ空気の温度を調節する必要がありません。
しかし、冷房を使う場合は車内の空気を冷やすために、コンプレッサーを動かしてエアコンガスが発生します。つまり、車のエアコンに付いているのは冷房機能のみです。温かい空気を冷やして車内に送ることで、温度を冷やします。
車の暖房では家庭用エアコンのように、使用時にわざわざ空気を暖めているわけではありません。暖かい空気はエアコンを通して作り出すものではなく、エンジンによって勝手に作られているからです。暖かい空気を冷やさなければならない冷房とは異なり、排熱を利用しているだけなので、車の暖房を使うことで燃料を多く消費するということはありません。
車の暖房はどう使う?A/Cを使う必要性は?
車の暖房を正しく使う方法は知っていますか?冷房機能と同様の手順を踏んでいるのであれば、不要なことをしているかもしれません。ここで車の暖房の正しい使い方や、効率的な暖め方について確認しましょう。
車の暖房の入れ方
まずは、暖房を入れるためのスイッチを押します。暖房機能のオンとオフを切り替えるボタンが付いているため、それを押しましょう。基本的には暖房のスイッチを押すだけで暖房が使えるようになります。
ただし、車の暖房はエンジンの熱を利用するものです。車を動かしてエンジンが十分に暖まらなければ、エンジンの熱を利用することはできません。つまり、車内を暖めるためにはエンジンが暖かくなるまで待つ必要があるのです。
また、車のエアコンには外気導入と内気循環のスイッチがあります。外気導入は、車の外から空気を取り込むためのもの。そして内気循環は、車内の空気を循環させるためのものです。
暖房使用時に外気導入のスイッチを入れてしまうと、車内に外の寒い空気が入ってきてしまいます。そのため、効率的に車内を暖めたい場合は、外気ではなく内気を循環させるようにスイッチを入れておきましょう。
車の暖房とA/Cボタン
エアコンを使用するときは、A/Cボタンを押している方も多いのではないでしょうか。A/Cとはエアコンプレッサーの略で、ボタンを押すことでコンプレッサーを動かし、冷房・除湿機能が働きます。
エアコンを冷房のために使用する場合は、空気を冷やして除湿するA/Cボタンを押すのが必須です。しかし、暖房機能に冷却と除湿の機能は必要ないため、暖房使用時はA/Cボタンを押さなくても大丈夫です。
むしろ暖房使用時にA/Cボタンを押してしまうと、コンプレッサーを動かすための燃料が必要になります。エンジンの熱を利用して無料で使える暖房機能を、わざわざ燃料費を使って動かす必要はないでしょう。
ただし、暖房使用時にA/Cボタンを押す必要があるケースも存在します。それは、車内の曇を取り除きたいときです。外の気温と車内の温度に著しい差があると、結露によって窓が曇ります。
コンプレッサーを回さず車内に暖かい空気を送るだけの暖房を使用していると、車内と車外の温度差が大きくなって窓が曇りやすくなってしまうのです。こういった場合はA/Cボタンを押すと除湿機能が働くため、窓ガラスの結露を防げます。
フロントガラスや窓ガラスが曇ると、運転に支障をきたして危険です。暖房使用時に曇りが気になる場合は、A/Cボタンを一時的に押して曇りを取り除きましょう。
燃費が悪い?付かない?気になる暖房の疑問を解決
暖房を使うと車の燃費が悪くなる、暖房がなかなか付かないなど、車の暖房について気になることは多いものです。ここで暖房に関する疑問を解決して、より快適に使えるようにしましょう。
暖房を使用すると燃費が悪くなる?
家庭用のエアコンを使うと電気代が高くなることから、車の冷房や暖房を使用することで燃費が悪くなると考える方は多いです。しかし、暖房の使用に関しては前述の通り燃費に影響しません。
車の暖房はエンジンから出た暖かい空気をそのまま車内に送るだけです。そのため空気を冷やすための燃料は必要なく、新しく燃料を消費する必要がありません。暖房は燃費に影響しないため、我慢する必要はないといえます。
ガソリン代を節約するために、寒い日でも短距離の運転であれば暖房を付けずに我慢する方も多いでしょう。暖房の仕組みを理解すれば、燃費に影響しないことがよくわかるはずです。節約のために寒さを我慢して運転するのは、やめましょう。
暖房がきかないときはどうすればいい?
何らかの原因によって、車の暖房がきかなくなることがあります。その場合は、まず原因を特定しましょう。
・冷却水が減っていないか
まず、エンジンの冷却水が十分にあるか確認してください。冷却水はエンジンの熱を下げる働きをするため、温度が高くなると蒸発し、量が減ってしまいます。
冷却水の量が減ると暖房機能が使えなくなるだけでなく、エンジンが熱を持ちすぎてオーバーヒートしてしまい、故障につながるため注意が必要です。冷却水が減っていないかこまめにチェックし、少なくなっていたら補充しましょう。
・送風機は正常に動いているか
冷却水が十分にあることを確認したら、次は送風機のモーターが故障していないか確認してください。風を車内に送るためのモーターが壊れていたら、暖房の暖かい空気も冷房の冷やされた空気も車内に入ってきません。
風を弱く設定して冷房にして、風が吹くかどうかを確認しましょう。風が吹かなければ送風機のモーターが故障していることが考えられ、暖房が使えなくなっている可能性が高いです。
・その他の異常はないか
冷却水や送風機のモーターが原因ではない場合には、サーモスタットやシステムの故障が考えられます。車の故障を自力で直すのは難しいため、早めに自動車修理工場に依頼し、点検をしてもらいましょう。不調を感じたまま車を運転すると思わぬ事故につながる危険性もあるため、早いうちに点検してもらうことが重要です。
まとめ
車の暖房はエンジンの熱を再利用して車を暖められる、効率的なものです。新しく燃料を消費しないためガソリン代がかからず、寒いときでも安心して使えます。
家庭用のエアコンと車のエアコンの違いを理解して、我慢せずに暖房を使いましょう。
ただし、そもそも車自体が古くなっている場合は買い替え時となりますので、これ機にコスパが良い方法を模索するのも一つの手となるでしょう。