最近の車は「モノコック構造」といって、外部から衝撃を受けると骨格全体で力を分散し、車内の安全を確保します。
「ピラー」と呼ばれる部位もその1つです。もしピラーが壊れてしまったら修理で元に戻せるのでしょうか?
車のピラーってどこ?どんな役割をするの?
ピラー(pillar)とは「柱」を意味する言葉で、ルーフとボディの間にある柱を指し、本来はルーフを支える役割があります。イギリスでは同じ部位を「ポスト(post)」とも呼びます。かつては垂直に切り立っていましたが、近年では流線形のデザインを実現するため、傾斜しているのが主流です。
多くの車にはA、B、Cと3つのピラーが左右両側にあります。Aピラー(フロントピラー)はフロントガラスの両側にあり、前からの衝撃を受け止めます。Bピラー(センターピラー)は前部座席と後部座席の中間にあり、側面からの衝撃に耐える役割です。Cピラー(リアピラー)はリアガラスの両側にあり、後ろからの衝撃を受け止めます。
3列シートや後部座席の後ろに窓があるなど、さらにDピラーが存在する車もあります。バスになるとJピラーまであるほどです。逆にオープンカーはAピラーしかないのが基本ですし、「ピラーレス」のようにAとCだけでBピラーが無い車もあります。例えばダイハツのタントみたいに、前部座席と後部座席のドアが観音開きになる車です。
このような車は乗り降りに便利ですし開放感もありますが、Bピラーが無いと側面から衝撃を受けたときに大きなダメージを受けてしまいます。そこでドアの内部に強度の高い素材を入れ、ドアを閉めたときにピラーの役割を果たすようにしているのです。
役割を考えるとピラーは太くて頑丈なのが望ましいですが、あまりに太いとデザインを損ねるだけでなく視界を遮ってしまいます。そのたびに体を動かして確認しなければいけないため、特に運転中は危険です。そこでピラーを細くしたり、内部に窓を設けたりするなどして、死角を無くす工夫をしています。
ただしピラーが細くなるほど衝撃を受けたときの凹みや歪みは大きくなり、修理が難しくなるのが難点です。
ピラーの修理は難しい?いくらかかるの?
何らかの衝撃により凹んだり歪んだりしたピラーを修理するとしたら、元のようにまっすぐ平らに戻さなければいけません。そのままだと車の強度が下がってしまうからです。サビや塗装の剥がれが発生して車が傷んでしまう場合もあります。
軽度の凹みや歪みなら、特殊な器具を使って外側から引っ張ったり、内装を剥がして内側から押したりする板金加工で直せるでしょう。それでも直せないほどひどい凹みや歪みがあるピラーは、丸ごと交換するしかありません。ピラー自体はルーフやボディとつながっているため、交換する場合は切断します。そして新しいピラーを溶接するのです。
ピラーだけの修理なら費用は3~20万円くらいが相場です。ただし事故でピラーがダメージを受けた場合は、ルーフやドアも同じくダメージを受けているものです。それらの修理を含めると50万円を超える可能性もあります。
たとえピラーを修理しても、一度ダメージを受けると車の強度や剛性は下がってしまいます。冒頭で触れたように、最近の車は骨格全体で衝撃を分散する作りです。ピラーもその役割を果たしています。だからこそピラーがダメージを受けただけで車全体に影響が及んでしまうのです。
また凹みは直せても歪みを解消するのは困難です。モノコック構造は衝撃を分散できるように、骨格の形を細かく設計しているため、歪みが生じると意味をなさなくなります。「フレーム修正機」を利用すれば、どこがどれくらい歪んでいるか目視やコンピューターによる測定で確認できますが、修理できるかは業者の腕次第です。
修理が不十分だとドアが閉まりづらかったり、歪んだ箇所から雨漏りしたりするリスクがあります。時には走行に支障をきたす恐れもあるほどです。いずれにしても費用をかけたところで完全に修理するのは難しいと考えたほうが良いでしょう。
こういった場合は、基本的には廃車となりますが、単に廃車にするだけだと費用がかかってしまいますので、廃車買取業者のカーネクストに売ってしまう事で新車購入への資金を得る事が出来るでしょう。
ピラーの修理は査定でも不利?修復歴のある車とは
ピラーが大きなダメージを受けてしまうと、修理しても「修復歴のある車」とみなされてしまいます。修復歴のある車の基準は、日本自動車査定協会(JAAI)など3つの団体(他の2つは公取協と中販連)によって定義されています。車の骨格を形成する8つの部位の修理が該当し、ピラー以外は以下の7つです。
- クロスメンバー(フロント・リア)
- サイドメンバー(フロント・リア)
- インサイドパネル
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- フロアパネル
- トランクフロアパネル
このうちフロントクロスメンバーとサイドメンバー、ピラーの3つがフレームにあたり、残りの5つはパネルです。かつてはもう1つラジエーターコアサポートも骨格に含まれていましたが、2016年7月から除外されています。
これらの部分に基準以上の修理をしていると、修復歴のある車とみなされます。それが事故によるものであれば「事故車」という扱いです。
ピラーの場合は切断して新たなものに交換されていたり、スポット溶接で打ち直していたりする修理が該当します。同じ凹みでも外部から受けた衝撃がピラーの内部まで及んでいると、やはり修復歴があるとみなされます。
逆に凹みが外部の露出しているところだけだったり、500円玉よりも小さい軽微なものだったり、車の内部からの力によるものだったりすると対象外です。他の単体部品の交換時に生じたピラーの溶接跡も修復歴にはなりません。
査定ではピラーに修復歴があると大きなマイナスです。程度にもよりますが3~7万円ほど引かれてしまいます。ピラーを修理していると、他の部分にも影響していることが多いので、実際はもっと引かれてしまうでしょう。
ただでさえ修理で出費しているのに、査定で減額されると二重の損になります。それならあえて修理せず、手放して買い替えたほうがお得といえるかもしれません。
もっとも中古車市場で修復歴のある車は不人気です。ディーラーでの下取りや、中古車販売店での買取は断られてしまうかもしれません。自分で廃車するとレッカー代や解体費用が発生し、手続きの手間もかかります。
そこで利用したいのが「廃車買取」です。
廃車買取のカーネクストであれば下取りや単なる買取と違って廃車前提となりますが、レッカー代や解体費用などが無料で、手続きも代行してくれます。車の状態によっては修復歴があっても、事故車であっても買値がつくかもしれません。
なぜならカーネクストでは海外に販売ルートがあるため、日本では買い手がつかなくても、海外では動きさえすれば見た目や多少の凹み、歪みは気にしません。特にアジアやアフリカの発展途上国では重宝されるのです。
まとめ
ピラーは車の骨格の一部として、事故の衝撃を和らげる重要な役割があります。ダメージを受けると車全体の強度や剛性が下がってしまい、元通りにするのは容易ではありません。
大がかりな修理をすると修復歴のある車とみなされてしまい、査定では大幅に減額されてしまいます。中古車市場でも不人気です。
カーネクストでは、ピラーが損傷して歪みが生じた車でも廃車買取しております。もちろんレッカー代などの費用は無料です。修理か廃車でお悩みの際は、ぜひご相談ください。