法人の車売却時の仕訳は?勘定科目とケース別の会計処理を解説

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社用車を売却したとき、「受け取った代金は売上になるのか」「帳簿に残っている車の金額はどうするのか」と迷うことがあります。

車を売却したときの会計処理は、「代金の受け取りを記録する」「車を帳簿から外す」「差額を利益または損失にする」の3つが基本です。

例えば、帳簿に100万円で記録されている車を120万円で売れば、利益は20万円です。80万円で売れば、損失は20万円になります。受け取った代金の全額が利益になるわけではありません。

まずはこの基本を押さえ、その後に消費税やリサイクル預託金、ローン返済などを分けて考えると整理しやすくなります。

この記事では、法人の経理担当者に向けて、車売却時の仕訳と勘定科目を具体例で解説します。

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車の売却仕訳に必要な情報と勘定科目

車の売却損益は、次の式で考えます。

車両の売却価格-帳簿価額=売却益または売却損

「帳簿価額」とは、購入代金から減価償却などを差し引いた、帳簿に残っている車の金額です。減価償却は、車の購入代金を使用する期間に分けて費用にする処理を指します。

比較するのは、購入時の価格ではなく、売却時点で帳簿に残っている金額です。税抜経理では消費税を除いて比較し、リサイクル預託金は車両代金と分けます。売却費用がある場合は、その費用も考慮します。

固定資産台帳と売却明細で確認する項目

必要な金額を確認するため、固定資産台帳と売却明細をそろえます。固定資産台帳は、車などの資産の取得価額や減価償却の履歴を管理するものです。

表1 売却仕訳に必要な書類と確認項目

確認する書類主な確認項目
固定資産台帳・帳簿取得価額、これまでの減価償却額、帳簿価額、リサイクル預託金
売却明細・契約書車両代金、消費税、預託金相当額、精算金、手数料、引渡日
入金記録・ローン明細入金額・入金日、ローン元金、利息、返済手数料

売却する期の減価償却費を計上する場合は、それを反映した帳簿価額を使います。例えば、期首の帳簿価額110万円から減価償却費10万円を差し引くなら、売却時の帳簿価額は100万円です。

減価償却費を別に計上するか、売却損益に含めて処理するかは、自社の方法を確認してください。会計ソフトによる自動計上と手入力が重複しないよう注意しましょう。

使用する勘定科目と売却損益の計算

勘定科目は、取引の内容を帳簿上で分類するための名称です。車の売却では、主に次の科目を使います。

表2 車の売却に使う主な勘定科目

勘定科目記録する内容
車両運搬具帳簿に計上している車両
減価償却累計額間接法で記録する、これまでに計上した減価償却の合計額
固定資産売却益・固定資産売却損車の売却による利益・損失
預託金・預け金車両本体と分けて管理するリサイクル預託金
仮受消費税等税抜経理で分ける売却代金の消費税等
未収入金売却したものの、まだ受け取っていない代金
普通預金売却代金の入金

売却損益を求めるときは、入金額から帳簿価額を直接引くのではなく、先に消費税や預託金などの内訳を確認します。

【基本例】売却益・売却損が出る場合の仕訳

まずは、消費税の課税事業者が「直接法・税抜経理」で処理する例を見てみましょう。これらの方法の違いは、次の章で説明します。

以下の表3に示す共通条件を使います。金額はすべて円、消費税率は10%です。

表3 基本の仕訳例に共通する条件

項目金額・条件
車の取得価額3,000,000円
これまでの減価償却額2,000,000円
売却時の帳簿価額1,000,000円
リサイクル預託金10,000円
入金時期など売却時に全額入金。手数料・精算金なし

売却益が出る場合

車両を税抜120万円で売却し、消費税12万円と預託金相当額1万円を受け取る場合、入金額は133万円です。

売却益は、車両代金120万円-帳簿価額100万円=20万円になります。

表4 売却益が出る場合の仕訳(直接法・税抜経理)

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,330,000車両運搬具1,000,000
仮受消費税等120,000
預託金10,000
固定資産売却益200,000

仕訳表の左側を「借方」、右側を「貸方」と呼び、左右の合計額を一致させます。

この例は、左側に受け取った133万円、右側に帳簿から外す車両・預託金と、消費税・売却益を記録しています。入金額を分解すると、利益が20万円になることが分かります。

売却損が出る場合

車両代金だけを税抜80万円に変更すると、消費税8万円と預託金相当額1万円を含む入金額は89万円です。

車両代金80万円-帳簿価額100万円=マイナス20万円なので、20万円を固定資産売却損にします。

表5 売却損が出る場合の仕訳(直接法・税抜経理)

借方科目金額貸方科目金額
普通預金890,000車両運搬具1,000,000
固定資産売却損200,000仮受消費税等80,000
預託金10,000

売却益は右側、売却損は左側に記録します。売却損が出ても、車両代金に含まれる消費税の処理は必要です。

減価償却済み・帳簿価額と同額で売却する場合

減価償却が終わった車も、実際に帳簿に残っている金額を使います。

表6 減価償却済み・帳簿価額と同額で売却する場合

ケース計算例・処理
帳簿価額1円の車を税抜10万円で売却100,000円-1円=99,999円の売却益
帳簿価額100万円の車を税抜100万円で売却売却損益はゼロ。車両・消費税・預託金を処理する

「購入額より安く売れたから売却損」とは限りません。長年使用した車は帳簿価額が小さくなっており、売却益が出ることもあります。

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直接法・間接法と消費税の処理の違い

間接法では減価償却累計額も取り崩す

直接法と間接法は、減価償却を帳簿に記録する方法の違いです。

表7 直接法と間接法の違い

方法帳簿上の記録
直接法減価償却した分だけ、車両運搬具の金額を直接減らす
間接法車両運搬具には取得価額を残し、減価償却分を別科目に積み上げる

間接法では、売却時に車両の取得価額と、対応する減価償却累計額を両方とも帳簿から外します。表4の売却益が出る取引を間接法で記録すると、表8の仕訳になります。

表8 売却益が出る場合の仕訳(間接法・税抜経理)

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,330,000車両運搬具3,000,000
減価償却累計額2,000,000仮受消費税等120,000
預託金10,000
固定資産売却益200,000

帳簿から外す科目・金額は変わりますが、売却益は直接法と同じ20万円です。自社の記録方法に合わせて処理しましょう。

税込経理・税抜経理・免税事業者の違い

税込経理と税抜経理は、消費税を代金に含めて記録するか、分けて記録するかの違いです。

表9 税込経理・税抜経理・免税事業者の処理

区分売却時の記帳方法
課税事業者・税抜経理消費税等を「仮受消費税等」として分ける
課税事業者・税込経理消費税等を含む金額で処理する
免税事業者税込経理で処理し、仮受消費税等を分けない

課税事業者は税込・税抜のいずれかを選択できますが、免税事業者は税込経理となります(出典:国税庁「No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」)。

例えば、税込の車両代金132万円、税込経理での帳簿価額110万円、預託金1万円なら、直接法の仕訳は次のとおりです。

表10 売却益が出る場合の仕訳(直接法・税込経理)

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,330,000車両運搬具1,100,000
預託金10,000
固定資産売却益220,000

税込・税抜では、購入時から帳簿の金額が異なります。税抜経理の帳簿価額を、そのまま税込経理の計算に使わないよう注意してください。

なお、課税事業者は税込経理でも、会計ソフトで消費税の税区分を設定する必要があります。

車両代金・リサイクル預託金・精算金の税区分

明細に記載された金額は、名称だけで判断せず、何の対価なのかを確認します。

表11 車両代金・預託金・精算金の消費税区分

明細項目消費税の扱い
通常の車両本体代金課税
リサイクル預託金相当額非課税
買主から受け取る未経過自動車税相当額課税
買主から受け取る未経過自賠責保険料相当額課税

買主から受け取る未経過自動車税・自賠責保険料相当額は、車の売却対価の一部です。一方、リサイクル預託金相当額は、金銭債権の譲渡として非課税になります(出典:国税庁「中古車販売における未経過自動車税等の取扱い」)。

預託金は買主へ引き継ぎ、その相当額を受け取るため、帳簿上の預託金残高を減らします。資金管理法人からの返金ではありません。

自治体からの税金の還付や保険会社からの解約返戻金は、買主との精算金とは分けて判断します。

【ケース別】入金・下取り・ローン・手数料の仕訳

売却代金が後日入金される場合

売却の記録と入金の記録を分けます。 車の引き渡しなどにより売却を計上する時点で代金を受け取っていなければ、「未収入金」を使います。

表4の売却益の仕訳で、借方の「普通預金1,330,000円」を「未収入金1,330,000円」に置き換えます。後日入金されたときは、表12の仕訳を行います。

表12 後日入金されたときの仕訳

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,330,000未収入金1,330,000

売却益は売却時に記録済みなので、入金日にもう一度計上しないようにしましょう。

下取りに出して買い替える場合

旧車の売却と新車の購入は、それぞれ記録してから差額を精算します。

以下は税抜経理の例です。基本例の旧車を、消費税・リサイクル預託金相当額を含む133万円で下取りに出し、新車を税込330万円で購入するとします。新車の預託金・諸費用は省略し、購入時の消費税は全額の仕入税額控除ができる前提です。

まず、旧車の売却を記録します。表4の売却益の仕訳で、借方の「普通預金1,330,000円」を「未収入金1,330,000円」に置き換えます。この売却代金は、現金で受け取る代わりに新車の購入代金に充当します。

次に、新車の購入を記録します。購入代金330万円はこの時点では未精算なので、まだ支払っていない代金を表す「未払金」として記録します(表13)。

表13 下取りを伴う新車購入時の仕訳

借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具3,000,000未払金3,300,000
仮払消費税等300,000

最後に、旧車の売却代金133万円を新車の購入代金に充当し、差額197万円を支払います。表14では、未払金330万円と未収入金133万円を減らし、預金から197万円を支出したことを記録しています。

表14 下取り代金の充当と差額支払いの仕訳

借方科目金額貸方科目金額
未払金3,300,000未収入金1,330,000
普通預金1,970,000

実際に支払う197万円は、新車の取得価額ではありません。 差額だけを記帳すると、新車の取得価額を過少に計上したり、旧車の売却処理が漏れたりするおそれがあります。実際の請求書では、新車の預託金・税金・手数料も分けて確認してください。

ローン残債や手数料が差し引かれる場合

車の売却とローンの返済は、別の取引として考えます。 返済する元金は、購入時に計上した「借入金」「未払金」「長期未払金」などの残高を減らして処理します。返済額をそのまま売却損にするわけではありません。

売却代金133万円からローン元金50万円が金融機関へ直接返済され、83万円が入金される場合、表4の借方を未収入金に置き換えた売却仕訳を記録した後、表15のように精算します。

表15 売却代金からローン元金を返済した場合の仕訳

借方科目金額貸方科目金額
普通預金830,000未収入金1,330,000
借入金500,000

※銀行借入で購入した場合の例です。割賦購入などで「未払金」「長期未払金」に計上している場合は、その科目を使います。

利息や繰上返済手数料は、元金と分けて処理します。

売却手数料が差し引かれる場合も、売却総額と控除額を分けます。例えば、税込11,000円の手数料を支払手数料として処理し、全額の仕入税額控除ができる条件なら、支払手数料10,000円と仮払消費税等1,000円を記録します。売却費用を売却損益に含める場合もあるため、自社の会計方針を確認しましょう。

なお、車検証上の所有者がローン会社などの場合は、会計処理とは別に、完済や所有権解除などの売却条件も確認してください。

まとめ|売却明細と帳簿を照合して処理する

車売却時の仕訳は、「代金の受け取り」「車を帳簿から外す処理」「売却損益の計上」が基本です。消費税・預託金・ローン返済などを分けると、入金額と利益の違いを整理しやすくなります。

仕訳後は固定資産台帳を更新し、車両・預託金の残高や入金額を照合しましょう。判断に迷う場合は、売却明細を添えて顧問税理士などに確認してください。

これから社用車を売却する場合は、カーネクストPROへの相談もご検討ください。売却条件や代金の内訳を確認し、社内承認と経理処理に必要な情報を整理して進めましょう。

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