ダウンサイジングターボって何?メリットとデメリットは?

ダウンサイジングターボとは 車の売却・買い替え

近年、日本の車で「ダウンサイジングターボ」を採用するモデルが増えています。

意訳すると「小型化するためのターボ」ですが、従来のターボとはどのような違いがあるのでしょうか。メリットとデメリットを紹介します。

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ダウンサイジングターボの仕組みとメリット

そもそも「ターボ」(ターボチャージャー)とは、「過給機」と呼ばれるエンジンの補機です。

エンジンは、シリンダー内部で空気とガソリンの混合気に点火して、爆発したときに発生したエネルギーを車の動力に変えます。ターボは空気を圧縮して酸素の量を増やし、同じガソリンの量でも爆発力を強めて、多くの動力を生み出せるようにする仕組みです。

かつては、軽自動車のように規格のせいで排気量を大きくできないエンジンや、逆に排気量が大きいエンジンにパワーを上乗せするため、ターボが用いられてきました。

そのような役割に特化していたのは、従来のターボに「ターボラグ」という欠点があったからです。ターボは空気を圧縮するために、排気の圧力でタービンを回します。けれどもエンジンの回転が低いときは、排気の圧力も低いため、十分に空気を圧縮できません。そのため、ターボがあってもパワーが出ないというジレンマに陥っていました。

こうしてターボは、エンジンの回転が高い=エンジンの限界を突破するときに使われていたのです。

やがてタービンの小型化や、排気の流入経路を狭めることでターボラグが解消し、エンジンの回転が低いときでもパワーを出せるようになりました。つまり元々のエンジンのパワーが不足していても、そうと感じさせずにターボで補えるようになったというわけです。

ダウンサイジングターボは、あえて排気量や気筒の数を減らしてエンジンを小型化し、不足したパワーを補う役目を果たしています。そこが従来のターボとの大きな違いです。

ダウンサイジングターボを搭載したエンジンは、排気量にすると約1.5倍に相当する動力を生み出せるようになります。例えば排気量が1,200ccのエンジンにダウンサイジングターボを組み合わせると、1,800cc相当のエンジンと同じくらいのパワーが生み出せます。そして、エンジンを小型化することにより、消費するガソリンや排気の量を減らせます。

消費するガソリンが減れば燃費が良くなりますし、排気量が減れば日本では自動車税が安くなります。つまり、経済的で環境にも優しいというわけです。

ダウンサイジングターボを搭載している車は?

日本では2014年4月に発売されたスバルのレヴォーグから、ダウンサイジングターボを搭載する車が目立ち始めました。2017年7月の改良を経て、今でも1,600ccなのにパワフルでスムーズな走りには定評があります。

ホンダではステップワゴンが2015年4月のフルモデルチェンジでダウンサイジングターボを採用し、1,500ccでもミニバンを効率よく走らせる動力性能が好評です。他にも同時期に登場したジェイドや、2017年9月に復活したシビックにも搭載されています。

トヨタは2015年4月にマイナーチェンジしたオーリスに1,200ccダウンサイジングターボのグレードを追加しました。2018年3月に販売終了するまでは、ノーマルエンジンやハイブリッドもラインアップされていたモデルです。後継車のカローラスポーツにも同様に1,200ccダウンサイジングターボ車がラインアップされています。

2016年12月に登場したSUVのC-HRは、オーリス譲りの1,200ccダウンサイジングターボです。もう1つのラインアップである1,800ccハイブリッド車とは、駆動方式も4WD対FFと差別化しています。

クラウンは1つ前の14代目から2,000ccのグレードにダウンサイジングターボを採用しました。それは2018年6月にフルモデルチェンジした15代目にも引き継がれています。旧型ではアスリートの名を冠したとおり、スポーツタイプという位置づけです。

異色なのが2017年12月に登場したスズキのクロスビーです。1,000ccのダウンサイジングターボにマイルドハイブリッドを組み合わせています。後述するダウンサイジングターボの欠点を、マイルドハイブリッドがカバーして、どんな道路状況でも安定した低燃費を実現しているのです。

一方ヨーロッパでは、国を問わず各メーカーがダウンサイジングターボに力を入れており、ほとんどのモデルに搭載されています。例えばフォルクスワーゲンのTSIエンジンは有名です。フィアット500やトゥインゴのように、1,000cc未満のエンジンにダウンサイジングターボを搭載しているものもよく見受けられます。

ダウンサイジングターボは日本に合わない?デメリットは?

ヨーロッパに対して日本でダウンサイジングターボの普及が進まないのは、実燃費がカタログ値とかけ離れていることが多いからです。これは、ターボが能力を発揮する仕組みと関係があります。

エンジンは回転数が大きいときに、ガソリンを多く消費します。発進時や加速時、坂道を上るときや高速で走っているときなどです。このうち、加速時や坂道を上るとき、高速で走っているときはダウンサイジングターボがサポートしてガソリンの消費を抑えられます。唯一サポートできないのが発進時です。パワーを出せるまでもたついてしまいます。

日本の道路は信号が多く、頻繁に止まっては発進するを繰り返します。そのたびにエンジンはガソリンを消費し、ダウンサイジングターボは何もできません。渋滞につかまっても同じです。その結果、日本では思ったほど燃費が良くなりません。

ヨーロッパは信号が少なく、高速道路も渋滞とは無縁です。一度発進したらひたすら走り続けるため、いくらでもダウンサイジングターボがエンジンをサポートできます。

逆にハイブリッドシステムの場合、発進時はモーターの力で動くため、ガソリンを消費しません。止まるときは回生ブレーキを使って、モーターを動かす電気を蓄えられます。頻繁に止まっては発進するのを繰り返し、渋滞も多い日本は、まさにハイブリッドシステム向きです。逆にずっと高速で走り続けるヨーロッパでは良さを発揮できません。

先ほど、クロスビーがダウンサイジングターボとマイルドハイブリッドの組み合わせで安定した低燃費を実現していたのは、互いの欠点をカバーし合っていたからです。だからといって、すべてのダウンサイジングターボ車にハイブリッドシステムを搭載するのは、コストの面から無理があります。

他にも、ダウンサイジングターボを搭載した車は、同等の排気量のNA車と比べて車両本体価格が割高という問題点があります。例えばオーリスの場合、1,200ccのダウンサイジングターボ車が約259万円、1,800ccのNA車が約246万円、1,800ccのハイブリッド車が約262万円でした。

装備によっても異なるため一概にはいえませんが、どちらかといえばNA車よりもハイブリッド車と肩を並べるくらいの価格設定です。燃費や税金でカバーできるほどのお得感はありません。

また、エンジンオイルの交換が早いのも気になるところです。シビアコンディションで半年5,000kmが交換の目安になります。これは、ダウンサイジングターボのエンジンが燃料直接噴射方式を採用しているからです。ノッキングを防げる反面、煤が発生しやすいというデメリットがあります。メーカー指定のオイル交換時期は守ったほうが良いでしょう。

まとめ

ダウンサイジングターボは、あえて小型化したエンジンのパワー不足を補います。エンジンの小型化によって燃費が良くなり、排気量を少なくできるわけです。ただし、日本の道路状況では良さを発揮しづらく、車両本体価格も高いというデメリットがあります。

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