最近の車は「運転支援システム」という安全装置に力を入れています。その効果により2017年の交通事故による死者数は、過去最少の3,694人まで減少しました。
どのようなシステムがあるのか、メーカーごとに比較してみましょう。
車の安全装備一覧!最新の運転支援システムとは?~2018年版~
かつて車の安全装置といえば、エアバッグに代表されるように、事故を起こした時乗員を保護するのが主流でした。最新の運転支援システムは、ドライバーの不注意を防いだり、危険を察知して警告したりするなどして事故そのものを回避するよう工夫されています。
メーカーによって名称は異なりますが、搭載されている主な機能は以下の通りです。
衝突被害軽減ブレーキ
前方の車や歩行者、障害物を感知し、衝突する危険があれば音や画面表示で警告してくれる機能です。ドライバーが対処できなければ、一定距離に迫った時点で自動的にブレーキがかかるようになっています。車が停まれば、追突したり歩行者をはねたりするのを防げるでしょう。海外ではボルボ、日本ではスバルが初めて採用しました。
車や歩行者、障害物を感知するのはカメラやレーダーの役割です。それぞれ天候や時間帯によって感知力が低下したり、対応距離が短かったりするので、メーカーによっては両方とも搭載して欠点を補っています。そこから受け取ったデータを基に、コンピューターが制御する仕組みです。
警告したり、ブレーキをかけたりするだけでなく、シートベルトを巻き上げるなどして、衝撃に備える機能もあります。
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)
直訳すると「適応型巡行機能(Adaptive Cruise Control)」という意味で、アクセルを踏まなくても一定の速度を保ったまま走ってくれる機能です。
クルーズコントロール自体は、日本でも1960年代から導入されていましたが、前方の車に追随する機能が追加されて現在の名称になりました。高速道路や渋滞時など、速度の変化が少ないときに運転の負担を軽減してくれます。
作動させるときはステアリングや運転席周辺にあるスイッチを操作し、手動で変速したり、ブレーキを踏んだりしたときに解除されるのが基本です。
前の車が速度を上げれば、設定した上限の速度まで追随しますし、急ブレーキをかけたときは、衝突被害軽減ブレーキとの組み合わせで急停止できます。最近では急に割り込んできた車にも対応できるほど高性能です。
ステアリング(ハンドル)支援機能
その名のとおり、必要に応じて自動でステアリング(ハンドル)を操作する機能で、代表的なものに「LKA(レーン・キープ・アシスト)」があります。
これは、白線や黄線をはみ出してレーン(車線)から外れそうになったとき、警告を発すると共に、自動的にステアリングが動いて戻してくれます。線だけでなく縁石やアスファルトの境界にも反応してくれる優れものです。雪などで線が消えている時は、ACCの応用で前の車に追随し、大きく外れないようにサポートしてくれます。
高速道路で運転が単調になって居眠りや車線の逸脱をしても、すぐに気づけますし、立て直せるでしょう。
ヘッドライトサポート
交通事故は昼間よりも夜間のほうが発生率は高くなります。周囲が暗くて見通しが悪く、歩行者や障害物に気づくのが遅れるからです。
そこで遠くまで見通せるよう、ヘッドライトのハイビームを使います。けれども、対向車にとっては眩しくて目がくらんだり、前を走る車はバックミラーを確認しづらくなったりするので、そのたびにロービームへ切り替えなければいけません。
ヘッドライトサポートは、ヘッドライトを状況に応じて自動的にハイビームやロービームに切り替えてくれる機能です。さらに進化して、ハイビームのまま対向車や前を走る車が眩しくならないように光の向きを変えてくれる、アダプティブなヘッドライトサポートもあります。
駐車支援機能
駐車をサポートする機能です。自動車同士や障害物、急に現れた人との接触を防いだり、センサーとカメラで検出した駐車スペースへ、モニターの映像を通してガイドしてくれたりします。複数のカメラを組み合わせて360度見渡せたり、上から見下ろせたりするので死角もありません。
メーカー別運転支援システム比較!
続いて各メーカーの運転支援システムを比較してみましょう。
トヨタ「Toyota Safety Sense」
2015年に登場した運転支援システムです。単に機器だけで運転支援するのではなく、「T-connect」との連携によって、他の車や信号、道路の情報を取得し、右折時など目に見えない危険を知らせてくれます。
第1世代はC・P・+の3種類があり、Pが標準で、CはACCが無いなど機能を限定しています。+はレクサス用です。2017年11月に第2世代が登場し、それ以降にモデルチェンジしたクラウンなどに一早く搭載されています。今後はC・P・+の分け隔てなく、車のグレードに合わせて機能を限定する予定です。
日産「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」
2016年に登場した運転支援システムで、事故を防ぐのはもちろん、車の自動運転をサポートしてくれる機能が充実しています。
その代表が「プロパイロット」です。高速道路で同一車線を自動で運転し続けたり、駐車スペースを見つけて自動で駐車してくれたりします。セレナやエクストレイル、リーフ、ノートeパワーといった、フラッグシップとなるモデルに先駆けて搭載されている機能です。
ホンダ「Honda SENSING」
以前から導入されていた「HiDS」というクルーズコントロールと車線維持のシステムに、衝突被害軽減ブレーキなどを統合した運転支援システムです。2015年以降モデルチェンジやマイナーチェンジ、改良を行ったモデルに順次搭載されています。N-BOXとN-VANを除く軽自動車は、シティアクティブブレーキシステムでの対応です。
マツダ「i-ACTIVSENSE」
マツダの運転支援システムで、2017年にロードスターとスズキのOEMである軽自動車を除く全車種に搭載されました。赤外線、ミリ波、カメラによる3種類のセンサーを駆使して、衝突の危険性を予測しているのが特徴です。
交通事故発生率60%ダウン?性能アップを続ける運転支援システム!
先述のとおり、2010年に日本で先駆けて運転支援システムを導入したのはスバルの「アイサイト」です。他のメーカーが追随したのは2015年以降ということもあり、一時はアイサイトが運転支援システムの代名詞でもありました。
アイサイトの特徴は、2台のステレオカメラで環境を立体的に把握し、認識能力を高めているところです。単に存在を確認できるだけでなく、形状や距離、移動速度まで認識して、自動車と自転車、歩行者、障害物を識別できます。他のメーカーと違って、赤外線やミリ波といったレーダーは使っていません。
もちろん、先ほど紹介した運転支援システムの主な機能はすべて備わっており、ダイハツのOEMを除く現行モデル8つすべてに搭載されています。
スバルが2016年5月に調査したところによると、アイサイトの満足度は96.5% でした。さらに2010年度から2014年度の5年間で、非搭載車に比べて61%事故が減少したという実績もあります。特に車両の追突は84%減と高い効果です。 他のメーカーが追随した現在は、運転支援システムが冒頭で述べた死亡事故の低減に貢献していると言えるでしょう。
最も運転支援システムは登場してから日が浅く、弱点もあって、まだ完全に交通事故を防げるわけではありません。今後の技術向上によって、さらなる進化が期待されます。いずれはすべての車に搭載されるのが当たり前になるでしょう。それくらい運転支援システムの需要は高まっています。
まとめ
運転支援システムを比較すると、各メーカー独自の技術や方向性がうかがえます。実際に交通事故の軽減にも繋がっているため、今後の進化にも期待できるでしょう。
ただし、運転支援システムは購入時に搭載できるものであり、後から追加することはできません。そう考えると、非搭載の車は次第に需要が無くなりそうです。
ただ、非搭載の車であっても日本車というだけで海外では依然として取引がされておりますので、もし買い替えを考えている場合は海外販路を所有しているカーネクストへの売却がオススメです。
車種によっては、他社よりも高い査定額を提示できる可能性もあるのです。