輸入車の「車検」について、国産車との違いを知らない人も少なくありません。輸入車の購入に興味がある人も車検について知らないと、維持費が高くなるのでは?などの不安で、なかなか購入に踏み切れないのではないかと思います。
また、輸入車を保有している方も「ディーラーに任せっきりだけど、本当に良い選択なのか?」と疑問に思っているのではないでしょうか。ディーラー車検とそれ以外の車検で何がどう違うのかを理解すれば、今後の輸入車の車検の依頼先を検討する判断材料となるはずです。
そこで、「輸入車の車検」について知っておきたい3つのポイントについて解説します。
輸入車の車検は高いと聞いたけど費用はいくら?
「輸入車の車検は高い」ということをどこかで耳にしたことがあるという方もいるのではないでしょうか。ですが、なぜ輸入車の車検は高いのかという具体的な理由までは知らない方が多いと思います。
そもそも、車検の費用はおおきくわけて2つに分けられる
まず最初に「車検の費用」について理解を深めておきましょう。そもそも「車検の費用」というものは、大きく2つの費用に分けることができます。
税金と整備費用
車検費用は大きく分けると「税金」と「整備費用」に大別することができます。
まずは「税金」です。車検において支払う税金は更に細かく分けると「自動車重量税」「自賠責保険」「検査登録印紙代」の3つに分かれます。同じ車両であれば、どこに車検を依頼するとしても税金は変わりません。
もう一つの費用が、「整備費用」です。税金とは異なり、どこに依頼するか、どういった車を車検に出すかによって費用相場が大きく異なります。
日本車にくらべて輸入車は車検代が高い
さて、冒頭でも触れていますが、輸入車の車検代は、国産車と比較すると相場が高くなっています。
ドイツ車など一部の輸入車は、自動車重量税がかさんでしまいますが、輸入車のすべてが重いというわけではありません。
車検代のうち税金の部分について輸入車だから高額になるという理由はありません。輸入車の車検代を高くしている原因は、「整備費用」の方にあるといえます。
主な理由は研修代や土地代、そして部品代
輸入車の整備費用が高い理由は、ブランド代が高いなどいくつか考えられるのですが、主な理由は、「研修代」「土地代」そして「部品代」であるといえます。
まずは、「研修代」です。何の研修かといえば、海外メーカーは新型車種が発売されるたびに車種ごとの研修を実施しているのです。
研修に参加する人は営業担当や整備担当とともに研修を受け、車種ごとの特徴やセールス手法などを学びます。この研修にはそれなりの費用がかかるので車検費用にも反映しています。
次に「土地代」です。正規ディーラーを構えるためには、いくつかの規定を満たす必要があります。
本国が定めている展示スペースの基準を満たすために、それなりの用地を確保しなければならないのです。交通アクセスの利便性等を考慮すると、土地代が相応の額になり、車検費用にも反映します。
最後に「部品代」です。輸入車の車検に必要な部品は、当然ながら海外から取り寄せる形になります。
しかも、いざ不足してしまった際には取り寄せに数ヶ月かかってしまうケースが多いので、ある程度の量をストックしておかなければなりません。この管理コストを含めて、部品代が高額になってしまうということなのです。
日本車の場合エコカー減税などがある
もちろん、日本車であってもこれらの費用はかかります。しかし、日本車の場合は、「エコカー減税」があり、これによって車検代のうち税金の負担が少なくなっています。
そのため、整備費用が高い輸入車の車検代と比較すると、かなり割高に見えてしまうのです。
輸入車の車検をディーラーに頼むメリットとは
輸入車の車検と聞くと街の修理工場に頼むよりも「ディーラー」に頼むイメージを強く持っている人が少なくありません。では、実際に「輸入車の車検をディーラーに頼む」ことはどうなのでしょうか。
輸入車の車検は基本的にディーラーに任すことが多い
多くのケースにおいて、輸入車の車検はディーラーに任せている方が多いようです。輸入車は高級な場合が多く、せっかくの高級車だから信頼できるディーラーに任せたいという心情は理解できます。
ディーラーに車検を任せることは、実は一番車検費用が高くつく方法でもあるのです。前述の通り輸入車の車検代は日本車と比較して割高になるケースが多く、それと合わせると大きなデメリットであると言わざるを得ません。
それでもディーラーに頼むメリットとは
部品代や研修代でディーラーでの輸入車の車検は高くなっています。しかし、うらを返せばそれだけ「車の状態をしっかり見る」ということでもあります。
なので、走行距離が10万キロを超えている場合や毎日のように使うなど、しっかりと修理点検をして欲しいと思うのであれば、ディーラーに頼むほうが良いでしょう。
そして、ディーラーは、そのメーカーに特化しているというのも大きなメリットです。輸入車というものは、その生産国の道路事情や気候などを考慮して車を作っています。
例えば、ブレーキ関係などに反映されており、さまざまなポイントにおいて日本車とは大きく異なる特徴を有しているということです。
ディーラーは、そのメーカーのメカニカルな部分に精通しています。つまり、そうした輸入車の国ごとに異なる特徴もしっかりと把握した上で、車検をまかせられるので、実地面での安心感が大きいというメリットがあります。
輸入車の車検をディーラー以外に頼むなら?
以上のように、輸入車のディーラー車検は費用面でのデメリットがありますが、しっかりと整備してもらいたい場合には、大きなメリットがあることが理解できたと思います。では、ディーラー以外で輸入車の車検を頼むとしたら、どうすれば良いのでしょうか?
車検専門チェーン
まずは、車検専門のチェーン店です。そもそもこういった店舗で輸入車の車検を依頼できるのかということについてですが、有名な車種であれば問題ないと言えます。
車検費用と整備の質については、どの店舗に依頼するかによって大きく異なりますので、依頼先を選ぶ時間がかかるという点はデメリットになるといえます。
カー用品店
費用面を考えるのであれば、「カー用品店」で車検を頼むのがおすすめです。他の方法よりも車検を依頼しやすい雰囲気であるという点はメリットですが、輸入車に対する知識不足や整備能力の点がデメリットとなります。
自動車整備工場
自動車整備工場も実績のあるところであれば、輸入車の車検についても経験豊富である可能性が高いです。費用相場はディーラー車検より安いですが、車検専門店よりは高めの傾向にあるようです。
ユーザー車検(自分でやる)
最後は、車検を自分で行う方法、つまり「ユーザー車検」です。検査自体は、日本車と同じであり、人件費がかからない分だけ費用を抑えることができます。
しかし、前述の通り輸入車は日本車とは作りが異なっている部分もあり、日本車と同じ感覚で整備点検して車検に出しても通らない可能性があります。
車検を受ける際の注意点
輸入車の車検は、ディーラーに依頼すると費用面で不利になりますが、安心して輸入車を任せることができるという点が大きなメリットです。
しかし、ディーラー以外の業者に車検を任せるという選択肢も十分有効です。十分な知識があれば、ユーザー車検という選択肢もあります。
ただ、ここで1つ注意点があります。
それは、車検に出す輸入車がかなり古くなっていて、車検の際に部品交換や修理が必要になる場合です。購入から間もない車であればそういった事は滅多にありませんが、購入から10年前後経過している車となるとそれなりに各所にガタがきています。
なので、ただでさえ高い輸入車の車検費用に加えて、更に海外から交換部品の取り寄せなどが加算されれば、かなりの金額に膨れ上がる事が予想されます。
なので、そういった場合は長期的な視点から車の買い替えを行われる方が多くなるでしょう。
今の車は海外販路を所有している業者に買取に出して少しでもお金を回収しつつ、新しい車に乗り換えた方が結果的にコスパが良くなるでしょう。