冷却水(クーラント)の補充・交換の費用と方法・タイミングを解説!

トラブル・修理

冷却水(クーラント)が少なくなったり劣化したりすると、車の冷却系統に影響を及ぼしてエンジンの故障に繋がってしまいます。

ここでは、冷却水の点検方法や補充・交換のタイミング・方法・費用について説明します。

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冷却水(クーラント)とは?

冷却水はクーラント・冷却水・LLC・SLLC、不凍液、ラジエーター液など、いろいろな名前で呼ばれています。

冷却水、クーラント、不凍液、ラジエーター液はどれも同じものを指しています。LLCとSLLCは、冷却水の種類の名前です。

さて、車において冷却水はどのような役割があるのでしょうか?

冷却水の役割は?

冷却水の主な役割は、エンジンを冷やしてオーバーヒートを防ぐことです。

エンジンは走行中熱を発するため、冷やさなければ高温になりすぎて熱で変形して壊れます。これをオーバーヒートと呼びます。

オーバーヒートしたエンジンは交換が必要なため、高額な修理代を支払うか廃車にせざるを得なくなってしまいます。エンジンを冷やすことで、エンジンが高温になりすぎて重大な故障を引き起こすことを防いでいるのです。

冷却水がエンジンを冷やす仕組みは?

冷却水は冷却装置によってエンジン内の水路を循環することでエンジンを冷やします。

車の冷却装置は、エンジン内の水路を循環する冷却水でエンジンを冷やしています。冷却装置は冷却水を循環させるポンプや、冷却水を入れるタンク、熱を奪って高温になった冷却水を冷やす部品などで構成されています。

冷却水が入っているリザーバータンクは、ラジエーターという部品とパイプで接続しています。ラジエーターは車が走るときの風を利用して、冷却水を冷やします。冷やされた冷却水は、エンジンを循環してエンジンを冷やします。エンジンから熱を奪って高温になった冷却水は、再びラジエーターによって冷やされます。この冷却水の循環を作り出しているのがウォーターポンプです。

つまり、冷却水はウォーターポンプによってエンジン内部を循環しており、エンジンから熱を奪って高温になった後はラジエーターで冷やされて再びエンジンから熱を奪うという繰り返しによって、エンジンが高温になって故障することを防いでいるのです。

冷却水の特徴

冷却水はエンジン内部を循環してエンジンを冷やすことでオーバーヒートを防ぐ重要な役割があることが分かりました。エンジンの冷却が主な役割ですが、他にも冷却水は2つの効果があります。

  • 防さび
  • 不凍

冷却水は、エチレングリコールという液体が含まれています。水は100℃で沸騰して0℃で凍ってしまうのですが、エチレングリコールは融点が低いため凍り付くことを防いでいます。また、水は錆びを引き起こしますが、冷却水には防さび剤が添加されており錆を防止する役割があります。

エンジン内部で水が氷ると膨張して損傷を起こしたり、さびが発生するとエンジンを腐食してしまいます。冷却水はこのようなエンジンの劣化を防いでいます。

冷却水の種類

国産車の冷却水は主にLLCとSLLCという二種類が使われています。冷却水は開発によって耐用年数が伸びており、今まではLLC(ロングライフクーラント)が使用されていましたが、近年の新車はSLLC(スーパーロングライフクーラント)が使用されていることが多いです。

名前の通りSLLCの方が耐用年数が長く、LLCは2~3年ほど、SLLCはメーカーにもよりますが7~10年ほど使用できます。

冷却水は誤飲防止及びタンクの外から液量を確認しやすくするために着色されています。色は統一されておらず、種類やメーカーによって異なります。LLCは緑や赤、SLLCは青やピンクで鮮やかで透き通った色をしています。

交換・補充を行う際はもともと入っていた色を使用するようにしましょう。同じLLCである赤と緑の組み合わせ、同じSLLCである青とピンクの組み合わせは、それぞれ混ぜても一応大丈夫ですが、LLCとSLLCを混ぜると故障の原因になります。また、もともとLLCが入っていた車に交換でSLLCを入れることは一応可能ですが、その逆は故障の原因になります。

このように故障の原因になる組み合わせが存在しているため、交換・補充の際は元の色と同じものを使用します。

また、故障しないとはいえ「赤と緑」、「青とピンク」の組み合わせも基本的には混ぜないほうが良いでしょう。冷却水は色の鮮やかさで劣化具合と交換時期が分かるようになっていますが混色してしまうと判断がつかなくなってしまうからです。

冷却水の交換・補充のタイミングは?

冷却水の補充のタイミング

冷却水が目安の線よりも少なくなっていると補充が必要です。また、色が濁っている場合や上記の交換時期には交換が必要になります。基本的には車検の時に点検して必要であれば補充や交換を行う程度で問題ないため、日常で頻繁に気にする必要がある部品ではないでしょう。

しかし、オーバーヒートの初期症状が出ているなど異常が認められる場合は冷却装置確認の一つとして冷却水の量や色を確かめる必要があります。

冷却水の交換のタイミング

種類液色交換の目安
LLC赤・緑2~3年
SLLC青・ピンク7~10年

LLCは2~3年ほど持つため、車検の時に交換することが多いです。一方SLLCは7年~10年程度持つので、交換は車を10年使い続けても1回あるかないかという程度になります。また、交換の目安の時期以外でも冷却水が劣化している場合は交換が必要です。

冷却水が劣化しているかどうかは、色で判断します。鮮やかな色をしている冷却水はまだ使えますが、濁ってよどんだ色をしている場合は劣化しているため交換が必要です。

冷却水には、防さび剤や冷却効果を促進する消泡剤などの添加物が含まれています。それらが経年劣化していくため、交換をしないと防さび効果や冷却効果が薄れてきてしまいます。
結果として錆が発生して目詰まりを起こして冷却装置が故障したり、十分に冷却できなければエンジンが高温になりすぎて焼き付くオーバーヒートが起こったりしてしまいます。

冷却水の点検方法

冷却水の液量は少なくても多くても問題です。循環しているとはいえ使用していくうちに少しずつ減少していくことは避けられないため、冷却水の液量は定期的に点検しましょう。

また、劣化してくると色が濁ってきます。青やピンクのSLLCは10年近く使用が可能ですが、濁っている場合は交換が推奨されています。冷却水の点検の注意点と確認方法について説明します。

走行したあとの確認には要注意

走行中、エンジンは高温になります。走行直後のエンジンルームは非常に危険で、冷却水の入っているタンクなどを開けようとすると、100℃近い液体が噴出してきて火傷する恐れもあります

安全のためにも、エンジンを切ってから水温計の温度が下がるまで待ちましょう。

冷却水の点検方法

冷却水は、エンジンルームのリザーバータンク内に入っています。液量や状態を確認してみましょう。

①走行後の場合、水温計の温度が低いことを確認します。高温の場合はタンクのキャップを外すと100℃近い水蒸気や冷却水が噴出してきて火傷を負う危険性があります。また、冷却装置の仕組み上、温度によってタンクの液量は変化します。液量の確認のためには、必ずエンジンが冷えた状態で点検を行います。

②エンジンルームを開けて、リザーバータンクを探します。半透明のポリタンクであり、中には青やピンク、赤や緑といった液体が入っているのが見えるはずです。容器はホースでラジエーターとつながっており、上部に「冷却水」や「COOLTANK」などと記載されていることもあります。

※エンジンルームには液体が入った半透明のポリタンクが複数あります。ウォッシャータンクなどと間違えないように注意しましょう。

③液量を確認します。タンクの横には、目盛り線が2本付いています。FULLとLOWあるいは、MAXとMINなどと記載されていることが多いです。液面がこの線の間にあれば、液量は問題ありません。少ない場合は補充が必要です。

④冷却水の状態を確認します。もともとは鮮やかで透き通った色をしていますが、劣化してくると茶色く濁っていきます。その場合は交換が必要です。また、白濁している場合は部品が劣化してエンジンオイルが混入している恐れがあるため、修理工場へ持ち込みましょう。

冷却水の補充方法・費用

冷却水は循環しているとはいえ、完全に閉鎖的な状態ではないため徐々に減少しています。先に説明した冷却水の液量確認を行った時に、LOWの線よりも少なければ冷却水の補充が必要です。

補充自体は自分で行うこともでき、その場合、費用は冷却水の購入代だけですみます。2Lで1,000円程度と比較的安価です。注意点は以下の通りです。

  • 冷却水の種類を確認して、同じ色を入れる
  • 冷却水は希釈して使用するタイプとそのまま使用するタイプがある。濃度によって凍ってしまう温度が変わるため、間違えないように確認する
  • FULLの線よりも多く入れてしまうと故障の原因になる

ガソリンスタンド、カー用品店などで補充することも可能です。ガソリンスタンドであれば工賃含めて1,000円~3,000円程度ですが、手間はあまりかからないためほとんど冷却水の値段です。カー用品店はクーラントを購入するとサービスで補充してくれるケースもあります。

冷却水の交換方法・費用

冷却水が濁っていて鮮やかでなかったり、交換年数の目安付近になったりすると、冷却水を交換する必要があります。冷却水の交換は、補充とは異なり自分で行うことは難しいためおすすめしません。

交換するときには「エア抜き」という工程が必要です。エア抜きが不十分であると故障の原因になります。整備工場やガソリンスタンド、カー用品店などで交換を依頼しましょう。

カー用品店やディーラーで冷却水の交換を依頼したときの費用は3,000~5,000円程度です。一般的にディーラーよりもカー用品店の方が費用を抑えることが出来ます。

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