離婚して車が手元に残っても、乗らなければ売却したり廃車したりするなどして手放したくなるでしょう。
けれども離婚時に必要な手順を踏んでいないと、車の売却や廃車ができなくなる恐れがあります。どうしたらいいのでしょうか。
車は離婚すると財産分与が必要
民法の第762条では、婚姻中に取得した財産のうち、どちらのものか定かでない場合は夫婦の「共有財産」とみなされます。車も夫婦でお金を出し合っていれば共有財産ですし、どちらか片方がお金を出していても夫婦で使用していれば同じことです。
逆に離婚するときは民法の第768条に基づいて、婚姻中に取得した財産を分与しなければいけません。基本的には1/2ずつですが、財産の取得に貢献した度合によって変わる場合もあります。
車は1/2にはできません。そのため財産分与では引き続き使うほうが、相手に金銭で現在の評価額の半分に相当する額を支払います。購入価格の半分ではありません。他に共有財産があれば、トータルで1/2に分与する方法もあります。
一方、車を売却や廃車で清算する場合は購入時の負担に応じて分与するのが一般的です。例えば250万円の車を買うときに夫が150万円、妻が100万円出していたら、負担の割合は3:2です。この車が100万円で売れたら、夫が60万円を、妻が40万円を受け取ることになります。
もしローンが残っていると、その分を現在の評価額から差し引かなければいけません。その結果ローンが上回ってしまうと、逆に負債となるため財産分与の対象外となり、ローンを組んだ当人が返済し続けることになります。
財産分与は本来、離婚時に話し合うのが望ましいですが、後から請求することも可能です。ただし離婚届を提出してから2年以内という期限があります。時間が経つほどに相手と連絡が取れなくなる場合もあるので、速やかに請求するのが望ましいでしょう。
車は離婚後にどのような手続きが必要?
離婚して手元に残った車は自分の名義にしておくと、乗り続けるのも手放すのも自由です。まずは車検証を確認してみましょう。所有者の欄を見て氏名が異なるようであれば手続きが必要です。
元々の所有者が自分で離婚により改姓したなら、管轄の運輸支局(普通車の場合)や軽自動車検査協会(軽自動車の場合)で氏名変更をします。必要なのは以下のとおりです。
普通車 | 軽自動車 |
事前に用意するもの | |
1.車検証 2.離婚後の苗字の認印 3.氏名の変更を確認できる戸籍謄本か戸籍抄本(発行から3ヶ月以内) | 1.車検証 2.離婚後の苗字の認印 3.氏名の変更を確認できる戸籍謄本か戸籍抄本(発行から3ヶ月以内)または新旧氏名の記載がある住民票の写し |
当日、会場で記入するもの | |
1.申請書 2.自動車税・自動車取得税申告書 3.手数料納付書 | 1.自動車検査証記入申請書 2.軽自動車税・自動車取得税申告書 |
なお普通車のみ、手続きを代行してもらう場合は、本人の認印の押印がある委任状が必要です。軽自動車は書類さえあれば委任状なしで代理人が氏名変更できます。同時に住所も変更するなら普通車は「戸籍の附票」、軽自動車は「住民票か印鑑証明書」を提出しなければいけません。
もし所有者が離婚した相手の名義になっている場合は「名義変更(移転登録)」の手続きをします。必要なのは以下のとおりです。
普通車 | 軽自動車 |
事前に用意するもの | |
・車検証 ・旧所有者と現所有者の実印 ・旧所有者と現所有者の印鑑証明書 ・譲渡証明書(旧所有者の実印を押印) ・新所有者の車庫証明書(発行から1ヶ月以内) | ・車検証 ・旧所有者と現所有者の認印 ・現所有者の住民票か印鑑証明書 |
当日、会場で記入するもの | |
・申請書 ・自動車税・自動車取得税申告書 ・手数料納付書 | ・自動車検査証記入申請書 ・軽自動車税 ・自動車取得税申告書 |
普通車の場合、旧所有者や現所有者が手続きに来られないと、実印を押印した委任状が必要です。軽自動車であれば、あらかじめ自動車検査証記入申請書に押印するだけで十分です。
所有者の名義を変更していないと、勝手に廃車されて公道を走れなくなる恐れがあります。車を解体していなくても「一時抹消登録」(軽自動車は「自動車検査証返納届」)ならできるからです。本来であれば車検証やナンバーを返納しなければいけませんが、理由書を提出すると受理される場合があります。
手続きをすれば再登録できますが、その際には所有者に発行された「一時抹消登録証明書」(軽自動車は「自動車検査証返納証明書」)が必要です。このような事態を防ぐためにも名義を変更したほうが安心です。
名義が違って廃車できない!どうすればいい?
不要な車を解体して永久抹消登録(軽自動車は「解体返納」)するには、所有者の実印と印鑑証明書(軽自動車は所有者の認印)が必要です。もし車の所有者が離婚した相手のままで、連絡が取れない場合は手続きできません。廃車買取業者に頼んでも代行を断られてしまいます。
ただし車を解体すること自体は所有者の許可が無くても可能です。車検証と免許証を用意して業者に解体を依頼すると「解体証明」を発行してくれるので、車検証と印鑑を一緒に持参して税事務所で手続きすれば自動車税の請求を止めることができます。その手続きから5年経つと自動的に登録が抹消されます。
まとめ
離婚するときは、車を財産分与しておくと不要なトラブルを避けられます。自分の財産になったら名義変更も必要です。
所有者の名前が違っていると永久抹消登録ができません。相手と疎遠にならないうちに手続きを済ませましょう。
なお、書類が揃いさえすれば、車の処分も含むあとの手続きに関してはカーネクストにお申し込みいただくことで、全て代行で手続きが可能でございます。(完全無料)もちろん、車の買取も可能ですので、手間を減らしてコスパを良くしたいとお考えの場合は、是非ご検討ください。