4WDの車は雪道や悪路でも走りやすいとよく聞くでしょう。
一方で、燃費があまり良くないという話も、聞いたことがあるかもしれません。
車を購入する際に4WDにするかどうかで迷う人も多いです。ここでは4WDの車について詳しく解説していきます。
4WDとはどんな車のことを指すのか
現在流通している車の多くは2WDといって、前輪か後輪のどちらかのみ駆動する仕組みになっています。駆動しない方のタイヤは、ただ引っ張られているだけです。これに対して、4WDというのは、前輪と後輪の両方が駆動する仕組みの車を指します。四輪駆動を意味する「4 Wheel Drive」の頭文字を取って4WDと呼ばれています。
国内で販売される新車のうち4WDの割合は2割程度で、あまり主流ではありません。同じ車種の車で2WDと4WDを比べた場合には、4WDの方が車両価格が高く、車体の重量も重いです。
通常、4WDの車を購入する人は、目的があったり、使い道を考慮したりして4WDを選んでいます。
4WDと聞くとミニバンやSUVなどの大きな車をイメージする人が多いかもしれません。しかし、軽自動車などの小さい車でも4WDはあります。
また、4WDにはいくつか種類があり、前輪と後輪の駆動の仕方が異なります。多くの人が4WDと聞いてイメージするのは、フルタイム4WDでしょう。走行中は常に前輪と後輪の両方が駆動するタイプです。
ただ、実際に出回っている4WDの車の多くは、常に4WDで走るわけではありません。4WDでも、2WDでも走れるように作られている車が多いです。4WDで走る必要がないときには、2WDで走ってガソリンの消費を抑えます。そのうちで、運転者が手動で2WDと4WDを切り替えできるのが、パートタイム4WDです。平らな道路を走るときには、2WDにしておき、雪道や悪路だけ4WDに切り替えるといった使い方ができます。
他にフルタイムパートタイム複合式というのがあり、フルタイム4WDとパートタイム4WDの両方のシステムを搭載しており、どちらとしても使えるタイプです。
運転者が自分で切り替えるのではなく、自動的に切り替わるタイプもあります。スタンバイ式というもので、普段は2WDで走行し、センサーがタイヤの空転などを察知すると、4WDに切り替わる仕組みです。
同じ4WDでも、タイプが異なると使い勝手もだいぶ違います。そのため、4WDの車を購入するのであれば、どのタイプなのかも確認しておきましょう。
4WDの車はなぜ燃費が悪いのか
4WDは燃費悪いイメージが強いでしょう。車を購入する際に、燃費を重視して選ぶ人は、4WDの車は避けることが多いです。そして、イメージだけでなく、実際にほとんどの車種で2WDと比べて4WDの燃費は良くありません。
4WDの車は2WDと比べて使用している部品の数が多いです。現在流通している2WDの車は、ボンネットが車体の前方にあります。ボンネットの中にエンジンが入っており、すぐ近くにある前輪を駆動させるという仕組みです。
4WDの車も車体前方のボンネットの中にエンジンがありますが、後輪も駆動させなければなりません。そのため、プロペラシャフトやリアデフなどの部品を使用します。プロペラシャフトもリアデフも2WDの車には使われておらず、比較的重量のある部品です。その分だけ必然的に車体が重くなり、燃費にも影響してくるでしょう。
4WDの車の重量を同じ車種の2WDと比べてみると、軽自動車だと50キロ程度重いです。ミニバンだと90キロ近くも差があり、常に大柄な男性1人を乗せているのと同じということになります。燃費が悪いのも頷けるでしょう。車体重量の他に駆動抵抗なども影響してきます。
ただ、車種によっては一概に燃費が悪いとも限りません。特に最近の4WDは以前と比べると燃費性能がかなり改善しており、2WDとあまり差のない車種もあります。例えばマツダのCX-3は、2WDだと1リットルあたり19.3キロで、4WDだと18.2キロです。僅かな差しかありません。
最近というほど新しくはありませんが、トヨタの初代アルファードも4WDの燃費が良い方です。2.4リットルエンジン搭載モデルのカタログ燃費は、2WDが1リットルあたり9.7キロで、4WDだと9.4キロです。4WDと2WDでほとんど差がありません。用途によっては4WDの方が燃費が良くなることもあるくらいでしょう。ハイオク仕様の3.0リットルエンジン搭載モデルでも、2WDで1リットルあたり8.9キロ、4WDだと8.6キロです。
最近の車種だと他にも、4WDで燃費が良い車が多く、2WDとの燃費の差はほぼ10パーセント以下です。4WDは燃費が悪いというのは、過去のイメージになりつつあるでしょう。燃費が悪いことで4WDを敬遠していたのなら、次に車を買い替えるときに4WDにするといいかもしれません。
4WDの車に向いている人
4WDの車は、平らな道路を走行しているときには、2WDの車との違いは分かりにくいですが、坂道や悪路を走ると、4WDの快適さが分かります。
坂を上るときには、2WDだと前輪だけで四苦八苦するような具合です。これに対して、4WDだと後輪も同時に力を加えられるので、かなり楽に上れます。雪道や凸凹の多い道路でも、後輪が同時に回るか、ただ引っ張られているだけかどうかの差は大きいです。
これと言って必要性を感じていなくても、何となく4WDの車が欲しいと思っている人もいるかもしれません。しかし、特に目的がなければ、あえて4WDにする必要はないでしょう。燃費が良い車種もありますが、車両価格は2WDよりも高いです。雪が積もらない地域で、普段の通勤や買い物などに使うのであれば、2WDで特に不便することはありません。
逆に、雪が積もる地域に住んでいる人であれば、なるべく4WDの車を使うのがいいでしょう。走行が快適になるだけでなく、安定するので事故の防止にもつながります。国内全体では、2WDと4WDの比率は8対2くらいですが、雪国の地域に限定すると、その割合は逆転します。北海道では7割くらいが4WDです。東北地方や日本海側の地域でも4WDの車を使っている人はかなり多いでしょう。
雪の降らない地域に住んでいる人でも、アウトドアで車をよく使う人には4WDがおすすめです。山道などを走行するときに、4WDの性能を発揮します。車に乗ってキャンプに行くときなどにピッタリでしょう。スキーやスノーボードをしにスキー場に行くときにも、4WDの車で行けます。アウトドアの場合には、荷物をたくさん積み込むので、ミニバンやSUVなどがいいでしょう。
まとめ
一昔前までは燃費が悪いと言われていた4WDも、最近ではかなり燃費が向上しています。
雪が積もる地域に住んでいる人は、なるべく4WDの車を使うのがいいでしょう。雪道も坂道も快適に走行できます。