普通自動車と同じようにトラックを廃車する際にも手続きが必要となります。
トラックの廃車手続きは一般車の廃車と同じなのですが、トラックという大型車の性質上、普通車とは多少の手続きの違いがあります。
廃車における手続きの流れや必要となる費用、廃車にした際の返金の可能性について詳しく確認してみましょう。
トラックであれど基本的な廃車と手続きは同じ
トラックと普通自動車では車体の大きさが異なり、また運転時に必要となる免許についても異なるため廃車手続き内容も違うように感じてしまいがちです。しかし、普通車の廃車手続きと基本的な流れは同じです。
トラックの廃車の種類について
廃車の種類については大きく分けて永久抹消登録と一時抹消登録があります。
永久抹消登録
永久抹消登録とは、事故車や不動車、水没車など実務に耐えうる状態で中古車としても販売が難しい状態のトラックを解体したうえで、自動車登録から永久抹消して二度と使えなくする手続きのことをいいます。二度とその車に乗らない場合に、この手続が取られることが多いです。車検が1ヶ月以上残っている場合に、永久抹消登録をすると特定の手続きを経た上で、重量税の還付を受けることができます。
一時抹消登録
一時抹消登録とは、車体は残しておきながら、長期間トラックに乗らない場合や私有地内でのみ使用するなど公道での運行をしない場合に、ナンバープレートを返納して一時的に自動車登録を抹消する手続きのことをいい、再登録すれば再び公道での運転が可能となります。一時抹消登録がされている間は、自動車税の納付が不要となります。
トラック廃車の手続きの流れ
トラックを廃車するにあたっては事前準備として書類を準備しておく必要があります。また、手続きの流れについても永久抹消登録時と一時抹消登録時において変わってくるので、それぞれの手続きごとに確認しましょう。
永久抹消登録の必要書類
- 所有者の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
- 所有者の実印
- 代理人を立てる際は所有者の実印が押印されている委任状
- 車検証
- ナンバープレート(前方、後方の2枚)
- リサイクル券に記載されている移動報告番号と解体業者から報告を受けた「解体報告記録がなされた日」のメモ書き
- 手数料納付書
- 永久抹消登録申請書
- 自動車税、自動車取得税、自動車重量税申告書
手数料納付書と永久抹消登録申請書は、手続きをおこなう運輸支局内で受け取ることができ、税関連書類は運輸支局内の税事務所にて受け取れます。
永久抹消登録をおこなう流れ
- 運輸支局で手数料納付書、永久抹消登録申請書、税関連の書類を受け取り、必要情報を記入する
- ナンバープレートを返納窓口に返却して手数料納付書に返納の確認印を押してもらう
- 記入済みの申請書と必要書類を運輸支局窓口に提出する
- 税事務所にて申告書を提出し、支払い済み税金の還付請求をおこなう
一時抹消登録の必要書類
- 所有者の印鑑証明書
- 所有者の実印
- 代理人を立てる際は所有者の実印が押印されている委任状
- 車検証
- ナンバープレート(前方、後方の2枚)
- 手数料納付書
- 一時抹消登録申請書
- 自動車税、自動車取得税、自動車重量税申告書
永久抹消時と同様に、手数料納付書と永久抹消登録申請書は手続きをおこなう運輸支局内で受け取ることができ、税関連書類は運輸支局内の税事務所にて受け取れます。
一時抹消登録をおこなう流れ
- 運輸支局で手数料納付書、永久抹消登録申請書、税関連の書類を受け取り、必要情報を記入する
- ナンバープレートを返納窓口に返却して手数料納付書に返納の確認印を押してもらう
- 記入済みの申請書と必要書類を運輸支局窓口に提出する
- 窓口にて登録識別情報等通知書(一時抹消登録をおこなった旨が記載されている書類)を受け取る
- 税事務所にて申告書を提出し、支払い済み税金の還付請求をおこなう
トラックを廃車するのにかかる費用は?
トラックの廃車にあたっては普通自動車と同様の手続き同様、特段の費用はかかりませんが、提出書類の費用として100円程度の印紙を購入します。
また、行政書士に登録抹消手続き代行を依頼する場合、代行費用として1万円程度かかります。
永久抹消登録の場合解体することが必須なので解体費用がかかってきます。
基本的に、解体業者に解体を依頼しなければなりません。その際、トラックのサイズによって1万円~3万円ほどの解体費用がかかります。
また、平成17年1月1日以降、自動車リサイクル法に基づいて自動車リサイクル料金を支払わなければならなくなりました。リサイクル料金は2万円~3万円程度となっています。
支払うタイミングとしては、トラックを新車にて購入した時点、自動車リサイクル法施行後に車検を通す時点、自動車を廃棄する時点となっています。
どこかのタイミングで1度支払っていれば問題ありませんが、トラックの購入時や車検時にリサイクル料金を支払わなかった場合は廃棄のタイミングでリサイクル料金を支払う必要があります。
トラックを廃車にするとむしろお金が返ってくる?
このようにトラックを廃車にする際は費用がかかってしまいますが、中にはお金が返ってくる方法もあります。それは、トラックを解体して買い取ってもらうことによる返金と、登録抹消手続きにより納めていた自動車税が返ってくるからです。
トラック解体によって得られる返金
トラックをスクラップ業者に出す場合、トラックを構成する鉄くずをリサイクル素材として買い取ってもらえます。トラックの大きさにもよりますが、1万円~3万円程度返ってくることがあります。
自動車税の還付
トラックの登録を抹消する際、税事務所にて支払い済みの自動車税の還付手続きをおこないます。還付は月割りとなっているため、廃車を考えているのであれば先送りにするよりも早めに済ませてしまう方がより多くの還付が受けられます。
自動車税の計算は、4月1日現在の所有者を基準として年額の納付書が届きます。そこで1年分の税金を納めます。
しかし、年度の途中でトラックを廃車にする場合、廃車をした日が所属する月までの月割計算の税金のみでかまいません。なので、起点日の翌月からの税金は過払いとなりその分は還付されます。
つまり、計算方法としては、「(1年分の税額)÷12か月×(廃車の翌月から翌3月までの月数)」が還付額となります。
還付額の計算は100円未満は切り捨てです。
また、抹消登録をした後は税金がかからないので、翌年度以降も自動車関連税を支払う必要はありません。
なお、トラックにかかる税については自家用トラックと営業用トラック、ガソリン車、LPG車、ディーゼル車について税額が異なってきます。還付額を計算する際は所有しているトラックの車種についても確認しておきましょう。
まとめ
トラックを廃車する際は、普通自動車と同様の登録抹消手続きが必要となります。トラックを解体したのち、手続きをおこなう永久抹消登録と車体は残したうえで、一時的にトラックの使用を中断するために登録を抹消する一時抹消登録の二種類があります。
永久抹消手続きをおこなう際は、あらかじめスクラップ工場や解体業者にて車体を解体しておかなければなりませんので注意が必要です。
それぞれの手続きは運輸支局におもむいて、書類などを提出したうえで税事務所にて自動車税の還付請求をおこないます。自動車関連税は月割計算のため、廃車を考えるのであれば早めに手続きをおこなうのがおすすめです。