通勤や通学時の移動手段に電車等の公共交通機関を避けて、自転車利用を選ぶ人が近年増加傾向にあります。特に新型コロナウィルスの感染流行後は、都心部でも自転車通勤への関心が高まっています。ただその影響から、道路上での車と自転車の交通事故も増えているのです。
車と自転車の事故は、道路走行中や発進・停止時に発生します。車と自転車の事故が起こった場合、双方の過失割合はどうなるのでしょうか。また、車の運転中に自転車と事故を起こしてしまったら、運転者はどのように対応すればいいのでしょうか。こちらで解説します。
車と自転車の事故はどんな場面で起こるのか
自転車関連の死亡事故または重傷事故の件数のうち、対自動車との事故が占める割合はおよそ76%で、対二輪車や対歩行者、自転車単独事故などと比べても最も多い件数となっています。
車の運転をしていて、自転車と交通事故を起こしてしまう可能性が高いのは、どんな場面なのでしょうか。
交差点での車と自転車の交通事故が多い
自転車事故分析資料によると都内での自転車関与事故件数のうち、最も事故が発生した場所は交差点で、その次に多かったのは交差点付近となっていました。
交差点での車と自転車の交通事故は、出会い頭の事故が最も多く、次に左折時と右折時に自転車が巻き込まれる事故が多くなっていました。
交差点での出会い頭の交通事故の状況は、違う方向から侵入してきた車と自転車が正面から、または側面にぶつかって起こる衝突事故のことです。出会い頭に事故が起こる原因のほとんどは、運転しているどちらか、もしくは双方が安全確認をせずに、そのまま交差点へ侵入してしまい衝突事故が起こっています。交差点侵入時の車の速度によっては大きな事故となってしまい、死亡事故や重傷事故も少なくありません。
自転車が車の死角に入る場所で起こる事故
交差点や交差点付近では、車の死角に自転車があったために車の運転者が気づかずに左折や右折を行い、自転車が巻き込まれての事故も少なくありません。
ほとんどの車は右側に運転席があり、交差点で左折をする際は後方や側方を確認してから道路左に車を寄せてから左折を開始するのですが、その左寄せの際に死角に自転車がある場合に見逃してしまったり、確認を怠ったことにより巻き込み事故が発生しています。
また、車を右折するため交差点に進入し、同方向の歩行者信号が青になっている場合、歩行者信号を見て判断し、道路を直進してくる自転車も多く、右折する車と直進する自転車の衝突事故も少なくありません。
自転車は軽車両となり車両の一種です。
そのため自転車の運転中は道交法に従い、原則車道の左側を通行しなければいけません。自転車専用信号機がない交差点や、車道を走行している場合は自動車と同じ信号機に従い運転しなくてはいけません。
また、道路標識等によって一時停止すべき場所では一時停止を行い、見通しの悪い交差点に侵入する時は徐行が必要です。最近では、道路標識や信号無視による自転車と歩行者の事故が増加していることから、都内では悪質自転車に対する取り締まり強化を始めています。
車と自転車の事故時の過失割合とは
車と自転車の事故が起こった時の過失割合は、どちらが多くなるのかご存知でしょうか。
過失とは、行為者が不注意によって事故の発生を防止しなかった落ち度のある態度のことです。例えば信号機のある交差点で、車の進行方向の信号は赤だったにも関わらず無視して直進し、交差する道路の信号機が青信号で進入してきた自転車と衝突事故を起こした場合は、車の信号無視による交通事故となり、青信号で進入してきた自転車には過失がないため、100%車側の過失となります。
自転車に過失があっても車の過失割合は0ではない
しかし、進行方向の信号機が赤で無視をして直進をしたのは自転車で、青色の信号機で直進した側が車であった場合、車の過失割合は0になりません。
車は直進する道路が青信号であっても、自転車や歩行者が飛び出してくるかもしれないということに注意し、安全に気を付けて通行するように道交法第36条4項で決められているため、自動車側の過失として前方不注意といわれてしまうため過失が0にはならないのです。そのため、原則としての基本過失割合は車が20%、自転車が80%となります。
車が事故を起こした場合の過失割合は多くなる
では、信号機のない交差点で双方の車道幅も同程度だった条件で、双方から直進してきた自動車と自転車が衝突事故を起こしたら、過失割合はどうなるのでしょうか。このような場合、基本的に車の過失割合が多くなります。
同条件であっても車の過失割合が多くなる理由は、自転車と車を比べた時に自転車が交通弱者となるためです。また、車と自転車を比べると、出せる速度も自転車の方が遅くなることも理由のひとつです。
交通弱者は歩行者-自転車-自動車(四輪車)の順に強いとされていて、歩行者は自転車と車どちらに対しても交通弱者となります。自転車からも歩行者優先となるため、自転車の走行が認められている歩道では、左通行と左寄り車道側走行が決められています。
※ただし、上記の過失割合は、基本的な割合となるため、その当時の状況や協議次第で異なります。
車と自転車の事故を起こした時の運転者の対応
車の運行中に、自転車と事故を起こしてしまった場合の運転者がとるべき対応について解説します。
まずは安全の確保と怪我人の救護
車と自転車の衝突事故や接触事故が起こった場合、自転車に乗っている人は身体がむき出しの状態のため、怪我してしまう可能性が高くなります。車道で転倒し怪我で動けない状態になっていると、後続車両や対抗車両の走行に巻き込まれて、二次災害が起こりかねません。
まず車の運転者は運転を停止して、怪我をしている人を安全な場所へ移動させて安全を確保し、応急処置を行って救護しましょう。相手側が怪我で動けず病院にいける状態でない時は、救急車を手配する必要があります。
警察への連絡を必ず行う
怪我をしている人の安全確保と応急処置を行ったら、速やかに警察へ連絡します。被害が少ない場合など事故の規模に関係なく、事故を起こした以上は必ず警察へ届出し、事故の内容や講じた措置について報告しなくてはいけません。
連絡をして事故現場に警察官がきたら、実況見分が行われ実況見分調書が作成されます。実況見分調書は、警察が作成する客観的な事故の資料となり、今後の示談の際や保険会社への対応時にも必要となります。
警察への報告義務は絶対ではあるものの、車の運転者も怪我をしていて病院に搬送された時は、警察への届出をすぐに行うことはできません。すぐの報告義務は免除されますが、後日必ず警察へ向かい届出を行いましょう。
保険会社へ連絡をする
事故を起こしてしまったら、相手方の住所氏名と連絡先・勤務先を確認しましょう。また、現場に目撃者がいる場合は、目撃者の住所氏名の確認と証言依頼を行います。
怪我人の安全確保と救護を行い警察へ事故の届出をしたら、自動車保険に加入している保険会社へ連絡して、事故の状況を伝えましょう。
自賠責保険のみ加入しているのであれば、補償は怪我をしている相手に対して行うことができますので、加入している保険会社へ請求書類の取り寄せ依頼をします。
また、保険会社へ保険金を請求するには、警察へ届出をしてから後日発行される、交通事故証明書が必要です。交通事故証明書は、自動車安全運転センターに依頼すると発行してもらうことができます。
交通事故時の自動車保険の補償内容は、任意の車両保険となるため加入している保険プランによって違います。ご自身の怪我への補償や、相手の自転車、所有する車の修理費用が対象となるかどうかは保険会社へ確認しましょう。事故を起こした時に保険会社の連絡先がわからず、手間取ってしまわないために、連絡先は予め調べておくことをおすすめします。
まとめ
こちらでは近年増加傾向にある、車と自転車の事故が起こった時の対応方法について解説しました。
車の運転中に自転車と事故を起こした場合、相手側に大きな怪我を負わせてしまう可能性があります。事故を起こしてしまった時は、まず怪我人の安全の確保と救護をすること、そして必ず警察へ連絡するということを忘れないようにしましょう。その場の当人だけで話し合いをして、示談して済ませようとすると、トラブルにつながります。
交通事故によって車が損傷した場合、修理が難しかったり高額な修理費用がかかると、車の手放しを検討されることもあるでしょう。
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