やむを得ない事情で予定外の廃車をすることがあります。場合によっては、まだローンが残ったままの車を廃車にしなければならないこともあるでしょう。
そんなローンが残った車の廃車は可能なのか、どのような問題があるのかをこちらで解説します。
所有者が自分ではない車は廃車は出来ない
盗難や災害など、それほど使用していないのに廃車に回さなくてはならなくなることがあります。
なんとなく「廃車にしてもローンの残額を支払いさえすれば問題ない」と思っている方は多いのではないでしょうか。
痛むのは自分のお財布だけで、手続きも通常の廃車と大差ないと思っているかもしれませんが、本当にそうでしょうか。
注意したいのが、廃車したい車の所有権のありかです。
実は、ローンが残っている車の場合、たとえ購入者や使用者があなたであっても、所有権が別のところにある可能性が高いのです。
たとえばローンを組んだ会社やディーラーが所有権を持っているかもしれません。ただし、銀行系のローンを利用している方は、所有者が自分になっている場合もあります。
廃車手続きを進める前に、車の所有者は誰なのかを調べてみましょう。
所有者を調べるのは簡単です。車検証の『所有者の氏名又は名称』の欄をチェックしてみてください。ここに書かれている名前が所有者です。
もし所有者名がローン会社やディーラーになっているのであれば、しかるべき手続きが必要ですが、自分の名前が記載されている場合はとくに重大な手続きはありません。
自分が所有者なら、たとえローンが残ったままでも廃車手続きが可能です。もちろんローンは残るため地道に返済していくことになりますが、タイミングによっては自動車税の還付を受けられます。
※平日に運輸支局に廃車手続きに行く事ができない場合は、カーネクストにお申し込みいただくことで無料で手続き代行をいたします。
自動車税は4月から翌年の3月までの1年間を区切りとして、5月末までに支払います。年度の途中で廃車手続きを完了させると、廃車した翌月から年度の終わり(3月)までの税金分が月割で還付されるのです。
つまり、3月中に廃車すると翌月分からすでに次の年度となるため、還付金は受けられず、4月中に廃車すると1ヶ月分の自動車税を余分に支払わなければなりません。
そのため、廃車はなるべく早めに済ませるのがおすすめです。
自動車税の還付を受けるには他にも地方税に未納分がないこと、軽自動車ではないことなどの条件をクリアしている必要があります。自動車税還付を希望するなら、車の所有者に加えて還付条件をクリアしているかどうかもチェックしておきましょう。
所有者が自分以外の場合は?
ローンが残った車の所有者が自分以外になっていると、個人の意思で廃車にすることはできません。
まずは所有者を変更する手続きが必要です。所有者をあなた自身に変更する方法は、以下の3つがあげられます。
- ローン残額の一括返済
- ローン借り換え
- 相談してみる
車の所有者がローンを組んだ会社やディーラーになっているのは、ローンが残っているからです。つまり、ローンさえなくなれば所有者をあなたに移すことが可能ということでもあります。
ローンの残額を一括完済し、所有権解除の手続きを依頼しましょう。ディーラーが必要な手続きを代行してくれるところもあるので、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
一括返済が難しいなら、ローン自体を借り換えて、所有者を自分にしてくれるところを選ぶか、直接ローンを組んだ会社やディーラーに相談してみます。
通常であれば車のローン借り換えはできる可能性が高いのですが、廃車を前提としていたり、所有権を運転する本人にしたりするなど条件が重なると難しくなります。
最後の相談ですが、事故や災害など予想しにくい事態に見舞われたこと、廃車するしか方法はないことを正直に話すと、案外すんなりと希望を聞いてくれることがあります。
ローンの残額を支払うことに加え、車体を絶対に処分(解体)することを条件に提示される可能性が高いのですが、同意すれば問題なく所有権の解除を行ってくれます。
修理できない状態の車であれば認められる可能性は高くなりますし、修理が可能な車でも、あまりにも購入金額より高い修理代となる(割に合わない)場合は期待できます。
「うちはまだローンが残っているから」「高い修理代を払えば乗れないこともないから」と諦めるのは早いです。まずは車の状態が分かる資料(写真など)を持って、ローンを組んだ会社やディーラーなど車の所有権を持つ相手に相談してみましょう。
ローンが残っているからって修理するのは高くなる?
ローンが残っていると所有権の問題もあり、なかなか廃車手続きが進みません。ローンが残っている間は修理して乗るべきなのか、それともローンを完済して廃車手続きをしたほうが良いのか、素人には判断しにくいものです。
そこで、まずは専門店の力を借りながら「廃車と修理どちらがお得「(損をせずに済む)か」を調べてみましょう。
修理と廃車のどちらを選ぶのか決めるのに必要な情報は、以下のとおりです。
- 車の所有権は誰にあるか
- ローン会社などに所有権がある場合、所有権譲渡は可能か
- 廃車にかかる費用はいくらか
- 修理にかかる費用はいくらか
- 費用はどこから捻出するか
- 修復歴はつくかどうか
廃車を選びたくても、所有権があなたになければ廃車はできません。ローンが残っている場合はローンを組んだ会社やディーラーが所有権となっていることが多いので、所有権解除手続きをして所有権を譲渡してもらえるかを確認しましょう。
次に廃車や修理にかかる実際の費用を調べます。廃車するにはローン完済が第一条件のため、支払うべきローンの残額に加え、車を廃車工場まで運ぶレッカー代など通常の廃車で必要な費用も書き出してみてください。
廃車にかかる費用の次は、修理にかかる費用の調査です。見積もりを出してもらえると一番手軽なのですが、難しい場合は電話で車の状態を説明して、大よその費用を算出してもらうのも手です。
廃車した場合と修理した場合の費用が分かったら、その費用をどこから捻出するかも重要です。自動車保険を利用する予定なら、いくらおりるか問い合わせなくてはなりません。
たとえばエンジンを修理することになると、まるごと交換するのが一般的です。エンジンによってはかなり高額になる場合もあることから、保険金で一部の修理代を払っても、残った金額がローンの残額より多くなる可能性が考えられます。
自動車保険を使うと保険料が高くなるため、長い目で見て本当にお得か、保険を使わないほうがお得かを見極めて使いましょう。
もし修理してしばらく乗ったら中古車買取業者へ売るつもりなら、修復歴の有無も注意する必要があります。
中古車を買い取ってくれる業者のほとんどは、修復歴のある車は安く買い叩こうとします。修理代や自動車税などを考えると、かえって損をするかもしれません。
車両保険にはいっていればローンの金額は全額出るの?
車両保険に入っている人が事故や災害などに遭い、買ったばかりの車を手放さざるを得ないとき、車両保険をローンの返済に充てることが可能です。ただし、契約会社や契約内容によって条件が異なるため、相談する前に条件確認が必要です。
ちなみに、保険プランの中には新車特約など車の買い換えにも優しい特約がある会社も多いです。修理金額によっては、新しい車を購入する費用を受け取れることがあるので、自分が加入している保険の補償内容をチェックするのを忘れないでください。
まとめ
ローンが残っている車を廃車するときは、車の所有権を最初に確認しましょう。ローンを組んだ会社やディーラーが所有者となっている可能性が高いためです。
所有権が自分にない場合は、所有者に交渉して所有権解除の手続きをしてもらわなくてはなりません。そのためにはローンを一括完済するのが確実ですが、難しいのであれば直接相談する手もあります。