自動車税の還付手続きとは?条件や方法を知って還付を受けよう

廃車手続きの基礎

自動車税は、車を所有している方が毎年納めなくてはならない税金です。

年に1回、まとめて1年分を支払うものですが、条件が合えばお金が戻ってくる還付を受けられます。自動車税の還付を受けるために、するべきことはあるのでしょうか。

ここでは、自動車税還付の仕組みや条件、手続き方法について解説します。

どんな車も0円以上買取保証

自動車税の役割と還付の仕組み

自動車税は、毎年4月1日時点で自動車を保有している方が支払う税金です。2020年(令和元年)10月には、クルマの税について大きな変更がありました。今回のクルマの税の変更により、自動車税は2020年10月以降に購入した新車登録車から毎年減税されることになりました。すべての排気量の車で、自動車税が引き下げられたのは1950年の制度創設以来初めてのことです。

自動車税は、5月に納付書が届き始めます。納付書に記載されている納付期限内に納税を済ませなければなりません。自動車税は地方税の中でも、都道府県税に該当します。用途や総排気量によって税額が決定されるのが特徴です。自家乗用軽自動車であれば一律10,800円です。自家乗用車であれば、2020年10月以降の新車登録車は引き下げ後の税率となり、それまでに購入された自家乗用車は引き下げ前の税率の自動車税となります。内容は以下のとおりです。

排気量引下げ前の税率引下げ後の税率
総排気量1リットル以下29,500円25,000円
1リットル超〜1.5リットル以下34,500円30,500円
1.5リットル超〜2.0リットル以下39,500円36,000円
2.0リットル超〜2.5リットル以下45,000円43,500円
2.5リットル超〜3.0リットル以下51,000円50,000円
3.0リットル超〜3.5リットル以下58,000円57,000円
3.5リットル超〜4.0リットル以下66,500円65,500円
4.0リットル超〜4.5リットル以下76,500円75,500円
4.5リットル超〜6.0リットル以下88,000円87,000円
6.0リットル超111,000円110,000円

還付の仕組み

軽自動車は自動車税の還付がありませんが、普通車であれば手続きをすることで還付を受け取ることが可能です。所有者登録を抹消することで、車は持ち主がいない状態になります。自動車税は所有者にかかる税金ですから、持ち主がいなければかかりません。

つまり年度の途中で自動車を手放した場合、既に払った自動車税の中から払う必要のなくなった税金が戻ってくるのです。自動車の所有者登録抹消は運輸支局(陸運局)で行いますが、実際に税金を取り扱うのは各都道府県の税事務所で、これらの役所が連携することで自動車税の還付を受けられます。

自動車税の還付を受ける条件

自動車税の還付を受けるためには、いくつかの条件をクリアしている必要があります。条件について、詳しく確認しておきましょう。

月割計算

既に自動車税を支払っていて、年度内に車を手放す場合、残った月分の自動車税が月割りで還付されます。廃車手続きが完了した日の翌月からの計算となるため、覚えておきましょう。自動車税の年額に廃車手続きが完了した翌月から3月までの月数をかけて、12カ月で割ります。それを自動車税の年額から引けば、還付金額が算出可能です。

例えば、5月に自動車税を納付して、9月に廃車手続きが完了した場合の自動車税還付金を算出してみます。還付されるのは9月の翌月である10月から、翌年3月までの自動車税ということで、還付を受けられるのは6カ月分です。納付した自動車税が34,500円であれば、計算式は以下のとおりです。
 34,500円-(34,500円×6ヶ月÷12ヶ月)=17,250円 
上記計算式より、6か月分で17,250円の還付金を受け取ることが出来ることがわかります。

廃車にした日の翌月から還付金が発生するため、3月に廃車手続きが完了した場合は還付金が発生しません。車を手放すと決めたら、3月になる前に廃車手続きが完了するよう早めに行動しましょう。

抹消登録

自動車税の還付を受けるためには、持っている車の所有権を手放す必要があります。所有権を破棄したことを公的に証明するのが、抹消登録です。抹消登録は、永久抹消登録と一時抹消登録の2つがあります。

永久抹消登録は、解体業者によって既に車が解体され、存在しない状態にした上でナンバーを返却するもの。車が存在しないため、再び車両登録をすることは不可能です。事故で車が全損し、修理もせず誰も乗らない場合や、車の劣化が激しくほとんど動かない場合などに、車をスクラップにして永久抹消登録を行います。

一方、一時抹消登録は車を解体する必要がありません。一時的に所有権を手放し、ナンバーを外して公道を走れなくするものです。車はそのまま存在するため、私道の走行は可能。もう一度車に乗りたい場合は再度車検を受け、ナンバーを付与してもらいます。長期出張中は車を使わないけれど将来的にまた運転したい場合や、オークションなどで見ず知らずの他人に車を譲渡する場合などに一時抹消登録を行うことが多いです。

車を業者に買い取ってもらう、友人や家族に譲るなどの場合は、抹消登録ではなく名義変更の手続きをすることが一般的です。名義を変更するだけでは、自動車税の還付は受けられません。業者に買い取ってもらう場合でも、一時抹消登録をしてから店の名義に変更するのであれば自動車税が返ってきます。買取を依頼する場合は、抹消登録をするかどうか事前に確認しておきましょう。

乗用車

自動車税の還付を受けられるのは、乗用車のみです。軽自動車はそもそもの軽自動車税が安いため、還付は受けられません。

地方税滞納なし

自動車税以外の地方税をきちんと納めていなければ、自動車税の還付金を受け取れないため注意が必要です。自動車税の還付金は計算式に基づいて算出されますが、ほかの地方税を滞納している場合はそちらに充当されます。自動車税の還付金を全額受け取りたい場合は、滞納している地方税を納付してしまいましょう。

自動車税還付の手続き方法

自動車税の還付金を受け取るためには、どのような手続きをすればよいのでしょうか。手続き方法を確認しておきましょう。

特別な手続きは不要

自動車税の還付申請には、特別な手続きは不要です。運輸支局(陸運局)で車の抹消登録手続きが完了すれば、自動的に情報が都道府県の税事務所まで届きます。

わざわざ抹消手続きを済ませたと税事務所に報告する必要もないため、抹消登録だけを忘れずに行いましょう。ただし、自動車税は地方税です。自治体によっては別途書類が必要になることもあるので、事前に管轄税事務所のホームページをチェックしておきましょう。

抹消登録に必要な書類

永久抹消登録も一時抹消登録も、運輸支局にて手続きをすることになります。自身で永久抹消登録をする場合には、以下の書類が必要です。

  • 車の名義人の印鑑証明書(発行日から3カ月以内のもの)
  • 自動車検査証(車検証)
  • 移動報告番号の控え
  • 解体業者からの報告書(解体証明)にある解体報告記録日の控え
  • ナンバープレート(前後2枚)
  • 車の名義人の実印(印鑑証明書の印鑑)
  • 手数料納付書
  • 永久抹消登録申請書
  • 自動車税・自動車取得税申告書

これらのうち、手数料納付書と永久抹消登録申請書、自動車税・自動車取得税申告書については、申請する当日に運輸支局で入手します。

また、一時抹消登録を自身で行う場合は、以下の書類が必要です。

  • 車の名義人の印鑑証明書(発行日から3カ月以内のもの)
  • 自動車検査証(車検証)
  • ナンバープレート(前後2枚)
  • 車の名義人の実印(印鑑証明書の印鑑)

永久抹消登録でも一時抹消登録でも、抹消登録を第三者に委任する場合は、これらの書類に加えて委任状が必要になります。

還付された自動車税の受け取り方法

抹消登録が完了してから1〜2カ月で、自動車税の還付金が受け取れます。還付された自動車税は、どのように受け取ればよいのでしょうか。都道府県ごとに方法は異なりますが、いくつか代表的な方法を紹介します。いずれの方法でも受取期限があるため、いつまでに受け取ればよいかを確認し、期限内に忘れず受け取りましょう。

金融機関の窓口

まずは、金融機関の窓口に行って受け取る方法です。郵便局で受け取りをする場合は、抹消登録手続きが完了すると、自宅に振替払出証書が送付されます。郵便局の窓口に、振替払出証書と身分証明書、印鑑を持参することで、還付金を受け取る手続きが可能です。

銀行の窓口で受け取りをする場合は、抹消登録手続き完了後に送金支払通知書が自宅へ送られます。指定された銀行の窓口に、送金支払通知書と身分証明書、印鑑を持参しましょう。窓口で必要な手続きをすることで、還付金を受け取れます。

口座振込

指定した口座に還付金を振り込んでもらう方法もあります。抹消登録手続きの際に振込先を記入しておくことで、口座振込が可能です。ただし、インターネットバンキングなど一部の銀行では還付金を受け取れないことがあります。自身が使用している銀行に対応しているか、事前に確認しておきましょう。都道府県によっては、金額によって窓口での手続きと口座振込を区別していることもあります。

委任する場合は委任状を

自動車税は基本的に、納税義務のある本人に還付されます。しかし、買取業者やディーラーなどの第三者に依頼した場合には、第三者でも還付金を受け取ることが可能です。例えば、買取業者に抹消登録手続きを依頼した場合、手続きが遅れることで還付金額が減少することがあります。こうした事態に対応するため、還付金を買取業者やディーラーなどの第三者に一度還付し、第三者の手続き遅れによる不足分も合わせて本人に返納するケースが多いです。

第三者に還付金の受け取りを委任する場合は、自動車税還付委任状が必要です。様式は地方によって変わりますが、実印の押印が必須となります。また、同時に提出が必要な書類も都道府県ごとに異なりますが、本人の印鑑登録証明書の添付は必須としていることが多いです。

自動車重量税の還付

車を手放した場合は、自動車税だけでなく自動車重量税の還付も受けられます。自動車重量税とは、車検を受けている車に課せられる税金のこと。国税のため、国税庁が管轄です。自動車重量税法では、新車を購入したときは3年分、車検時には2年分の自動車重量税を納付しなければならないと定められています。

重量税はその名のとおり、車両の重量によって課せられる税額が変わるのが特徴です。例えば、2年に1度車検時にかかる自動車重量税を確認してみましょう。13年を経過していないエコカー以外の車であれば、税額は以下のとおりです。

車両重量0.5トン以下8,200円
〜1トン16,400円
〜1.5トン24,600円
〜2トン32,800円
〜2.5トン41,000円
〜3トン49,200円

重量だけでなく、エコカーであるか否かによっても、税額は変わってきます。

自動車重量税還付の流れ

自動車重量税の還付申請は、車が自動車リサイクル法に基づいて適正に解体されたと証明された上で、永久抹消登録手続きを行うことで可能です。業者に依頼して車を解体したら、永久抹消登録と同時に還付金の返金申請をしましょう。

自動車重量税の還付は、車検の残存期間が1カ月以上ある場合に行えます。一時抹消登録をしている車両の場合は、解体報告が受領された日または一時抹消登録日のどちらか遅い方、一時抹消登録をしていない車両の場合は永久抹消登録日が車検残存期間の確定日です。

還付される自動車重量税の金額は、納付済みの自動車重量税額に車検残存期間をかけて、車検有効期限で割れば算出できます。税務署から還付金が支払われるまでには、大体2ヶ月半ほどかかります。これは、手続きを受理するだけでなく申請書の審査が必要になるためです。審査に通ったら、口座振込や金融機関の窓口などで還付金を受け取れます。

タイトルとURLをコピーしました