車を安全に運転するには、周りをよく見て障害物を早めに発見しなければなりません。
しかし、車には死角がかなり多いです。では、どんなところが死角になっているのか、死角対策はどうすればいいのか解説していきます。
車の主な死角
車の死角は主にピラーが作る死角と、前後左右の車体に近く低い部分です。
ピラーによる死角
ピラーというのは、車のフロントガラスと窓の間にある柱のことを指します。前の窓と後ろの窓との間の柱もピラーです。ピラーはなかなかの曲者で、かなり多くの死角を作ります。ピラーが作る死角は主に前方の左右と後方の左右です。斜めの4方向に死角を作ります。
一般の乗用車のピラーはあまり太くないため軽視しがちですが、ピラーの陰になる範囲は意外と広いです。遠くの距離までピラーが作る死角で見えなくなることも少なくありません。左折時などに目視確認をしたつもりでも、陰になってしまい自転車やバイクが見えず、事故に繋がってしまうこともあります。
そのため、頭を左右に動かすなどの対策が必要です。ミニバンなど3列目のシートが設置されている車の場合には、ピラーの数が多く、その分だけ死角も増えます。
前後の死角
車の前方、車体にかなり近くの低い位置は死角になります。小さな子どもが車のすぐ前でしゃがんでいても運転席からは見えません。発進時には車に乗り込む前に、車の前方を確認しておきましょう。信号などで停車したときにも注意が必要です。
車の後方も車体に近く低い位置は死角です。発進時には後ろが見えなくてもさほど問題ありませんが、車庫入れ時には子どもがいるとかなり危険を伴います。不安なときには車庫入れ時にいったん車を降りて確認するのが望ましいでしょう。
左右の死角
車の左右の死角も前後の死角と同様に、車体に近く低い位置になります。ただし、左右で死角の範囲に差がある点に注意しましょう。運転席のある右側よりも、助手席のある左側の方が死角が広めです。
また、発進時には運転席のドアを開けて乗り込むため、車体の右側に子どもなどがいてもすぐに気付きます。左側に子どもがいた場合には気が付かないこともあるため、発進前に確認しておくのが無難です。
左右ともに後部座席のドアの近くはサイドミラーにも写りません。発進時だけでなく、走行中も注意が必要な箇所です。
車のタイプによっても死角に差がある
車の大きさや車高が異なれば死角にも差が出ます。代表的な5つのタイプの車について死角の違いを見ていきましょう。
コンパクトカー
コンパクトカーはボンネットが短めで車体が全体的に小ぶりにできています。一方で車高が高めです。そのため、前方の視界は広く遠くまで見渡せます。しかし、前方の車体に近い位置の死角は広くなるので注意が必要です。小さな子どもがしゃがんでいても、運転席から見て姿を確認できません。
左右の死角は比較的狭く、左側も頭を動かすなどすれば、だいたいの障害物は確認できます。ただ、後方の死角は前方と同様に広めで車庫入れは慎重に行わなければなりません。
セダン
セダンはボンネットが短めで車高も低いため、他のタイプの車と比べて前方の死角が狭いです。フロントガラスの両端にあるピラーの角度が水平面に対して小さくなっていることから、ピラーが作る死角も少なくなるようにできています。
車高が低い分だけ側面の方の死角も狭めです。地面にかなり近い位置以外はだいたい見えるでしょう。サイドミラーの死角も狭めで、後方も他のタイプの車と比べて見渡しが良好です。全体的に死角が少ないタイプといえます。
ステーションワゴン
ステーションワゴンはセダンと同様に車高が低めですが、ボンネットが長めに作られている点が特徴です。そのため、前方の死角は狭めで、低い位置もだいたい見えます。しかし、死角の範囲がセダンよりは遠くに及ぶのが難点です。
側面の死角はセダンとほぼ同じで、車高が低い分だけ見渡しやすいでしょう。ただ、セダンよりもピラーが多い分だけ、斜め後方の死角は多くなります。後方の死角はセダンと同様に少なめです。
ミニバン
ミニバンは車高が高くボンネットが短めです。3列目シートが設けられているため、全長が長めでピラーも多く使われています。車高が高い分だけ遠くはよく見渡せますが、車体に近い距離での死角が多くなるのが難点です。
前方と側面はコンパクトカーと同様に死角が広めで、子どもなどがいても確認しづらいですが、車種によっては死角対策として補助ミラーが設置されています。後方の見渡しはあまり良くありません。バックミラーで見えない範囲が広いです。死角が広めなので車庫入れ時には十分に注意しましょう。
SUV
SUVはボンネットが長めで車高は高めに作られています。そのため、前方の死角は他のタイプの車と比べて広いのが特徴です。側面も車体に近い距離に大きな死角ができます。発進時には、車の周りに子どもなどがいないかどうか念入りな確認が必要です。
ピラーもミニバンと同様に多めです。斜め後ろはピラーによる死角が多くできるので注意しましょう。後方の死角も他のタイプの車よりも広く、全体的に死角の多いタイプといえます。
車の死角をなくすための対策
死角の少ないタイプの車はあっても、全く死角のない車はありません。どんな車でも、どこかしらに死角ができてしまいます。発進時に運転席に座る前に車体の周辺を確認するなどして、不慮の事故を防止しなければなりません。
また、死角による事故が起こるのは発進時だけではありません。走行時にも死角に注意しなければならない場面が多いです。
そこで、車の死角を減らすための対策が必要です。例えば、ブラインドサイドカメラというものがあります。左後方の死角を見えるようにするための道具です。車体の左側に取り付けてサイドミラーでは見えない箇所をモニターに映し出します。
モニターは助手席の前のダッシュボードのところに設置しておくと、ミラーを確認するついでにモニターに映っている様子も確認できるでしょう。左折時や車線変更時にかなり役立ち、小さくて目立たないので車の外観も損ねないで済みます。
ブラインドスポットミラーも車の死角を減らすために有効なアイテムです。ブラインドスポットミラーは、サイドミラーの端の方に取り付けて使用します。車のサイドミラーは平面鏡ですが、ブラインドスポットミラーは凸面鏡なので、広範囲にわたって写し出すことが可能です。
これまでサイドミラーだけでは見えなかった部分もブラインドスポットミラーを併用することで見えるようになるでしょう。
死角センサーを使う方法もおすすめです。車体の外に取り付けておき、センサーが障害物を察知すると音が鳴ったりランプが灯ったりして注意喚起します。車線変更時などに役立つでしょう。
ブラインドサイドカメラやブラインドスポットミラーと異なり、見て確認するものではないので、前方への注意も疎かにならずに済みます。ただ、値段が高めなのがやや難点です。
また、死角対策のアイテムを使っても、完全に車の死角をなくすことはできません。事故を起こさないようにするには頭を動かして目視するなど、地道な安全確認が大切です。
車の死角が原因で交通事故を起こすことも
車の死角はかなり多く、車の種類によっては広範囲にわたることも少なくありません。ピラーが作る死角などは、言われないと気付かない人も多いでしょう。車高の高い車に関しては、車体の周りにコーンなどを置いてみると、死角の広さに驚く人もいるかもしれません。交通事故を起こしてしまう人の中には、死角が原因だったというケースも多いです。
発進時や車庫入れ時には、車体に近い距離の低い位置にできる死角が原因で事故がよく起きています。特に小さな子どもには要注意です。車の前方や側面などにいると、運転席から見えないことがあります。発進時には助手席側と前方を外から確認した上で、車に乗り込みましょう。発進直後はタイヤ1回転分くらいの距離はクリープ現象のみで進むのが無難です。
クリープ現象というのは、ギアをドライブに入れてアクセルもブレーキも踏んでいない状態でゆっくりと進む現象のことを指します。万が一、人や障害物を見落としてしまっていても、大きな事故には至らなくて済むでしょう。駐車場などにとめている場合には、他の車による死角にも注意しなければなりません。
走行中には自転車の巻き込み事故が起こりやすいです。左折時に死角ができて、自転車を見落としてしまうことがよくあります。位置によってはミラーにも写りません。左折時には早めにウィンカーを出し左側に寄っておくなどして、左折することを相手に伝える必要があります。
車によって死角の範囲が異なるため、死角の多い車に乗っていると、どうしても事故に遭いやすくなってしまうでしょう。
死角が多すぎて自分に合わないようであれば、廃車にして乗り換えを検討してみるのもいいかもしれません。弊社カーネクストでは廃車予定の車の買取を行っています。
まとめ
車の死角は意識していないとなかなか気付きません。死角が原因で交通事故に繋がってしまうケースも多いため、日頃から死角を意識して運転するようにしましょう。車高の高い車やピラーの多い車は特に注意が必要です。